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第32話 おっさんの初ボーナス、ふはぁああ……これゼロの数、間違ってないよねぇ!?

 野外演習から数日後。


 俺はエリクラス隊長に呼ばれて執務室に足を運んでいた。

 そして―――


「えええぇええ! ちょ、こ、これゼロが多すぎないか!?」


 おっさん、ボーナス明細と金貨が入った袋を見て、叫んでしまった。


「なあなあなあ、見てくれよリンナ! これこれこれぇ!」

「うるさいぞ、ボクレン! あと近い!」


 驚きのあまり、隣にいたリンナの顔に明細をゼロ距離でグイグイしてしまった。


「ふふ、特別ボーナスですから当然です。今回は本当に良くやってくれましたね、ボクレン」


 綺麗なプラチナブランドを揺らしながら、ニッコリと微笑んだ隊長殿。

 どうやらこのボーナスは、夢まぼろしではないらしい。


 ここはなんという職場なのだろうか。


 美少女と美人に囲まれて。


 ちょっと魔物を殴っただけでボーナスが出る。


 おっさん、天国に来たのではなかろうか。


「ボクレン、隊長の執務室で騒がしすぎるぞ……そ、そんなにあるなら……あ、あとで奢れよ!」

「おう、もちろんだリンナ」


 これは俺だけの手柄じゃないからな。


「あらまあ~リンナも男性に興味を持ち始めましたか。安心しました」


「―――なぁあ! た、隊長なにをっ!? こんなおっさん、キモイだけです!」


「ふふ、そうですか。お似合いだと思うのですけどね」


 お似合い?


 隊長も冗談が好きだな。

 おっさん相手とか、あり得んだろ。


「ははっ、隊長。それはあまりに可哀そうだろ。リンナほどの女性なら、引く手あまただろうからな」


「――――――っ~~~~!! 貴様、黙れ!! 」

「いてぇえええ!!」


 ガチで足を踏まれた……


 やはり、年頃の女性をおっさんノリで茶化しちゃいかんかった……


 そんな俺たちのやり取りを微笑ましく見つめていた隊長が、話題を変えた。


「そうだ。アダマンタートルの甲羅ですが……」


 ああぁ、やな事思い出したぁ。


 おっさん聖女像のスカート壊したから、1000年給与天引きの負債を背負っていたんだった。

 お目当てのミスリルタートルではなく、カメだからなぁ……俺のいた森にウヨウヨいたやつ。


 ていうか、このボーナスも全て回収なのではないか!?


 そんな絶望に染まりガックリと肩を落とす俺に、意外な言葉がかけられた。


「これでかなりの部分が補填できますよ」


「ほぇ……マジすか、隊長ぉ」


「ええ、ボクレン。素材が素材なので(本来チャラどころかお釣りがくるのですが)、多少難航はします(アダマンタイトなんてミスリルより希少な素材を扱える職人が、なかなかいないので)」



 ふぉおおおお~~おっさんの借金ちょっと減ったらしいぞ! やた~~!!



「てことは隊長殿、ボーナスは没収されないでありますか?」

「ふふ、しませんよ。私を鬼だとでも思っているのですか?」


 いえ、天使に見えますです!!


 やったぞ、おっさんのボーナス生き残った。



 さて、ではまず一番にやることは……




 ◇◇◇




「わぁ~~どれも美味しそうです♪」


 俺は今、セシリアたちと王都の有名クレープ屋に来ている。


 野外演習で頑張ったセシリア。

 帰ったその日から、いつものごとく教科書を読みこんだり翌日には朝練にいそしんだりと、努力努力の鬼である。


 そんな彼女におっさんは言った。


「セシリア、もっと大事なことを忘れているぞ」

「え、大事なことですか? もしかして新しい朝練ですか!?」

「……よし、一回訓練から離れなさい」


 どんだけ努力するんだ、この子は。


「でも、積み重ねが重要って。ボクレンさんも言ってたじゃないですか」

「そうだが、もっと重要なものがある。それは……

 ―――――――――ご褒美だ」


 というわけで、今日はセシリアが頑張ったご褒美を楽しむべくこの店にきた。

 有名店らしく、注文するために並んでいるのだ。


「にしても……いいのでしょうか? こんなご褒美をもらってしまっても」


 いいに決まっている。


「もちろんだ。俺なんて毎日ご褒美あげてるぞ、エールで晩酌だ」


「むぅ……それに関しては聞き取り調査(主に女性関係)したいところですが……わかりました。

 ――――――今日はめいいっぱい楽します♪」


 なんか、若干不穏な単語は出たが、最終的にニッコリセシリアだったので良しだな。


「ふぁああ……トッピング迷っちゃうね」

「本当ですね。これは凄そうです」


 聖女マルナとクリスティが、店舗にズラ~~っと並ぶサンプルに嬉しそうな悲鳴をあげた。

 セシリアを誘う時に、彼女たちもいたので声を掛けたのだ。

 2人も演習頑張ったんだから、ご褒美はもらっていいからな。


 そしてもう一人……


「ボクレン、ワタクシの好みに合わせてオーダーしてきなさいですわ!」


 縦ロールの髪を揺らして、独特のですわ口調。

 聖女アレシーナだ。


 彼女は演習の一件以来、単独での行動が増えていた。

 取り巻きの聖女たちが彼女に愛想をつかしたとか、そういう訳でも無さそうだが。


 まあ演習では同じ班だったしな。


 俺が誘ったのだ。


 にしても俺のセンスで注文していいのか。

 クレープなんか食ったことないし。


 とりあえず、若い子たちの注文を見るか。


「みんな好きなもの食べていいからな。おっさん特別ボーナス出たから、遠慮はいらんぞ」


「「「やったぁ~~!!」」」


 なにこの子たち。


 かわいすぎるんですけど。


 金がある限り貢いでしまいそうぅ……おっさん。


「は~~い、次のお客様ぁ~」


 おっと、俺たちの番がきたようだ。

 先頭打者は、セシリアか。


 ふふふ―――


 見せてもらおうか、今どきの女子オーダーとやらを。


「ホイップマシマシ、あんこドカ盛、アイスぎし詰めぇでおねがいしま~~す♪」


 …………??


 え? なんだって?


 おっさんちょっと聞き取れなかった……


 そして、セシリアのオーダーされたクレープが彼女の手に渡り……


 って、デカぁあああ!!


 なんじゃこれ!? 


「いっぱいトッピングしちゃいました~今日は我慢しません♡」


 いや、それは全然いいんだが……もう何が増えてるのかわからん。 にしても、うわぁ……まるで山だな。サンプルの原型がない気がする。


 その後も聖女たちのオーダーが連発する。


「クリーム鬼盛り、フルーツ全のせ、チョコソース決壊で!」

「ホイップ もふもふエクストラ、いちご ときめきMAX、トッピング甘さスイートインフェルノで!」


 ちょっとまて!


 何語だよ、それ!

 そもそも王国の言語なのか!?


 そして、マルナとクリスティの手にも山のようなクレープが……


 おっさん無理だ……あんなん食えん。


「つぎ、ボクレンさんですよ」


「ああ……えっと、俺はクリーム、ホイップ、トッピングすべてなしなしで……」


「それ、ただの皮ですよ!?」


 俺の天使が突っ込んできたが、もう分からん……おっさんなんも分からん。


 あ、そうだ。アレシーナの分も頼まんといかんかったんだ。


 俺のはどうでもいいが、せっかく待っている彼女の分は適当ではいかん。


 ―――集中! おっさんの全ての知識を総動員する!



「わ、ワサビマシマシ! 岩塩爆盛り! 塩辛 しょっぱMAX! ネギま100連撃!

 …………ふぅ、ふぅ……ど、どうだ」


「どうだ? じゃないですよ!?」


 またセシリアに突っ込まれた。


 だが俺の天使は、そっと耳打ちをしてくれる。


「(アレシーナさんはおそらく……これとこれと……)」


 ふぁあ……やっぱおれの天使や、この子。


 こうしてテーブル席で、笑顔咲き乱れる聖女たちを見ることが出来たおっさん。

 クレープは程よい甘さで、けっこう美味かった。


「ああぁ~~美味しかったぁ~~」

「うん、そうだねセシリア」

「こちら一度は来てみたかったお店ですしね」


「「「ボクレンさん、ご馳走様でした~♪」」」


 大満足なようで良かった。


「ふふ、なんだかあなたを見ていると……いえ、なんでもありませんわ」


 ずっと話さなかったアレシーナが口をひらく。


「どうだアレシーナ、クレープは?」

「ええ、たいへん結構でしたわ。お誘いいただき感謝ですわ」


 なんだ? いつもと違い妙に素直な……どうしたんだ?


「ところで……」


 アレシーナが縦ロールを揺らして、俺の前にズイっと顔を寄せてきた。


「な、なんだ?」


「ワタクシ、聖騎士がいませんの」


 うむ、アレシーナにペアの聖騎士は現在いない。

 逃亡したブロスは行方不明らしいし。


「ということで、よろしくお願いしますわ」


 なにを?


「しゃきっとなさい! ワタクシの聖騎士ボクレン!」



 はい? 何言ってんのこの子?



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※本作はカクヨムにて先行公開中です。


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