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夜空色のインクで描くのは

作者: 唄川音

 ロティアは少し変わった魔法が使える。

 それは、「木でできた魔法の杖の先端で、文字や絵をなぞると、そのインクを紙から取り出せる」という魔法だ。


 例えば、真っ白い紙に、黒いインクでガチョウを描いたとしよう。その線を、杖の先でゆっくりとなぞる。すると、金魚のフンのようなふよふよしたインクが、宙に浮かび上がってくるのだ。

 とても珍しい魔法だが、はっきり言って、役には立たない。


「……そんなんだから、きっと、チッツェルダイマー家のみんなが、わたしを『できそこない』だって、思ってるのよ」

 ロティアは、自分の周りをふよふよと浮かぶ「元はガチョウの絵だったインク」を手で払い、真っ白になった紙をポケットにしまった。

「なるほど。それで、ここで泣いてたってことか」

「……うん」

 ロティアの話を聞いてくれていた真っ白いハトは、まるでうなずくように、くちばしを小さく縦に揺らした。


 ロティアとハトは、深いピンク色の波のようにヒースが生えた丘の上にいた。

 びゅうびゅうと風が吹いている丘の上はとても肌寒い。そのせいか、生き物の気配はほとんどない。そんなさみしい場所で、丈の長い外套(がいとう)で全身をすっぽりと覆ったロティアは、小さくなって泣いていた。するとそこへ、このハトがやって来て、「話を聞こうか?」と優しく声をかけてきたのだ。


「でも、チッツェルダイマーって言ったら、お隣の国で昔から有名な魔法一族だろう? まさかここまで歩いてきたのか?」

「ううん。こんなちっぽけな魔法の他に、空は飛べるから、飛んできたの。……わたしのこと、誰も気づかないところで、一人になりたくて」

 つい先ほどまで、ロティアの暮らすお屋敷の庭で行われていた昼食会。

 芝の上に敷かれた大きな絨毯に座って、豪華な食事を囲む中で、ロティアだけがダメなやつだった。一族の者はみんな、チッツェルダイマーの魔法使いとして、世界中で活躍している。一歳しか変わらない兄のロシュですら、水を操って、田舎町まで続く水路をいくつも作っている。

 その一方で、ロティアが使える魔法は、インクを取り出すだけ。

 この魔法が使えるとわかった日から、ロティアに対する風当たりは、百八十度変わってしまった。両親はあまり顔を合わせてくれず、兄たちもあわれむような目を向けてくるようになったのだ。


 いたたまれなかった昼食会を思い出すと、抑えていた悲しみが風船のように膨れ上がって、ロティアは涙が出そうになった。


 泣いたら、ハトさん困るよね。

 そう言い聞かせたロティアは、鼻を手でこすりながらうつむいた。


「オイラはおもしろい魔法だと思うけどな」

 パササッと音を立てて、ハトが飛び上がった。そして、うつむいているロティアの頬に、チョンッとくちばしの先を当ててきた。まるでキスのようだ。

「……なぐさめてくれて、ありがとう」

「本当だって! オイラ、色んな国に行くから、色んな魔法を見てきたけど、そんな魔法は聞いたことないぜ」

「……珍しさだけは一番だって、よく言われるよ」

 ロティアはすねたようにつぶやいた。


 魔法使いは十歳の誕生日を迎えると、空を飛ぶ「飛行の魔法」以外に、自分に合った魔法が使えるようになり始める。

 兄のロシュのように水を自由自在に操ったり、手から火を出したり、風を起こしたり。ほとんどの魔法使いが、「誰かの役に立てる魔法」を使えるようになる。


 そんな中で、わたしの魔法は珍しいだけで、なんの役に立つっていうんだろう。

 ロティアはくちびるをギュウッとかみしめて、うつむいた。


 ハトは「うーん」とうなりながら、ロティアの肩に止まった。

「……なあ。よかったら、オイラのやりたいことを手伝ってくれないか? その魔法で」

 思いもよらない言葉に、ロティアはすぐに答えることができなかった。

 口をパクパクさせると、ハトは「いやか?」と言った。

「……あ、い、いやとか、じゃなくて。だって、わ、わたしなんかに、できることがあるの?」

「おうっ! むしろ今教えてもらった魔法じゃなきゃできないことだぜ。ずっとやってみたいって思ってたんだけど、方法がわからなくて困ってたんだ」

 ハトは「だから手伝ってくれたらうれしい!」と言って、雪のように白い体をくるりと回しながら飛び回った。

 太陽の光で輝く姿は、まるで風に乗る木の葉のようにきれいだ。


 こんなにきれいなハトさんが、ウソを言うかな。

 信じても、いいのかな。

 胸に手を当ててみると、生まれたてのような生き生きとした鼓動が伝わってきた。


「……や、やりたい」

 気がつくと、ロティアはそう口に出していた。

 すると、ハトはものすごい勢いでロティアの目の前に飛んできて「本当か!」と言った。

「う、うん。本当に、わたしなんかで良いなら……」

「やった! 君にしかできないことなんだから、君じゃなきゃダメだよ! それじゃあよろしくな、えっとー……」

「あ、ロティアだよ。ハトさんは?」

「ロティアか、いい名前だな。オイラはフフランだ。よろしくな、ロティア」






「――それじゃあ、夜になったら迎えに行くな」

「えっ、夜に行くの?」

「えっ、難しいか?」

 ロティアとフフランは顔を見合わせて、お互いに目を丸くした。


 ハトが豆鉄砲を食らった顔って、こんな感じなんだ。

 笑ってしまいそうになったロティアは、慌てて口を手で覆った。


「ううん、驚いただけ。何時頃に来る? 夜の十時までは、たぶん出られないと思うんだけど……」

 チッツェルダイマー家の夕食はいつも、大げさすぎるくらい豪勢に行われる。

 お料理は十種類以上あり、金色のロウソクがたくさん灯され、楽団による音楽が三時間ずっと流れていて……。

 ロティアはいつも緊張してしまい、生まれてから今日まで、夕食をじっくり味わえたことが一度もなかった。

 フフランは尾羽を上下に揺らしながら「うーん」と頭をひねった。

「そういうことなら、十二時頃に行くよ。夜が深い方が、オイラも都合が良いからな」

「十二時ね。じゃあ、少し前に窓を開けておくわ」

「なんだ、ちゃんと家に帰るんだな」

 フフランは「えらいな」と言って、羽でロティアの頭をなでてくれた。

「……そんなこと、ないよ。本当は、あんまり帰りたくないし……」

「どうして?」

「……今朝、聞いちゃったの。『あんな魔法しか使えないんじゃ、ロティアをやるところが見つからない』って、父さまたちが話してるのを……」

 話をしているロヤン父さまとロジーア母さまの顔を見ることはできなかった。しかし潜めている声は、まるで氷のように冷たかった。


 チッツェルダイマーの魔法使いとして何もできないわたしは、きっとジャマ者なんだ。

 急にキリキリと痛み出した胸を、ロティアは両手でギュウッと握りしめた。


 すると、またロティアの肩に、温かい重みがふわりと乗った。

「そういうことなら、オイラを手伝うことで、ロティアが自分の魔法に自信がつくようにしてやるよ。オイラは、その魔法は絶対に良い魔法だって断言できるもん!」

 「そしたら家族からそんなこと言われずに済むだろっ」と言って、フフランはロティアの肩に丸くなって座った。

「……フフランは優しいね。ありがとう」

「本当だって! さっきも言っただろう、色んな魔法を見てきたって。珍しい魔法は世界中にあって、みんな珍しい魔法を上手いこと使って、人の役に立ってたんだ。だからロティアの魔法も、いろいろ試したら、きっと想像もできないような使い方ができるさ!」

「……そうかな?」

「そうだよ! だから笑ってくれよ! さっき、オイラの驚いた顔に笑った時みたいにさ」

 ロティアはハッとして、口元を両手で覆った。

「……気づいてたんだね」

「別にいいさっ。ハトが豆鉄砲を食らった、なんて言葉ができるくらいおもしろいみたいだからな、オイラたちの顔は」

 フフランはケラケラと笑いながら、ロティアの肩からパタタッと飛び上がった。

 そして、酔っ払ったみたいに、フラフラと宙を飛び回った。

 その姿がおかしくて、ロティアが声を出して笑うと、フフランもまたケラケラと笑った。


 どうしてフフランが、少し見せただけの魔法を、こんなにも褒めてくれるのか、ロティアは不思議に思った。

 特別優しいハトなのかもしれない。

 ロティアがいつまでも落ち込んで、グチっぽい話ばかりするから、心配してくれてるのかもしれない。

 理由は何であれ、フフランの言葉はロティアの心を温め、軽くしてくれた。




 その後、ロティアは自分の家がどこにあるかをフフランに教えてあげた。

「ナナカマドの木がたくさん生えてる森のそばか。良いところだな」

「うん。お家自体はすごく好きなんだ。お庭もきれいだし。そういえば、今更だけど、鳥は夜目がきかないよね。夜のお出かけなんて本当に大丈夫なの?」

「ああ。オイラは魔法で夜目が利くようにしてもらったんだ」

「へえ! そんな魔法があるの!」

「ああ。それこそ、この魔法をかけてくれた魔法使いは、『夜目を利かせる魔法』しか使えなかったけど、今じゃその魔法で立派に仕事をしているぞ。見張りをする船乗りや夜警(やけい)に喜ばれるらしい」

 フフランは羽をついばみながら、「ソイツも出会った頃は、『自分はちっぽけだ』って言ってばかりだったよ」と言った。


 フフランのさっきの言葉は、本当だったんだ。

 そう思ったとたんに、ロティアはフフランの言葉を素直に受け取らなかった自分が恥ずかしくなった。


「……素敵な話を、ありがとう、フフラン」

 フフランはクリクリした目でにっこりと笑った。

「どういたしまして! それじゃあ、また夜にな。温かい格好で来るんだぞお」

 フフランはそう言って、夕日色のベールがかかった空を飛んでいった。


 どんなことをするんだろう。

 夜に家の外へ出るなんて、悪いことだけれど、ちょっとワクワクしちゃう。


 ロティアはさっきまで自分が泣いていたことをすっかり忘れて、ホウキを飛ばして、急いで家に帰った。

 この日の夕食は、とてもおいしかった。






 夜の十二時ぴったり、大きな置き時計がボーンと鐘を打つと同時に、開けておいた窓から、フフランがスイッと飛び込んできた。

「よう、ロティア。こんばんは」

「こんばんは、フフラン。場所がちゃんと伝わっててよかった」

「ナナカマドの木が立派だったから、すぐにわかったぞ。あ、ちゃんと温かくしてるな」

 外套の他に、柔らかい首巻き、手袋、帽子まで身につけているロティアに、フフランは「えらいな」と言って、満足げにうなずいた。

「それじゃあ、行くか」

「うんっ」

 フフランを先頭に、ロティアは胸を高鳴らせながら、夜の空へ飛び出した。


 今夜は月がなかった。

 雲ひとつない夜空で輝く星々は、無数の細かい光を落としている。まるで光る雨のようだ。

 音は風の他に何もなく静かで、ロティアは、自分の心臓がいつもの何倍も大きく鳴っているのがよくわかった。


 でもこれは緊張じゃない。ワクワクだわ!

 そう思うと、ロティアは自然と笑みがこぼれ、声を上げて笑いたくなった。


「ああ、気持ちいいねえ、フフラン」

 ロティアはホウキから右手だけを離して、大きく伸びをした。

 十一月の夜の冷たい風が服の中に入ってくるのも気にならないくらい気分が良かった。

 むしろこの冷たさが、今この瞬間が現実だ、と教えてくれているような気がした。

「ホントだなあ。今日はまさしく、夜のお散歩にぴったりだ」

「フフランはこうしてよく夜にお散歩するの?」

「うーん、昼の方が多いかな。やっぱり太陽の下で飛ぶのが一番だからな」

 フフランはロティアの方を見て、「今はロティアが一緒だから楽しいけどな」と言った。

「それはわたしのセリフだよ。すっごく楽しい!」

「そりゃあよかった!」


 目的地につく間、二人は色々な話をした。

 フフランの仲間のこと、ロティアの兄弟のこと、鳥は夜はどう過ごしているか、ロティアは昼間にどうすごしているか。

 当然だが、魔法使いのロティアとハトのフフランでは、違っていることの方が多かった。

 「ハトには学校も家庭教師もないからな。親鳥にちょっと教えてもらって、あとは実践あるのみだ」とフフランは言った。

「だから失敗もたくさんあるよ。でも、失敗したからって、ハト同士じゃ、誰も責めたりしないんだ。みんな、自分のために、自分で生きてるからな。……こう言うと、自分勝手な生き物みたいだな」

 フフランは恥ずかしそうに「ヘヘッ」と笑った。

「そんなことないよ! フフランはすごく優しいじゃない! ……わたし、生まれて初めてだったもの。自分の魔法のこと、褒めてもらったの」

 ロティアがムキになってそう言うと、フフランは今度は照れくさそうに「ヘヘッ」と笑った。

「ありがとな、ロティア」

「もうっ。ありがとうはわたしのセリフだよ」

 ロティアとフフランは身を寄せ合い、隣り合って空を飛んで行った。






「――到着だ!」

 ロティアとフフランは、街道にポツンと立つ、傾いた看板の前に降り立った。

 右を見ても左を見ても、誰もいない。

 いつもは馬車や人で土ボコリが上がり続ける街道に、一人と一羽だけで立っているのは、少し心細く感じた。

「この看板に貼られた紙から、インクを取り出してほしいんだ。そんで取り出したのは……」

 フフランは、自分の首に巻いてあるハンカチを取るように言った。

 フフランの羽と同じ真っ白いハンカチを取ると、中から小さなビンと、ビンの口にピッタリ合う大きさのどんぐりが出てきた。

「取り出したインクは、これの中に入れてくれ」

「えっ! そ、そんなこと、できるかな……」

「オイラにもわからん! でも、試す価値はあるぞ!」

「どうして?」

「昼間に魔法を見せてくれた時、ロティアが手で払ったインクが、そばにあった石の上に落ちたんだ。そしたら、石にインクが貼り付いたのを見たんだよ。それを見て思ったんだ。ロティアが取り出したインクは、もう一度、インクとして使えるんじゃないか、って?」

「……そんなこと、考えたこともなかった」

 この魔法が使えるとわかった時、両親は心底ガッカリして、ほとんど魔法のことを調べなかったのだ。

 それがショックだったロティア自身も、この魔法について、深く考えようとしてこなかった。


 フフランは、たった一回見ただけで、いろんなことを考えてくれたんだ。

 やっぱりフフランは、すごいハトさんだわ。

 せめてフフランの役には立ちたい。

 ロティアはそう言い聞かせ、両手をギュウッとにぎりしめた。


「わ、わかった! やってみるよ!」

「おうっ! オイラの手伝いをしながら、いろいろ試してみようぜ!」


 文字をなぞり始めたロティアは、ここがお隣の国だということに気がついた。文字がまるで読めないのだ。

 街道にある看板ということは、この辺りの地名や地図が書かれているのであろう。しかしその割には、文字が多いような気がした。

「ねえ、フフラン。これって何が書かれてるの?」

「オイラもしっかりは読めないんだよなあ」

「えっ、そうなの! ……今更だけど、勝手に取り出して良いのかな? 大事なことが書いてある看板だったらどうしよう。フフランも何が書いてあるのかわからないんでしょう」

 ロティアがピタッと手を止めると、フフランが肩にとまって「大丈夫!」と声を上げた。

「人間はやたらと文字をしたためるのに、すぐに忘れちゃうんだ。この看板もそう。一ヶ月観察してたけど、ここを通る人は、誰もこの看板の前で足を止めなかったぞ」

 フフランは羽で左を示して、「ちなみに、この辺りの地図なら、あっちにあるぞ」と付け足した。

 そう言われてみると、確かにこの看板は空から見ても、横に大きく傾いているのがわかったことを思い出した。

 紙は端のほうがやぶけたり、色が変わったりしている。一番大切な文字も、雨風のせいですっかり色褪せていた。


 忘れ去られた文字なんだ。

 なんだかかわいそう。

 ロティアは左手で優しく文字をなでた。


「……それじゃあ、取ってもいいかな」

「大丈夫! オイラが保証するよ。むしろロティアの魔法のおかげで新しい文字に生まれ変われるなら、きっとインクも喜ぶぞ!」

 「それからみんなも」とフフランは蚊のようなか細い声で、ポツリとささやいた。


 みんなって誰のことだろう。

 ハトさんたちのことかな。

 それとも、忘れられた文字たちのことかな。

 ロティアは答えを知りたいと思った。しかし、すぐに聞くのはやめようと思った。

 この時のフフランは、初めて、話したくなさそうに見えたのだ。






「――よしっ、全部取り出せたよ!」

 ロティアの体の周りには海藻のようなインクがふよふよと浮かんでいる。

 これだけの量を取り出したのは初めてだ。

 虫の大群みたいでちょっと気持ち悪いな、とロティアは思い、ブルリと体を震わせた。

「よしきた! それじゃあ、うまいこと瓶に入れよう!」

「う、うん」

 ロティアは試しに、文字の一つに杖の先を近づけてみる。すると、文字は磁石のように吸い寄せられて、他の文字も順番通りについてきた。

「わっ、わっ! すごい! このまま、杖をビンの中に入れればいいかな」

「やってみよう! うまくいくかもしれない!」

 ロティアはゆっくりと杖をビンに近づけていった。そして、コツンッと小さな音が鳴って杖が底にぶつかると、とたんに文字が崩れてインクになり、スルスルとビンの中に流れ込んでいった。

「やったー! 成功だ!」

 フフランはビュンッと空高く飛び上がって、そのまま竜巻のような速さでグルグルグルッと回った。

 ロティアも杖をゆっくりと抜き取ってから、その場でぴょんぴょん飛び跳ねた。

「やったね、フフラン! こんなにうまくいくなんて!」

「ロティアがうまかったのさ!」

「フフランのアイディアのおかげだよ!」

 ロティアとフフランはお互いをほめあい、フワフワと優しく抱きしめあった。


 すごい! 本当にインクを新しく生まれ変えることができるかもしれないんだ!

 ロティアは体の奥からわき上がってくる熱を爆発させるように、大声で言った。

「どんどんやろう、フフラン! わたし、次もうまくやれる気がする!」

 ロティアのキラキラした瞳に、フフランは二ッと笑った。

「ああ! 一緒にがんばろう、ロティア!」


 中指ほどの大きさがあったビンは、十枚の忘れられた看板から文字を取り出して回るうちに、あっという間にいっぱいになった。

 そのころには空が少しずつ白み始めた。もうじき朝がやってくるのだ。


「ありがとな、ロティア。一晩でいっぱいにできるなんて思ってなかったよ」

「どういたしまして。うまくいってよかった。これで、フフランがやりたいことができる?」

 ロティアがあくびをかみ殺して尋ねると、フフランは気まずそうにうつむいて、「うーん」とうなった。

「……正直、これじゃあ足りないんだ」

「えっ、そうなの!」

 ロティアは一瞬で目が覚めてしまった。フフランのやりたいことはロティアの想像よりも遥かに遠大らしい。

「でも、ビンが一本しか見つけられなかったからなあ。これで描くしかないな」

 フフランは自分の隣りに置かれた黒いインクでいっぱいのビンをじっくりと見た。

 ロティアも家族が起きる前には家に帰らなければならない。しかも注意する相手は家族だけではない。

 召使たちにも見つからないように家に帰らなければならないため、彼らが起きるまでには自分の部屋のベッドにいなければならない。毎朝、侍女のリタがロティアを起こしに来るのだ。

 しかしロティアは、フフランとこのまま別れるのはいやだった。

 あんなにも自分を励ましてくれたフフランが困っているのだ。放っておけるはずがない。

「……ねえ、フフラン。よかったら、明日もやらない?」

 フフランはバサッと翼を広げて飛び上がり、「ええっ!」と声を上げた。

「そう何度も夜に抜け出すのは、体に良くないだろう。疲れちゃうよ」

「でも、まだ足りないんでしょう。フフランに必要なインクが集まるまで、最後まで、手伝わせてよ。わたしのことをインクみたいな暗闇から助けてくれたように、わたしもフフランを助けたいの」

 ロティアは、フフランの目を真っ直ぐに見つめながら、ゆっくりと、自分の言葉でそう伝えた。

 フフランは「クルルゥ……」とハトらしく鳴いて、細い足で地面を蹴った。

 気まずそうに話す人間がする仕草と似ている。

「……なんだか、ロティアを、うまくダマしたみたいじゃないか?」

「そんなことないよ、助け合いだよ」

 ロティアがそっとフフランの羽をなでると、フフランは「……そうか、助け合いかあ」とつぶやいた。

 そしてパッと飛び上がった。

「ありがとな、ロティア! それじゃあまた明日も頼むよ!」

「もちろん!」

 ロティアとフフランはまたにっこりとほほえみ合った。




「――ところで、フフランはインクを集めて何をするつもりなの? それが分かれば、必要な量がわかるでしょう。ちょうどいいビンを用意しておけるけど」

「ああ、最初に言ってなかったか。実はな、オイラ、絵が描きたいんだ」

「絵?」

 フフランはロティアの肩にとまって「そう、絵」とくり返した。

「思いっきり描きたい絵とキャンバスがあるんだ」

「へえ! どうやって描くの? まさか筆をくわえるとか?」

「これさ」

 そう言って、フフランは自分の羽を一本、自分のくちばしで器用に引っこ抜いた。

「この羽に、インクをつけて描くんだ」

 驚きばかりの答えに、ロティアはちょっとぼんやりした頭で「そうなんだ」と答えた。

 フフランを疑うつもりはないけど、羽にインクをつけただけでそんなにうまく描けるのかな、とロティアは思った。


「……ねえ、フフラン、ひょっとして羽ペンと間違えてる? あれは、羽をペン先と金具で繋げてて、羽は飾りなんだよ」

 フフランはケラケラ笑いながら「知ってるよ!」と答えた。

「心配するな、ロティア! オイラの羽にインクをつければ、きっとそこらの筆よりも良い筆になるぞ!」

「そう? それなら、良いけど……」

 まだ少し心配だったが、自信満々なフフランを見ると、これ以上心配するのは失礼な気がした。

「……絵、描けたら見てもいい?」

「当たり前だろ! 楽しみにしててくれ!」






 それから六日間、ロティアとフフランは夜に家を抜け出して、あちこちからインクを集めた。

 昼は、日に日に物々しい雰囲気になる家族と顔を合わせなければならない上、時々両親が「ロティアの行き先が……」と話しているのが聞こえてきて、その度にロティアは悲しくなった。

 それでも、夜になればフフランと一緒に空を飛べる、自分の魔法で誰かの役に立てる、と思うと、前向きになることができた。




 そして七日目、まだ星が瞬き、肌寒い風が吹きすさぶ中、ロティアが用意したビンの七本目がようやくいっぱいになった。

 ロティアの顔と同じ大きさのビンいっぱいのインクに、フフランは羽を広げてヒラヒラと喜びの舞を踊った。


「ありがとう、ロティア! 最高だよ!!」

「お礼を言うのは、わたしの方だよ。この七日間、たくさんほめてもらえて、うれしかった」

 フフランは優しくほほ笑んで、ロティアの肩にとまると、羽を広げてフワフワと頭をなでてくれた。

「自分の魔法、少しは好きになれたか?」

「うん。フフランと出会った日よりはずっとね」

 ロティアがほほ笑むと、フフランは心から安心したみたいな大きなため息をついて、「よかったあ」と言った。

「それじゃあ、そろそろキャンバスに向かおうか。ここからすぐだぞ」

「わあ、ついに描いているところが見られるんだね!」

「ああ! 最高の絵を描くから、期待しててくれよな! ……なんとか間に合いそうで良かった」

「何か間に合わせたいことがあったの?」

 ロティアが首をかしげると、フフランはハッとして、ぴょこっと宙に浮かび上がった。

「えっ、オイラ、今、口に出してたか?」

 フフランはまた豆鉄砲を食らったみたいな顔をしている。

「うん。でも聞かないよ。聞かない方が良いんでしょう?」

 フフランは少し申し訳無さそうな顔をして、小さくうなずいた。


 いつも明るくて優しいフフランだから、困らせちゃだめだわ。たとえ、話してもらえないことが、少しだけさみしくても。

 ロティアはそう言い聞かせ、できるだけ明るい声で話しかけた。


「さあ、案内してよ、フフラン。キャンバスに」

「……ああ。ありがとな、ロティア」

 ロティアとフフランは隣り合って、まだ朝の気配がない空を飛んでいった。


 渡り鳥ってこんな気持ちなのかな。

 誰かがそばを飛んでいるだけで、すごくうれしくて、安心する。

 それとも、フフランだからかな。

 フフランをチラッと見ると、フフランもロティアの方を見ていた。二人は言葉を交わさず、フフッと笑いあった。






「ここがオイラのキャンバスだ」


 ロティアとフフランの目の前には、横にも縦にも大きな、バゲットのような形をした塔が建っていた。ただし、形がバゲットに似てるだけで、色はこんがり小麦色ではない。金色だ。しかし古い建物なのか、表面の金色は少しはがれていたり、うっすらと苔が生えたりしていた。

 辺りを見回すと、家の一つも、農園すらも見当たらない。ただずっと先まで、野草の草原が広がっているだけだ。


 なんだか、さみしい場所。

 ロティアは外套の中で、手をこすり合わせた。


「ここって、なんの建物なの?」

「さあ。オイラも知らないんだ。知ってるのは、こいつも忘れ去られたものの一つだってことだ。昔は意味を持っていたんだろうが、時を経て、人の記憶から消えていったんだ」

 フフランは小さい足でチョコチョコと塔の方へ歩いていった。

 その背中は、いつもよりも小さく見える気がした。

「……フフランは、一人ぼっちをほっとけないんだね」

 小さな後ろ姿にロティアがそう声をかけると、フフランは顔だけをこちらに向けて、また照れくさそうに「へへっ」と笑った。

「そんなほめられるようなことじゃないぞ。オイラはハトらしく、自分のために生きてるだけだ」

「でもフフランが自分のために生きているだけで、わたしや、忘れ去られた文字や建物の役に立ってるんだよ。やっぱりフフランは優しいよ」

 フフランはバサッと翼を広げて、ロティアの前まで飛んできた。

「そんな風に言ってくれて、ありがとうな、ロティア」

「どういたしまして。さあ、描こうよ、フフラン。朝が来ちゃう」

 フフランはハッとして、「そうだな」と答えた。




 フフランが絵を描いている光景は、不思議だった。

 口にくえた一本の羽だけで絵を描いているはずなのに、一筆がすごく大きいのだ。

 塔の周りを飛び回りながら、穂のようにグンッと伸びる曲線を、いくつもいくつも描いていく。

 最初は、何を描いているのかわからなかった。

 少しずつ、羽らしいものが見えてきた。

 くちばしらしいものが見えてきた。

 あまるい頭が見えてきた。

 キラキラした目が見えてきた。

「……ハトだ」




 フフランがフラフラしていることに気が付き、ロティアはホウキに乗ってフフランを助けた。

 ロティアの腕にすっぽりと収まったフフランは、弱々しく笑って「終わったぞお」と言った。

「うん。終わったね、フフラン」

「……これで、明日からも、きっと、平和だ」

「うん。こんな素敵な絵を見せてもらったら、心はいつまでだって平和だわ」

 フフランはぼんやりした目で、にっこりと笑った。

「……オイラ、世界を変える力は無いから、ずっと、どうしようって思ってたんだ」

「……うん?」

 ロティアはそっと地面に降りて、ひんやりした塔に背中を預けて座った。フフランを太ももの上に寝かせると、フフランはくちばしをゆっくりと開いた。

「……この絵に、意味なんか、無いのかもしれないけど。……ロティアだけでも、守れたら、いいな。ロティアや、小さな子どもが、泣いてるのは、いやだから……。みんなが幸せになれたら、良いのにな……」

 フフランは疲れすぎている、とロティアは思った。

 話の内容がつながっているようでつながっていない。

 それでも、フフランが眠りにつく前に、これだけは言わなければ。

 ロティアは震えるくちびるをそっと開いた。


「……フフランのおかげで、この絵を見たおかげで、わたしはわたしを好きになれたよ。わたしの世界は、変わったよ。幸せになれたよ」


 「例え明日、父さまと母さまから、家を出ていくように言われても」という言葉は、グッと飲み込んだ。

 今朝、ロティアは悪いとわかっていても、両親が自分の話しているのを盗み聞きしていた。

 ここから北にある小さな田舎町に送られることになるそうだ。

 もうきっと、家に帰ることも、このあたりを飛ぶこともないんだろうな、とロティアは思った。


「……最後に、素敵な思い出を、ありがとう、フフラン」


 フフランはほほ笑んで、そのままスウスウと寝息を立て始めた。


 やっぱり疲れすぎちゃったのね。

 ロティアはマフラーを取って、フフランを包み、ホウキの先にくくり付けた。

 そして、白み始めた空をゆっくりと飛んでいった。

 ふりかえると、朝日を浴びた夜空色のハトがキラリと光っていた。






 フフランは、ロティアの家に着いてもずっと眠っていた。そこで、ロティアは丸いカゴに、マフラーごとフフランを入れてあげた。少しは快適に寝られるだろう。

 枕元にフフランのカゴを置いて、ロティアも眠りについた。


 眠りについてから三時間も経つと、ドアのノックと、侍女のリタの声が聞こえてきた。

「お嬢さま、おはようございます」

 まだ夢の中にいるフフランを見てホッとすると、ロティアは急いでドアを開けた。

 いつも通り、侍女用の深い青色のワンピースに見を包んだ侍女のリタは、優しくほほ笑みかけてきた。

「おはよう、リタ」

「おはようございます、お嬢さま。本日はよいお天気ですね」

 そう言われて窓の方を見る。外は眩しいほどの光であふれていた。

 鳥たちがスイスイ飛び回る影が見え、陽気な歌声も聞こえてくる。まるで春が来たような天気だ。

「遠くまでお出かけしたくなるお天気ね」

 ロティアの言葉に、リタはにっこりと笑った。

「できますとも、どこまででも」

 今日のリタは機嫌が良い。いつも優しいけれど、今日は一段と優しいな、とロティアは思った。

「さあ、支度をして朝食に参りましょう」

 リタはロティアが持っている中で、一番良いワンピースを出してきて、髪もきれいに編み込んでくれた。靴もピカピカに磨かれたルビー色のものだ。


 今日、誰かのお誕生日だったかな?

 ロティアが不思議そうに首をかしげても、リタはほほ笑んでくるだけだった。




 眠っているフフランをそのままにして、ロティアは食堂へ向かった。そして従僕にドアを開けてもらったとたん、自分の目を疑った。

「あら、おはよう、ロティア」

「おはよう。寝坊か?」

 一番奥の席に、ロヤン父さまとロジーア母さまが向かい合って座っているのだ! それもロティアにほほ笑みかけて。

 いつもなら、朝食は兄のロシュとロゼの三人だけで取ることになっている。


 本当に今日は何があったっていうんだろう。

 ひょっとして、最後の朝食だからかな。

 そう思うと、急にロティアの心臓がドクドクと大きな音を立てて鳴り出した。


「お、おはようございます」

「ほらほら、早く座りなさい」

 ロティアはコクッとうなずいて、ヨタヨタとロシュの隣りに座った。ロシュはニッと小さく笑いかけてきた。

「さあ、いただくとしよう。神に、それから全てのハトに感謝してね」


 ……ハト?


 ロティアがポカンとする一方で、ロシュとロゼは「はい、父さま、母さま!」と元気よく答えた。



「――と、父さま、母さま!」

 朝食の後、ロティアは急いで両親を追いかけた。

 二人はゆっくりとふり返り、ロヤンが笑顔で「どうした、ロティア」と言った。

「あ、あの、わ、わたし、今日、出発するんですよね?」

「えっ?」とロジーア。

 ロティアはドキドキしながら両手をからめた。

「ご、ごめんなさい。昨日、聞いちゃってたんです。二人が、ようやく、わたしの行き先が、決まったって言ってたの。わたしが、ダメなやつだから、家には、いられないんでしょう……」

 言葉にすると涙があふれそうになった。

 目も合わせてくれない、自分の魔法を見てガッカリした両親だとしても、本当はそばにいたいのだと、今この瞬間に分かった。

 涙がポロリとこぼれた瞬間、ロティアは温かい温もりに包まれた。それは、両親の腕の中の温もりだった。

「ああ、ロティア! もう大丈夫よ」

「そうだよ、ロティア。もう疎開する必要はなくなったからね」

「……疎開?」

 ロヤンはロティアをゆっくりと離して、「ああ」と笑顔で答えた。

「ハトが我々を救ってくれたのよ。ハトの絵が」

「作者不明だが、そのハトの絵が、相手国の心を打ったんだ、ロティア。だから逃げる必要も、戦う必要も無くなったんだ」



 ロティアがすべてを理解するために、両親は時間をかけて話をしてくれた。

 行き先というのは、厄介払いではなくて、ロティアの疎開先を探していたということ。

 それから、ロティアの魔法に幻滅したわけではなかったこと。これに関しては、二人とも目を見て謝ってくれた。

「ほったらかしにされたように思わせて、本当にごめんなさい、ロティア」

「お前はまだ十三歳になったばかりだっただろう。だから、その『インクが取り出せる魔法』を公にしなければ、まだロティアは魔法の才能が何かわかっていない、ということにできると思ったんだ。役に立つかがわからない魔法は、公表すると不利に働くことが多いんだよ。特にこういう非常事態ではね」

 「この話をきちんとすればよかった、ごめんよ、ロティア」と言って、ロヤンはロティアの手にそっとキスをした。

 ロティアは家族からできそこないだと思われていたわけではなかった。

 両親はロティアを追い出したかったわけではなく、戦火から離そうとしていた。

 魔法の力が価値を決める魔法貴族の世界で、ロティアが生きづらくならないようにするにはどうしたらよいのか考えていた。

 多くのことを一度に教えられ、受け入れるのには時間がかかりそうだった。

 ロティアの頭は、まだぼんやりとしていた。

 しかし、これだけは聞かなきゃ、とロティアは自分を奮い立たせた。

 ロティアは自分よりも大きな二人の手に、そうっと自分の手を重ねた。

「……と、父さまと、母さまは、わたしのこと、愛してくれて、いるんですか?」

 両親は泣きそうな顔で、ロティアを抱きしめた。そして「もちろん」と、力強く答えてくれた。






「――わあ! すごいね、フフラン!」

「おお、よく描けてるな」

 ロティアとフフランは、数時間前に完成させた絵を見に来ていた。

 馬車を引き連れた貴族から、鍬を持った農民、魔法学校のローブを着た魔法使い、楽器を持って演奏している楽団など、多くの人が詰めかけている。

 下へ降りても人の波に飲まれるだけだ、とフフランが言い、二人は空から絵を見ていた。


 フフランが描いた真っ黒いハトは、羽を大きく広げ、空に向かって気高く顔を上げ、凛々しい目を輝かせている。


 その絵の前で、人々はみんな歓声を上げていて、抱き合ったり、涙をぬぐいあったりしている。

「フフランのおかげで、みんな笑顔だね」

「……よかった。間に合ったんだな」

 フフランは心からホッとした顔をしていた。

「でも、ちょっと違うぞ、ロティア。オイラとロティアのおかげだ。ロティアがインクを集めてくれなかったら、オイラは絵が描けなかったんだからな」

「フフフッ、わかってるよ。今はもう、この魔法がわたしの誇りだから」


 ロティアは自分の胸に手を当てて、心の中でそっと魔法にささやいた。


『今まで嫌ってごめんね。これからもよろしくね』


 すると、胸の奥から温かいものが流れてきて、全身がポカポカした。


「ねえ、フフラン。わたし、この魔法でフフランを助けられたように、もっとたくさんの人を助けられるように、いろいろ考えていこうと思うの。わたしがこの魔法を良い魔法にしたいって伝えたら、父さまたちも手伝うって言ってくれたの」

「よかったな! ロティアならきっとできるさ」

「うん。それでね、フフランにもそれを見ててほしいの。これからもわたしと一緒にいてくれない?」

 フフランはロティアのホウキに飛び乗って「当たり前だろ!」と言った。

「やった! これからもよろしくね、フフラン!」

「よろしくな、ロティア!」

 突き抜けるような青空の下、ロティアとフフランはにっこりとほほ笑み合った。


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