遅い刻を
ねえ、ありがとう
私を間違えたままにしてくれてありがとう
ずっと不思議だったんだ
こんなところにいたんだね、今初めてわかった
さぞもどかしかったろう、それなのに私、好きにさせてもらっていたんだね
ほんとに知らなかったの、わかってしまえばこんなこと
だけど、ほんとにわからなかったんだ
私たちには
間違える自由があった
傷つける自由があった
愚かであってもよくて
醜くてもよかったんだ
それをそのままそうしてた、ただそれだけだった
だから君が優しい、って言われていつも変な顔してたのは、君にとってはくつひもほどけたら結び直す、くらいの当然すぎることだったから、何をもって優しいって言われてるのかわからなかったんだね、きっと
私ほんとにわからなかったんだよ
わかってしまえばこんなこと、なんでわからなかったんだろう、って思うけど
ねえ、叫び出したいくらいだよ
世界をこんなに愛していたんだね
損な役回りだろうと馬鹿らしかろうと
諦めて投げ出して知らんぷりしたみたいでも
だからずっと私の中にいたのか
なんだろうこれは、って思ってたけど私
ずっと優しさに見守られていたんだ