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第47話 出てくる魔物は全部、「ぬんっ!」 これだよ、おっさんの日常が戻ってきた

「そうか、ゴブリンが苦手だったんだな」


「違いますよぉおお! 別に普通のゴブリンなら大丈夫なんですぅうう!!」


 いや、ごくごく普通のゴブリンなんだが。


「どうしたんだレイニ。昼飯変なもんでも食ったか?」


 泣いたり叫んだり。さっきから落ち着きがまったくない。

 もしかして変なキノコでもつまみ食いしたんじゃないか。


 あ……そうか!


 レイニも聖騎士だ。

 こんなド田舎の森まできたのに、おっさんばっか活躍しても面白くない。

 ましてや、ゴブリンなんて誰にでも瞬殺できる。


 しまったな……俺としたことが。


 久しぶりにホームに帰ってきた感じで、ワクワクしすぎてたのかもしれん。


「悪かったレイニ」

「ふぇ? なんです急に」

「いや、おっさんの配慮が足らんかった」

「ええ、いいですよ……ゴブリン倒してくれたしぃ」


 レイニのやつ、やはり拗ねてるな。

 よほどゴブリンとやりたかったんだろう。

 よし、次に出た魔物はレイニに譲ってやるとするか。



「なんだかニヤニヤしてますね、ボクレンさん」


 アレシーナと共に【浄化】をかけ終えたセシリアが、銀髪を揺らしてこちらにきた。


「セシリアの方こそ嬉しそうじゃないか」

「ええっ……そうですか。だって……」


 おっと、イジワルな発言をしてしまったな。

 セシリアがルンルンな理由なんて決まってる。


「良かったな。【浄化】も使えるようになって」

「はい! これもボクレンさんのおかげです! 今日は【浄化】しまくりますから、バンバン魔物を討伐してくださいね」 


 セシリアがこの森に初めて来たときは、【浄化】が使えなかった。

 そこのことに必死に悩み苦しんでいた彼女だが、今やバンバンに使えるようになっている。

 しかも日を追うごとに上達している様子。


 俺が聖騎士になってまだ数カ月。

 この子の努力が実ってきてうれしいよ、おっさん。


「ああ、だが無理しすぎるなよ」

「は~~い」


 元気な声が返ってきた。


 さて、もう一人の聖女はと……

 えらく難しい顔をしてた。


「アレシーナ、大丈夫か。行くぞ」

「え、ええ。わかりましたわ」


 彼女にしては珍しく歯切れの悪い返事だった。

 聞くと、【浄化】の二重詠唱がうまくいかなかったらしい。

 単一の詠唱に、もうひとつ詠唱を重ねて行う?らしいが、おっさんに内容はわからん。


「ボクレン、わがままを言いますわ。ワタクシ今回の旅路、すべて二重詠唱でいきますわ」

「ああ、好きにしていいぞ」


 どうやら彼女は今回の旅路において、二重詠唱縛りを自ら課したようだ。これが滑らかにできないと、学園祭で披露する予定の三重詠唱はできないとか。

 まったく、俺の聖女たちは頑張りすぎだな。


「ただし……あまり根を詰めすぎて無茶はするなよ」

「ええ、わかってますわ。ボクレンがいるからこそ、わがまま言えますの」


 そう一礼すると、真っ赤な縦ロールを揺らして先に行くアレシーナ。


 ふぅ……妥協しない子だからな。

 まあなんかあった時は、おっさんも手助けしよう。


 再び移動を開始した俺たち。


 む……この気配は。


「レイニ! いたぞ!」

「へぇ? なにがですか?」


「この気配はゴブリンだ。やったな!」

「え? やったって……?」


 よしよし、なんていい森だ。


「くるぞ! レイニ!」

「はい! って、ボクレンさん、なにボ~っとしてんですかっ!」


 なに言ってやがる。

 レイニが待ちわびた見せ場じゃないか。


「今回はレイニに任せる。本当にゴブリンだから大丈夫だ」


「ええぇ……信じますよ、ゴブリンなんですね」


 ズーンと響く振動。

 木々をかき分けて出てくる黒い影たち。


「グギャギャ……ァ!」

「キシィイイイ!」

「グゴグゴッグゴォオオ!」


 ほらな、ゴブリンだ。

 俺はレイニの活躍を見守るべく、後方腕組待機だな。


 ……おい、レイニ?


 なんか動かないよ、この子。


 しばらくして、耳をつんざくような奇声が森中にこだました。



「ひぃいい! 王冠かぶったの10匹でてきたぁああ! ボクレンさんのウソつきぃいいいい!!」



 泣きながらゴブリンに突撃していったレイニ。


 ……が、先頭の1匹に凄く時間がかかっている。

 大丈夫か? やはり昼飯に変なキノコ食っただろ、これ。


 とりあえずレイニと対戦しているゴブリンを除いて、他の奴はおっさんが木刀で殴っといた。


 さて、レイニの方は。


 まだ戦ってる……


 これは間違いなく腹を下しているぞ。

 そうか、レイニも可憐な美少女だからな。デリケートなことは、言いずらいのかもしれん。


 くっ……またも俺の配慮不足か。


 俺はすぐさま、レイニと戦っていたゴブリンの脳天を木刀で勝ち割った。


「事情もくめず悪かったよレイニ」

「ふぇええ……だ、だずけてくれてありがとうござすぅう」


 うわぁ、こりゃ相当に痛いようだ。


「よし、あとは全部俺がやるから。レイニはセシリアとアレシーナの護衛に徹してくれ」


 てことで、でてくる魔物は全部―――


「ぬんっ!」


 少し進むと、また出てきて―――


「ぬんっ!」「ぬんっ!」


 そして再び―――


「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」



「ぼ、ボクレンさん待って! 【浄化】が追い付かないから!」


 おっと、調子に乗りすぎたか。

 なんかいつもの感じになってきて、エンジンかかってきた。


「よし、【浄化】おわった? もう行っていい? いい? なあなあ?」


「ちょっ……ボクレンさん、ワクつかないでください!」


 おっと、楽しさが漏れ出ていたか。


 そしてまたまた魔物の気配だ―――


 俺は出てくる魔物を片っ端から叩きまくった。


「ボクレン、いきいきしてますわね」

「ああ~~ん、やっぱあの人変態だぁ~~」

「ワタクシのお屋敷や王城晩餐会などで、ストレスが溜まってたのかもしれませんわね」


 いやぁ~~アレシーナの言う通りかもしれん―――「ぬんっ!」


 やはり森はいい! 何が良いって! 


 木刀振るだけでいいんだ!!



「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」「ぬんっ!」



 こうして森での初日が終わった。


 焔玉果レインボーフレアフルーツのなる大木までは、もう少し距離がある。今日はここで野営だ。

 適当に飯食って、ゆっくりとした時間が流れる。


「そっかぁ~ボクレンさんは、たまに森に連れてきた方がいいのかなぁ」

「そうですわね。王都だけだと運動不足になってるのかもしれませんわ」

「なんでそんな散歩感覚なんですかぁ……お二人ともこっちの世界に戻ってきてくださいぃい」


 焚き木を囲んで、談笑する聖女2人と美少女聖騎士。

 いやぁ~~いつもはおっさん一人だったけど。こういうのアリだな。

 かわいい女子が3人もいるとはなぁ。こりゃ明日も張り切ろう。




 ◇◇◇




 翌日、昼ごろに俺たちは焔玉果レインボーフレアフルーツのなる大木に到着した。


「おお、実がなっているぞ!」


 やった、いっぱいついている。

 実がなっていない時期もあるから、これはラッキーだな。



「ギュラォオオオオォオオ……!!」



「ああそうだ、言い忘れてたが、あの実はトカゲが大好物でな」


 まあとくに問題ないだろ。

 にしても、久しぶりに聞くトカゲの鳴き声。声だけは一丁前なんだよ。


「じゃ、まずはトカゲしばくか」


 俺が前に進もうとすると、袖をギュッと引っ張られた。

 3人同時に……


「あの……ボクレンさん」

「どうした、セシリア」



「ギュガァオオオオォオオ……!!」



「あれ……ドラゴンです……」


「うわぁ~~ん、やっぱり来るんじゃなかったぁああああ~!!」



 またレイニが泣き出した。



【読者のみなさまへ】


第47話まで読んで頂きありがとうございます!

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※本作はカクヨムにて先行公開中です。


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