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花シリーズ

花が願う

作者: リィズ・ブランディシュカ



 たくさんの死霊が集まる名所。


 人の死にまみれた場所。


 それは死の名所と呼ばれる場所。


 そこにいる死霊たちは、何年も何十年も来る人達を眺めていた。


 やって来るのは、絶望して、心を病んで、おかしくなった者達ばかり。


 そういった者達を眺める死霊は、その負の心を受け入れながら、無限に肥大していく。


 やがて、多くの者達が死を選ぶその場所は、いつしか負の力を発するようになり。


 死を願っていない人間をも殺す場所になっていった。


 美しい幻影を見せて、崖まで誘導して。


 足を踏み外させる。


 そんな場所へ。


「きれいなお花畑があるよ」


「素敵な場所ね」


「こんな隠れた名所があったなんて」


 集められてしまった人々は、吸い寄せられてしまった人々は、足を踏み外して死んでいった。


 けれど、そんな幻影の一つが。意思を持った。


 今まさに崖に向かおうとしていた者の足にからみつき、救った。


 その花はどうしてそんな場所にあるのか、分からない。


 自分でも自分の事が分からない。


 もしかしたらそれは、死霊たちの心に残っていた、一抹の良心だったのかもしれない。


 どちらにせよ。


 その花は願った。


 人が死なないようにと。


 人が吸い寄せられるたびに願った。


 人が死を選ばないようにと。



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