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第23話 おっさん、木刀で魔物をしばきまくる

 では次はバレッサの二重攻撃だな。


 えっと……こんなかんじ……か?


「ぬんっ! ぬんっ!」「ぬんっ! ぬんっ!」


 ドサドサっと魔物が地面に沈む。


 う~~ん、なんか続けざまに打ち込んでる感が否めないな。

 もっちょっと素早く―――


「ぬぬんっ!」「ぬぬんっ!」「ぬぬんっ!」


 おおっ!


 魔物たちが、ほぼ同時に倒れていくぞ。

 コツを掴んだかもしれん、おっさん。


「どうだバレッサ、俺も二重攻撃出来たかもしれん」

「いやいや先輩……二重って言うか三重、四重以上……もう多重すぎっす」


 むう……バレッサからは渋い反応が返ってきた。


「そっか……ムズイな加護…」


「「いや、真似する必要性ゼロです!」っす!」


 レイニとバレッサが一斉に声を揃える。


「ギャルウウウウ!」

「ギュアララア!」


 しゃ~ない、おっさんは大人しく木刀振っとくか。


 といった具合に、俺は無心で木刀を振り続けた。

 魔物から押し寄せてくれるので、ぶっちゃけ楽だ。


 にしても……久しぶりに、故郷の魔の森を思い出すな。


 朝練で木刀振りつつ、寄ってきた魔物をバシバシたたく。

 やたら底の深い洞窟に行った時も、木刀振りつつ魔物をバンバン打ち据えていく。

 夜は夜で、闇のなか気配のみで襲ってくる魔物をブンブン木刀でなぐる。


 それが俺の日常で、そうしておっさんにまでなってしまった。


 学園聖騎士に赴任したての頃は、日常がガラッと変わってなんとなくムズムズしたもんだ。

 なにせ学園は魔物が出ないからな。当り前だけど。



 などと思い出に浸りながらも、木刀振ること数分後……


「よし、俺の方は片付いたぞ」

「くっ……先輩、あと80匹ほど残ってるっす」


 バレッサが弓を放ちながら、汗をにじませる。

 通常の一本撃ちに戻っている。やはり、二重撃ちにはまだ慣れていないし負担も大きいのだろう。


「わたしは3匹……です……ぜぇ~はぁ~ぜぇ~はぁ~」

「おお、もうほとんど倒したのか。やるなレイニ!」


「違いますぅう! 3匹倒しましたぁああああ!」


「お……おう」

「だってだって、わたし斥候特化の加護なんですぅ。こんな四方八方囲まれてるの想定外なんですぅう!」


 てことはレイニの方はあと97匹残っているってことか。


「よし、2人とも良く頑張ったな」


 とりあえずレイニの加勢をした。なんか女子としていろいろヤバイ顔になってたし。

 それが終わると次はバレッサの方へ。


「これであらかた片付いたな」


「ふぅ~~先輩いてくれて助かったっす」

「ふはぁああ……信じられないけどぉ~生き残ってるぅう……上位種の魔物だらけだったのにぃ……ボクレンさんが異常で助かったぁ」


 俺が異常っていうか、おそらく彼女たちはザコに全力を出しすぎたな。

 俺たちが倒した魔物は上位種とやらではない。なぜなら、おっさんが森で毎日相手していたやつらだからな。俺ですら余裕な魔物なんだ。

 そして、2人の使った【加護】は、そうとう身体への負荷が高い。疲弊しきった彼女たちを見ればわかる。


 敵の力量を見極め、力加減を見誤らないこと―――

 これは口で言っても習得はできない。実戦あるのみだからな。

 若い彼女たちにはまだまだ未来がある。今後学んでいけばいいことだ。


「さて、俺たちも本隊を追いかけるか」

「そうっすね。魔物がここにだけ出現しているとは限らないっす」


「ああ、少し離れた場所から魔物の気配を感じるな……」


 セシリアたち本隊が移動した先だ。


「あ……だったら、わたしが―――ハァっ!」


 あっという間に近くの大木を登って行くレイニ。

 すごいな、そういえば魚とったときも木の上にいたんだっけか。


 しばらくして降りてきたレイニによると。

 前方数キロ先で、本隊と魔物が交戦中のようだ。


「隊全体が足止めされているみたいですぅ」


「先輩、うち漏らしの逃げた魔物たちも本隊の方へ向かっていくっす」


 その魔物を殴りながら、本隊に追いついてもいいが―――


「お! これはいいもの見つけたぞ」


 俺の視線の先に見えた、黒い鉛のような塊。


「あれってボクレンさんが討伐したアダマンタートルの甲羅……」


 そうだ、こいつを使おう。


「バレッサ、レイニちょっと後ろへ下がってろ」


「おお、先輩こんどは何する気っすか」

「ふぁああ……まだなんかやるんですかぁああ……」


 甲羅をひらけた場所に持ってきてと。


 セシリアたちが進んだ道へ身体をむける。

 よしよし、やはりこの線上がいちばん魔物の気配が多い。


 俺は木刀を腰から抜いて、すぅ~~っと息を整える。



「方向良し! 角度よし! 振りかぶってぇ―――

 ―――――――――ぬうんんんんっ!!」



 ばっっつこぉぉぉぉん!


 という快音とともに、甲羅が勢いよく弾き飛ばされる。


 高速弾丸甲羅ライナーがビュンビュン音を立てて飛ぶ。

 線上にいた魔物たちが、パンっ! パンっ! パンっ! と風船が割れるかのようにはじけとんでいく。


「うわぁあ~~アダマンタイトの弾丸とか、絶対当たっちゃダメなやつっす」

「ひぃいいい、なにこれぇ……現実ぅ?  夢ぇ? もうやだぁ、心臓もたないぃいい」



「よし、俺たちも甲羅の後に続くぞ」



 セシリア待ってろよ、おっさんすぐに行くからな。


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