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第31話 聖騎士ブロス視点、吾輩を誰だと思って……ひぃいいい! 地面から船ぇ!?

 森の演習から数週間後。


「はぁっ……はぁっ……くそぉ……」


 ぼろ雑巾のような姿で、吾輩は山中をさまよっていた。

 栄えある聖騎士の鎧もその輝きを失っている。


「クソぉ……国境付近まできたが、ここより先は魔導国であるか……」


 なぜ吾輩はこんな道なき道を進まねばなんのか。


 クソぉクソぉクソぉ~~なんとか侯爵家の騎士となり、あの手この手でライバルを蹴落とし、将来有望な小娘アレシーナの学園聖騎士となったのにぃ。

 あの小娘は権力を欲っしておる。吾輩の目に狂いはない。


 アレシーナを利用すればぁ~~甘い汁を吸いまくることができる。


 完璧な計画であったのにぃ。



 ――――――このざまである!!



 まったく、あんな魔物大量発生(スタンピード)に巻き込まれたら……

 ――――――逃げるに決まってるのである!


 小娘よりも吾輩の命の方が遥かに尊いわい。


 なのにぃい……あのおっさんめぇええ!!


 逃げる吾輩を追う魔物どもが、どんどん減っていくのでおかしいと思ったら。

 木刀のおっさんが、バシバシ殴り倒してくるではないかぁ!


 隠れて様子を伺っておると……なんとケルベロスまで殴り倒しよったではないか!


 まだ聖女や聖騎士どもが全滅すれば、吾輩の逃亡は隠せたかもしれんのにぃい……

 吾輩の世渡り最高頭脳をフル稼働させればぁ、なんとでも言えたのだぁ!


 だがだがだがぁあ!


 おっさんのせいで、その選択肢は完全にきえたぁあ!


 もう逃げるしかない。


 この国にはいられんのだ。


 侯爵家の推薦も、未来も、ぜんぶパーである!


「グロロロロ……」


 へぇ??


 なんか聞いたことあるような……


「グロロロロ……」

「グロロロロ……」


 ま、ま、ま、まさかぁああ……


「グロロロロ……」

「グロロロロ……」

「グロロロロ……」


 3頭同じの唸り声……


「ひぃいいいい! け、け、ケルベロスぅううう!?」


 しまったぁ……山奥に入りすぎたのである!

 ここは聖女どもの【浄化】もろくにいきわたっておらん! 上位魔物がウヨウヨいる危険地区!


 にしても、ここまで高レベルの魔物が出てくるとはぁああ!


 どうする! どうするのだ!


 国境まで全力疾走するであるか?

 ……いや、魔導国エーテルギアとの境には、たしか大聖女の【結界】が張られているはず。


「「「……グォオオオオ」」」


 三つの頭に高密度の魔力が収束されていく。


「はわぁあああ! 死滅の炎弾がくるううぅうう!」


 吾輩の華麗な人生はこんなところで終わるのであるかぁあ!


 ―――!?


 は、はれ?


 じ、地面が揺れて……おる?


『魔導ソナー目標捕捉!』


 な、なんであるか?


『方位〇一五、距離一二〇〇……1番2番発射管ひらけ!』


 地面から変な声が聞こえるである!

 幻聴であるかぁ??


『―――発射ぁあああ!』


 ふはぁああ~~なんか地面からズズズと揺れが大きくなるぅうう!


 ドゴォォォォン!!

 ドゴォォォォン!!


 大地が爆ぜ、土塊が天高く舞い上がった。


「な、な、なんであるかぁ! 地面がいきなり爆発したであるぞぉおお! ケルベロスも爆発したであるぞぉおお!」


 爆散するケルベロス。その巨体が肉塊と化している。


『……浮上!』


「ひぃいいい! つ、土の中から……ふ、船ぇえええ!?」


 円錐のような形をした船? が地面を割って現れる。そして……ひ、人が出てきたであるぞぉお! なんじゃこれは夢であるか?



「長官、目標の撃破を目視で確認。

 ―――や、やりました! ついに魔導土魚雷の実験成功です!」


「はしゃぐな馬鹿者。肉片をよく見ろ、爆裂点がズレておる。魔力追尾推進魔道具の調整が必要か……」


「報告! 各ブロック異常なしであります!」

「船体の方も上々ですよ。この深度を維持できれば、大聖女の【結界】下を常時通過できます」


「うむ。良くやった。ところで……」


 ひぃいい! 長官とか呼ばれている奴の視線が、吾輩に……!!


「あそこに転がっているみすぼらしい奴はなんだ?」


「あ、あれ? 魔導ソナーには感知されておりません……でした」

「むう、ソナーも最終調整が必要か……で、あの豚はなんだ?」


「長官、あの鎧に紋章、おそらくは王国聖騎士かと思われます」


「……あんな薄汚い豚が聖騎士だと? まあいい、試運転に良い土産を拾った。

 ――――――あの豚も連れていく! 拘束せよ!」


 な、な、なにが起こっておるのだ。

 わけがわからんすぎるぞ!


「ま、ま、待て! 吾輩はただの通りすがりの―――くはぁ……く、くるなぁ!」


「黙れ豚ぁ! さっさとこい!」


 ひぃいい! い、いやだ! なんで吾輩がこんな酷い目にあうのだ!


 吾輩は訳も分からぬまま、不気味な船の中に連れ込まれてしまった。


 なんだ、ここが船内なのか?

 おおよそ船とも思えん金属、魔道具、見たこともない装置がビッシリではないか。


「これより帰投する。―――潜航準備!」


「了解! 土属性魔導フィールド展開開始! 土中潜航はじめ!」


 ふ、船が、水も無いのに動き出したのである!


「深土20メートル、水平航行に切り替え、魔導エンジン正常、土属性フィールド正常稼働中!」


「よし、ドックに戻り次第、最終整備に入るぞ」


 意味不明な単語が飛び交う中、吾輩は思わず声を漏らす。


「ひぃいい、な、なんじゃこの船……土の中を……」

「だまれ、許可なく話すな」


 長官と呼ばれた男が、氷のように冷たい視線を向けてくる。


「長官! さすが聖女の聖属性魔力ですな。魔導エンジンがこれほど安定するとは」

「ふむ、だが肝心の燃料(聖属性魔力)が希少すぎてはな……」


 聖女? 燃料? いったいさっきから何を言っておるのだ?

 軍服の襟からチラチラと……


「そ、その紋章は魔導国の……き、貴様ら」


「黙れと言ってるだろ、おい準備だ。まったくあのレクラとかいう元聖女が仕事をせんから、こういうことになる。まあおかげで、本国より早期試運転の許可を得たのだがな」


 吾輩の前に、注射器を手にした男が立つ。


「な、なにをする気であるか! わ、吾輩はかの聖女学園聖騎士なるぞ! 聖騎士ブロス様だぞぉ!」


 長官と呼ばれた男の口角がグッと上がった。


「ほう、学園聖騎士か――――――ならば聖女学園の情報もたっぷり持っているってことだな。おまえの意志はいらん。安心しろ最新の薬づけにしてすぐに喋るようにしてやる。終わったら廃人になるがなぁあ。フフ……」


 廃人? 何を言っておるのだ。吾輩は聖騎士ブロスだぞ! 

 ち、近寄るなぁああ!



「ひぃいいいいいい……」


 吾輩が、吾輩がこんな……


 そして、吾輩の意識はそこからぷっつりと途絶えた……。




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第31話まで読んで頂きありがとうございます!

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