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第45話 ティナが聖女!?(3人目候補?)

「いやいやいやティナ、それはどうかと思うぞ」


 なに言ってんのこの子。

 王女とおっさんとか、100パーダメだろ。


「なにがおかしいんですかぁ? 他に選択肢なんてないと思います♪」


 あるだろ!


 山のように!


 おっさん一択とか、意味がわからん!


「ティナよ。そこまでボクレンが気に入ったのか」

「はい、お父様! ボクレン様しかいません!」

「ほう、王女の聖騎士になるのだ。ゆくゆくは王家に迎え入れたいということかのう」

「まあ、お父様ったら。気が早いですわ。お互いをもっと深く知って……やだっ♡ わたしたらなに言ってるの」


 やだっ♡……じゃねぇよ。


 マジでこの人たちは何を言ってるの?

 もしかして、うわさのロイヤルジョークというやつではないのか。

 そんなうわさ知らんけど。


「なるほど、試合の褒美としてはティナでもいいかものう」


 よくねぇ!

 ちゃんと考えてくれ。おっさんだぞ!!


 そもそも俺はじいさんと試合しただけじゃないか。

 じいさまは強かったが、まあ世間にあんな猛者はいっぱいいるだろ。


 この人たちはおっさんを過剰に持ち上げすぎなんだよ……


「「まってください」ですわ!」


 そこへセシリアとアレシーナがまったをかける。

 おお、俺の天使たち。おっさんを助けてくるのか。


「それは良くないですわ。この男、わたくしのスカートをめくってパンツ見ましたの。姫殿下のご想像するような紳士とはほど遠いですわ」


 あれ? これは……


「そ、そうです。聖女像のスカートも壊して見るぐらいのパンツ狂なんです。姫もパンツ被られますよ! 頭に!」


 被らねぇよ!


「あたしのスカートもめくってたな」

「あらら、それはわたくしもですね」


「なにぃいい! わしの可愛い孫娘のパンツをかぁあ!!」


 リンナにエリクラスまで。

 あと、ガスティークの剣聖じいさまが凄まじい顔してる。試合より闘気が高まってるぞ。


 ああ、なんかみんな怖い……

 めくれたかもしれんけど、全部事故なんだよぉ。



「「「「「ということで、ボクレンは変態です」」」」」



 息ピッタリかよ……。



「フォフォ、どうやら学園はこやつを手放したくないようじゃぞ」


 ティナに視線を向ける王様。

 そんな彼女が口をへの字に曲げる。


「むぅうう……でも、セシリアさんもアレシーナさんも、ボクレン様が選んだわけじゃないですよね?」


「ああ、そうだ」


「じゃあ、ボクレン様はお二人にこだわる必要ないじゃないですか!」


 ふぅ……なるほど。


「だってティナの方が可愛いし、【結界】も上手だって言われてるし。ボクレン様に相応しいのはティナだもん!」


 うん、可愛いのは事実。甘やかしたくなる気持ちもわかる。

 ……が、お姫さまだからって、それで押し切られていい話じゃねえ。


「ティナ、セシリアは出会った頃はほとんど魔法が使えなかった」


「えっと……ボクレン様?」


「少しだけ俺の話を聞いてくれ」


 少し不服そうだが、コクリと頷くティナ。


「でも今では、【治癒】に【結界】そして【浄化】まで使えるようになった」


 セシリアに視線を向けた。


「それは彼女が目標をもって頑張ったからだ。セシリアの目標は可能な限りの瘴気を【浄化】すること。その想いが今までの頑張りに繋がっている」


 そして俺はもう一人の聖女、アレシーナに目を向ける。


「アレシーナは、元より魔法も勉強も優秀だ。だが、彼女の目標はとてつもなく高い。それに家庭の事情も複雑だ。だが彼女は怯まず前を向いて、ひたむきに頑張っている」


 二人の聖女が口を開く。


「はい、1人でも多くの方が魔物の被害にあわずに済むように。そんなみんなの笑顔を作れる聖女になりたいです」

「目標は教会総庁へ入り、聖女運営に携わりたいですわ。いえ……必ず成し遂げますわ」


 俺は再びティナと向き合った。


「な、すげぇだろ2人とも。そんな彼女たちが選んでくれたんだぜ。一時の感情や勢いだけで、俺を聖騎士に選んだわけじゃないんだ」


 2人は真剣に言った―――俺じゃないとダメだと。

 そんな2人だからこそ、俺は引き受けたんだ。


 おっと、なんだか説教じみちまった。

 けど、わかってくれたかな。


 ティナは俯いており、その表情はわからない。


 そこへ別の声がその場に響いた。


「ふむ、アレシーナにセシリアよ。良くぞ申した。さすがは我が国の聖女たちじゃ」


 王様の言葉に、まわりも賛同の声をあげる。


「そなたらの気持ちを考えず、口走ってもうたの。許せボクレン、そして2人の聖女よ」


「そ、そんなお父様! ティナが悪いんです。ごめんなさいです!」


 お、素直に謝れる子じゃないか。


「ふむ、ティナよ。聖騎士については、来年入学してから決めれば良かろう」


 そうそう、王様の言う通りだ。色んなやつがいるんだから、おっさん一択なんて意味不明なことしなくていいんだ。まあ、ティナも頭のいい子そうだしな。

 わかってくれるだろう。


「はいっ、お父様! ティナは心を入れ替えて、第三夫人を目指します!」


 俺に向かってにこやかにVサインをかます王女様。


 ダメだ……わかってなかった。



「ときにエリクラスよ。学園といえば、そろそろあの時期ではないかのう」

「はい、陛下。学園祭ですね」


 学園祭? ああ、前にスケジュールで見たっけか。


「おう、そうじゃそうじゃ」

「わぁ~~学園祭楽しみですぅ~~♪」


 はて、なんでティナが楽しみなんだ?


「あれ? ボクレン様、知らないんですか? 来年入学予定者は学園祭に参加できるんですよ」


 うん、知らん。


 そして凄く嫌な予感がしてきた。


「な、なあ……ティナも参加するのかな? でもさすがに王女さまだから忙しいだろ。無理はいけないぞ」


「全然予定あいてますよ~~エスコートはもちろんボクレン様で♪」


 ほらぁ……こんなこと言い出すやん。

 王族の護衛がいるだろ。


「ふむ、ボクレンよ。ひとつ頼まれてはくれんかのう。もちろんティナの聖騎士の件とは別じゃ」


「いやいや、おっさんだぞ」


「貴殿であれば問題あるまい」


 そこへガスティークのじいさまがかぶせてくる。


「ええぇ……」


「宝剣を折ったやつがなにを臆しておる」


 はい?


「ホウケン折れた……??」


「そうじゃ、陛下より賜りし宝剣レガリアス。至高の一刀じゃ」


 ヤバいぃい……超高そうな名前でてきた。

 いや、もはや値段うんぬんのレベルではないかも。


「マジすか……あ、実はもう年代物で使い込まれすぎてたとか」

「いや、お主との試合直前まではピンピンしとったぞ」


 うわぁ、元気だったんだ……。

 どうしよう……なんかこんなことが前にもあったような。


 俺は恐る恐る王様に視線を向ける。


「ほう、あれを折ったのか。あれは王家の秘宝じゃったんだがのぅ~~」


 ニヤニヤしとる。


 はいはい、やりゃい~~んでしょ。


「わかった。学園祭当日、ティナの護衛は俺がやるよ」


 やた~~と満面の笑みで両手をブンブン振る王女殿下さま。

 これだけだと、超絶にかわいいんだが。


 セシリアとアレシーナもやれやれと言った顔をしている。

 まったく、面倒ごとが起こりそうな予感しかせん。


 その後も豪勢な料理と酒に苦戦しつつも楽しんだおっさん。

 こうして晩餐会はなんとか無事、乗り切ることが出来そうだ。


「してエリクラスよ……例の事件、背景をさぐっておるが、やはり魔導国がキナ臭くてのう」


「はい、陛下。学園長が学園の【結界】を強化するとおっしゃってました」

「ふむ、まあ彼女の【結界】ならば安心とは思うが、用心にこしたことはないぞ」


「はい、陛下。警戒を怠りません。とくに学園祭は万全の警備をひきます」


 にしても魔導国って、あのレクラとかいう元聖女と関りがありそうなやつらか。

 細かい事はわからんが、何があってもセシリアとアレシーナはおっさん聖騎士が全力で守るさ。


「フォフォ、左様か。まあボクレンがいるから、安心じゃがなぁ」


 王様がニンマリと俺を見た。



 ……これ本当に乗り切れたのか?




 ◇◇◇




 ◇長官視点◇


 魔導国家エーテルギアのとある場所。


「魔導圧縮炉、安定稼働。出力八〇パーセント、全系統良好!」

「魔力循環管路、聖属性魔力出力正常。魔力漏れ反応なし!」

「土属性フィールド展開準備完了! 耐圧限界、深度五十までは安全域!」

「音響設備、感度良好。魔導ソナー異常なし!」


 艦内は淡い魔光灯の明かりに包まれ、計器類が小さく脈打つように光っている。

 各員の手が次々と魔力刻印パネルに触れ、緑色のランプがひとつ、またひとつと点灯していく。


「長官!――――――全システムチェック完了! いつでもいけます!」


 俺はゆっくりと艦内マイクを手に取り―――


『総員よく聞け! 本艦の目的地は隣国ルハルト王国! やつらは聖女を独占して私腹を肥やしている豚どもだ!』


 我ら魔導国家は魔法に秀でたものが少ない……が、その分魔道具作りが盛んになった。

 魔道具は魔法のように使用者を限定しない。扱いがわかれば、誰でも使用できる。


『ついに我らが魔導技術の集大成が完成した! 本艦である!』


 ククク……ついに魔導潜水艦の開発に成功した。

 大地を潜り、音もなく敵地へ侵入できる究極の兵器。

 こいつを量産することができれば、宿敵ルハルト王国を屈服させることができる!


 量産自体は時間をかければ何とかなるだろう。

 が、ひとつだけ問題がある。


 魔導エンジンの動力源である燃料。

 これは聖属性魔力でしか稼働しない。純度の高い魔力がどうしても必要なのだ。この問題だけは、どうしても解決ができなかった。


『いよいよ我ら魔導国が日の目を見る時である! 我らはその先駆けとなったのだ!!』


 艦内に俺の声が力強く響く。


 少し前に拾った豚、ブロスだったか。

 あのクスリ漬けにされた聖騎士は、ろくな情報を持っていなかった。

 その後廃棄処分されたが……


 だが、ひとつだけいいネタを持っていたな。


 俺は深く息を吸い込み、命じた。



魔導潜水艦G201(グラウンドクラーケン)――――――出撃!

 ――――――目標、ルハルト王国聖女学園!! 潜航開始っ!!』



 次の瞬間、艦は大地の中へと音もなく溶け込み、暗き地中を滑るように進み始めた。


 クハハハ…学園祭か、こいつはいい。燃料の元が取り放題だぞ。




【読者のみなさまへ】


第45話まで読んで頂きありがとうございます!

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引き続き応援よろしくお願いします!


※本作はカクヨムにて先行公開中です。


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