表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

369/419

15 ファクトリーゴーレム&ブロックゴーレム

 

 

 ゆっくりと休み、英気を養えば次にやることは何か。

 

「さぁさぁ!労働再開だぁ!」

 

 働くことだ。

 

「リベルタは休んでないよね?」

「え?ネルたちと遊んで休んだよ?」

 

 しっかりと遊び通し、心も体もリフレッシュ!

 ネルからは休まなくて大丈夫?という視線を受けたが、そこら辺は問題ない。

 

 流石はクラス8の肉体。

 身体能力の高さもさることながら、自然回復能力が格段に高い。

 

 ラジオ体操をして体の調子を確認してみるも、不調と思い当たる箇所はない。

 

「それに真剣にやるけどこの開拓作業も俺にとっては遊びと変わらないし!いや、むしろ遊びだからこそ全力でやるまである!」

 

 むしろ、これからも遊べると考えると活力が湧いてくるほどだ。

 遊びというとふざけているように聞こえるかもしれないが、遊びこそ真剣にならなくてどうするというのが俺の持論だ。

 

 好きなことこそ手を抜くなかれ。モチベーションを上げられる遊びこそ真剣に挑めるのだ。

 なぜ、手を抜くなどという発想になるのか。

 

「幸い、俺たちが休んでいる間にも御庭番衆やエンターテイナーの面々が商店街の人たちを鍛えてくれていたおかげで、開拓作業に必要な最低限の作業人員は確保できた。西の大陸からドワーフが移住して来る希望も送られてきたし、東の大陸からゲンジロウたちの一族が移住する手続きも進んでいる。そうなるとこれからどんどん人が増えるな」

 

 楽しいことって真面目にやった方がもっと楽しくなるんだよ。

 だからやり込みって止められないんだよ。

 

「リベルタ君がすっごく楽しそう」

「はい、しっかりと英気は養えていたようです」

「少し元気すぎる気もしますが」

「大丈夫ですわ。いざとなれば私たちが補佐すればいいだけのことですわ」

 

 ニッコニコと、スケジュールを組む作業が止まらない。

 

「お、もう来ていたのか。遅れてしまったかな?」

「いえ!!ジンクさん、俺が楽しみすぎて早く来ちゃっただけですよ」

「ハハハ!元気だね」

 

 作業現場に先着していた俺たちの元に集う、商人から作業員にコンバートしてくれた商店街の人たち。

 それをジンクさんが引き連れてやってきたことによって、今日の作業が始められるようになった。

 

「元気百倍って言えるくらいにやる気に満ちてますんで、さっそく作業を始めようと思います!」

 

 フンスと気合を入れる俺を見て、ジンクさんたちが苦笑している。今日は開拓した平野、仮の住まいになっている開拓村の隣の敷地が作業現場となる。

 

「アミナ!一号から八号まで全部召喚してくれ!」

「わかった!」

 

 この開拓作業を始めてからやっているおなじみの行程。

 

 ゴーレムの維持管理はアミナを通して召喚と送還をすることによって精霊界でして貰っている。

 作業開始時にアミナが重機ゴーレムたちを呼び出し、終業時に送り返す。

 

 これによって盗難の心配もメンテナンスの手間もないわけだ。

 

「で、でかい」

「なんだこりゃぁ」

「箱かこれ?」

 

 今まで伐採を担当していたハーベスタゴーレムや地面を平らにするロードローラーゴーレム、さらにクレーンゴーレムにコマンダーゴーレムと見てきたが、今回登場するゴーレムはどのゴーレムよりも巨大だ。

 

「これが皆さんに使ってもらう、ファクトリーゴーレムです」

「ふぁくとりーごーれむ?」

 

 見た目は巨大な箱に、巨大な四本足がついただけのゴーレムだ。

 手抜きデザインしましたと言わんばかりの見た目だが、本体である箱はこの開拓作業というより、今後の町の建設に重要な物を作るためのとんでもない機能を有している。

 

 聞き覚えの無いゴーレムの名前に、作業員の一人が首をかしげるが、このゴーレムの機能は説明するよりも見せた方が早い。

 

「使い方は実地で説明しますね。それじゃぁ皆さん上の方に移動してください」

 

 真四角の体を持っているゴーレムの脇には昇降機もついていて、一度に十人くらいは体の上に運ぶことができる。

 

 全高も20メートル級と中々でかい。

 

「人を運べる箱か、これは砦とかに配置すれば物資運搬に活用できるのではないか?」

「うちの町の防衛機能のある施設には設置しますよ」

「これだけでも、他所の領主は喉から手が出るほど欲しがるだろうな」

 

 そして、登った先の景色よりも昇降機に商機をジンクさんは感じているようで、ちらりと俺の方を見て売る気はないかと視線で聞いてくるが、それは今のところはないと苦笑しておく。

 

「まぁ、それ以上にこいつの方を欲しがりますよ」

「売る気はないだろうね?」

「ええ、当然です」

 

 はっきり言って、このゴーレムはFBOにおいて開拓団の一番の主力だったと言っていい。

 こいつが一機あるだけで、開拓という概念が覆るほどだ。

 

 動かしたら驚くだろうなぁって心の中でワクワクしながら、操縦席の方につく。

 こいつもコマンダーゴーレムで動かすことはできるが、こいつは単独で動くことが多いので操縦席が用意されている。

 

「起動」

 

 座席に座り、魔力を流す。

 それによって、この工場ゴーレムは起動する。

 

 今までのゴーレムよりも大きな駆動音。

 そしてゆっくりとした動き。されど力強さを感じさせる。

 

「動きは、普通だな」

「だけど、リベルタ君が用意したゴーレムだぞ?」

「そうだ、ここからどんなびっくり機能が出てくるか」

 

 まずは前進させただけだが、それだけで作業員たちから固唾を飲み緊張しているのが伝わってくる。いや、それだけではなく期待の眼差しも混ざっているようにも感じる。

 

 他のファクトリーゴーレムから離れた位置で一時停止、そして移動とは違う別のレバーを操作し始める。

 

 レバーを操作すると同時にガコンと音をたてて箱型の胴体の正面のハッチが開かれ、そこから作業機械が出現する。

 

 この作業機械自体はそこまで大したものではない。

 いや、出力的なことを考えればとんでもないパワーを持っているが。

 

 削岩機の下にベルトコンベアのついた、ちり取りのような形状の機構だ。

 

「なぁ、これって、掘っているんだよな?」

「ああ、掘ってるな」

 

 作業自体は地面が削岩機によって砕かれ、細かくなった砂や石をちり取りの方に回収してゴーレムの体の中に収納しているだけ。

 

 この作業を見て、なんでこんな巨体にする必要があるのかという疑問だ。

 

 見えないところで何かが起きている。

 それはわかるが、何が起きているかがわからないと困惑する人たちの感情を背中で感じつつせっせと土砂をファクトリーゴーレムの体内に取り込む。

 

 ガコンガコンとさっきからせっせと稼働音が響きつつ、あっという間にかなりの大きさの穴が掘られたころに、背後のハッチが開き何かが出てくる。

 

「え、後ろからゴーレムが出て来たんだけど」

「え、ウソだろ」

「いやマジだって、もしかしてこのゴーレムって」

「そう、ゴーレムを作れるゴーレムだ」

 

 多機能なゴーレムを作るレベルではないし、素材を吸収しないと何も作れないが、プリセット機能で同一規格のゴーレムを量産することができる。

 

「妙に角ばったゴーレムだな」

「腕はあるが、手がないぞ。あれじゃ物を運ぶことも難しい」

 

 手すりに近寄って下を見れば、ファクトリーゴーレムの背後から次々に自律して歩いて出てくるゴーレム。

 土の色と同色の胴体部分が立方体の人型のゴーレムはこのファクトリーゴーレムと比べるとだいぶ小さい。

 

 そんなゴーレムをただひたすら地面を掘り進めて量産して、二十体ほど生産したらファクトリーゴーレムを一旦停止する。

 

「ということで、これがファクトリーゴーレムだけど使い方わかった?」

 

 とりあえずこのファクトリーゴーレムが地面を掘ってゴーレムを作る。

 その一連の流れは分かったようで、頷き、問題ないと返事を返してくれるが、わざわざ用意したここまで大掛かりなゴーレムが、何のために必要なのかという疑問は拭えていない。

 他にもこの四脚はありとあらゆる悪路でもこの巨体を支えられたりするようにできているんだけど、それは追々ということでひとまずファクトリーゴーレムから降りる。

 

 俺たちは飛び降りて、作業員の人たちは昇降機で降りてもらう。

 

 そして集合するのはついさっき作ったゴーレムの前だ。

 

「さてさて、次にこいつの使い方だけど」

 

 俺は作られて一定の距離を歩いたら棒立ちとなったゴーレムたちの前に立つ。

 

「このゴーレムの名前はブロックゴーレム」

 

 そしてボディーをノックすれば、さっきまでの土でできたはずのゴーレムは硬質な感触を指先に伝えてくる。

 

 土を固めて作ったのではなく、れっきとしたレンガとしてその体を形成している。

 ファクトリーゴーレムの中には錬金台のような装置があって、次から次へと土がレンガに錬成され、それが組みあがりブロックゴーレムとなっているわけだ。

 

 吸収する素材を鉄鉱石とかに変えるとあっという間にインゴットを大量生産し、アイアンブロックゴーレムが完成するのだ。

 

「今回は城壁の素材になるゴーレムだよ」

 

 FBOの建築作業はいかに安全に、いかに効率的に作業ができるかを追求した。

 そんな最中に発明されたのがこのブロックゴーレムだ。

 

「こいつはコマンダーゴーレムで現場まで自律で歩かせて、現場まで移動したらその体を色々な形状に変形させることができるゴーレムでね」

 

 アミナに目くばせをしてコマンダーゴーレムを一体召喚してもらう。

 そのゴーレムに乗り込むと、俺は操作端末に指を走らせブロックゴーレムとリンクする。

 

 そして一斉に動き出すゴーレムたち、今回はデモンストレーションということで、すぐ近場で組み立てる。

 

 変形機構を利用して、ブロックゴーレムの一部は階段状に変形し、それを足場にして上へ上へと積み上がりブロックゴーレムは壁を作っていく。

 

「そして合体させれば、あっという間に城壁が出来上がるっていう便利ゴーレムだ」

 

 おまけにゴーレム固有スキルである合体機能を使えば、一個の大きな壁が出来上がる。

 

「あとは、緊急脱出指示を出してゴーレムコアを回収してクレーンゴーレムでファクトリーゴーレムに運んで再利用すれば土を掘るだけで城壁ができてしまう」

「「「「「・・・・・」」」」」

「ファクトリーゴーレムでブロックゴーレム錬成、コマンダーゴーレムでブロックゴーレム組み上げ、クレーンゴーレムでゴーレムコア回収と再装填、この三つの作業を分担して行えば、三人で城壁も砦もつくれますよ」

 

 一体のブロックゴーレムで造れる立方体の体積は、1立方メートル。

 ファクトリーゴーレムは一旦材料を吸収し始めれば、あとは継続的にゴーレムを作り続けることができる。

 

 安全重視でゆっくりやって分速でおおよそ3体、20秒で1体ペース。

 1時間で180体。

 うちは1日8時間労働を目安にしているので、1,440体生成できる。

 さらにファクトリーゴーレムが8体いるので、1日で11,520体生成できる。

 慣れてきて手早く安全にできるようになれば5倍から6倍まで作業効率は上げられる。

 

「まぁ、いきなり砦は難しいので、まずは城壁から作っていきましょう!」

 

 俺の行動に驚くことにすら慣れた人たちであっても、まだまだ驚くことができたのかと目を見開いた後に、苦笑して互いに顔を見合わせ頷き合う。

 

「たしかに、このゴーレムを見た貴族がいたとしたら絶対に欲しがるね」

 

 ジンクさんの言葉がきっと作業員たちの心情だろう。

 俺はその言葉に満足気に頷いてから作業員の方に向き直る。

 

 ここからが本格的に町作りの始まりだ。

 

「それじゃぁ、作業分担しますね。呼ばれた人ごとに班で分かれてくださーい」

 

 ファクトリーゴーレムの使い方を説明し、さらにアミナに追加でコマンダーゴーレムを召喚してもらう。

 

 ファクトリーゴーレム1に対してコマンダーゴーレムは4体そしてクレーンゴーレム1体の編成だ。

 ファクトリーゴーレムの生成速度を考えると、それくらいの配置になる。

 そしてそれだけの作業員の数は確保できないから、御庭番衆とエンターテイナーからも人員を派遣させて不足を補う。

 

「班長は、ファクトリーゴーレムに乗って全体作業の把握をしてください。あ、あと絶対に安全のためにヘルメットはかぶるように!作業は安全第一で!」

 

 町の枠組みを作るための城壁づくり、俺が現場監督に入ってネルたちにサポートしてもらいつつ工事を進める。

 

 広げた町の設計図を見て、にやける頬を堪えつつ。

 

「それでは今日もご安全に!!」

 

 作業の開始の指示を出すのであった。



楽しんでいただけたのなら幸いです。


そして誤字の指摘ありがとうございます。


もしよろしければ、ブックマークと評価の方もよろしくお願いいたします。


コミカライズ連載中です!!

さらに書籍第一巻発売しました!!

第1巻のカバーイラストです!!

絵師であるもきゅ様に描いていただきました!!


挿絵(By みてみん)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
現実になっただけで趣味そのものの世界だからな。 そりゃあ楽しいよね。
猫種族の人にヘルメット被せたい……特に意味はないけども!
現場猫がコメント欄に多数出没w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ