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 今から始める、生徒会革命術!   作者: 放課後デイズ
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生徒会見学開始っ!


生徒会、と言ったら何を思い浮かべるだろうか。様々な仕事や学校の企画を前衛として企画する姿。大切な記念式典などで生徒の代表として活躍する姿。それぞれのイメージは様々だろうが、全てに共通するのは学校の代表であるということだ。学校の中で選ばれた者だけが集うそこは生徒全員に選ばれた代表であるが故に多くの注目と賞賛、そして尊敬の眼差しを一身に受けることになる。

生徒だけではなく先生からも一目置かれる存在であると言えるだろう。

 そして今、俺、桐谷透はそんな生徒会の活動場である生徒会室の前に立っていた。 

 「―――――」

 「―――――」

 中では何やら話し合いが行われているようだ。その内容は分からないが、ドアを通して伝わるその熱量に俺は圧倒されていた。

 たかが一歩、されど一歩。俺は決心し、中に入る。

 ギィィと音を立てドアが開き、中の様子が徐々に明らかになってくる。

 この熱量、さぞ重要な話し合いが行われて・・・

 「だーかーらーっ、私は親善パーティーはプリンがいいっていってるじゃん」

 「いいや、ここはやはり王道のケーキだろう。いくら君が反対しようとも、これだけは譲れないな。」

 「王道とかいって、本当は自分が食べたいだけでしょ。このいやしんぼ!」

 「何だって。それを言うなら君だって、さっきから自分の欲を隠そうともせず、見苦しいぞ。」

 「むぅぅぅ。」

 「そんなに睨むなよ、みっともない。全く君は昔からーーー。」

 バタン。

 俺はドアを閉め、俺がここに来ることになった原因である友人に振り向いた。

 「どういうことだ?」

 友人は苦笑いしながら明後日の方向を向く。

 ・・・はぁ、なんでこんなことになったんだ。

 俺はここに来ることが決まった約10分前のことについて考えた。

 

 「おーい、透ちょっと話いいか。」

 「何か用か?もうすぐ帰りのHRだから手短にしてくれ。俺は帰りの準備が遅れて皆から注目されたくないんだ。」

 春風が気持ちいい今日この頃、俺は昔からの友人、いわゆる幼馴染みである小鳥遊優に話しかけられていた。

 優は比較的整った顔立ちをしており、持ち前の明るい茶髪も相まってとても明るい印象を受ける。また、生徒だけでなく先生からの信頼も厚く、悪い噂などは一切聞かない。



 つまり陽の者だ。

 「で、何のようなんだ。」

 「その用についてなんだけどね・・・透、生徒会に来る気はないかい?」

 ・・・はい?

 一体何をおっしゃっているので?

 「透は、俺が生徒会役員になったのは知っているだろ?」

 「あ、ああ、一応な。」

 「実は生徒会役員の人数が足りなくてさ。本来なら六人は生徒会役員として必要なんだけど、今年はたまたま少なくってね。十分な人数が集まっていないんだ。」

 「つまり、その空いた枠に俺が入れ、と?」

 「まあ、そういうことになるね。今すぐに決められないのなら、せめて見学にきてほしい。」

 いやいやいや、嘘だろう?

 俺はいたって普通の男子高校生だぞ。友人つながりといっても、優ならもっと沢山候補がいるだろうに。

 「他に候補はいなかったのか?優なら俺よりも生徒会にふさわしい友達がいるだろ?」

 「いやいや、何言ってるの?透以上の適役なんていないよ?」

 「!?」

 「おーい。そこの二人共。帰りのHRを始めるぞ。今日は専門委員会の集会もあるんだからさっさと席に着け。」

 このクラスの担任である男性教師の声で我にかえった俺は、はっとして周りを見る。

 どうやら未だに席に着いていないのは俺と優だけのようだ。

 優もそのことに気づいたようで、少し気まずそうに頭をかいた。

 「じゃあこの件よろしくな。」

 優は去り際に片目をパチンと閉じ、そう言い残して去って行った。

 はあ、男のウィンクなんて需要ないんだよ。

 俺はそう考えつつも、すぐに思考を戻し、優に持ちかけられたことについて考えを巡らせる。

 生徒会って急に言われてもなあ・・・、一体どうすればいいのやら。

 「おーい、桐谷。あとは君だけだぞ、おーい・・・あいつ何考え込んでんだ?おーい、桐谷ー。おーい。」

 俺はそれから、近くの人に声をかけられるまで、俺に呼びかける先生の存在に全く気が付かなかった。

 ああもう、結局目立っちゃったじゃんかよ。




 「――さてもう一度聞くけど、どういうことだ?」

 俺は、目の前で目をそらして苦笑いしている幼馴染みに質問(尋問)をする。

 場所は先程と同じ生徒会室前の廊下。高校一年の教室にも繋がっているここは放課後と言うこともあって、辺りには人一人いない。

 「い、いやぁ、どういうことって聞かれてもなぁ・・・何かおかしいところなんてあった?」

 あくまで知らぬ存ぜぬを貫こうという優のその姿勢に、俺は頭に青筋を浮かべた。

 「じゃあ言わせてもらうけど、あの会話は何だ?俺は、お前が見学だけでもと言うからここに来たんだぞ?なのになぜ生徒会室で親善パ   ーティーの話し合いが行われている?生徒会は今、役員が不足しているんでだろ?親善パーティーについて話し合っている場合か?」

 優はゔっ、と言葉を詰まらせる。

 「いやだって今の生徒会って・・・」

 「おや、誰かいると思えば小鳥遊君じゃん!ということはその隣にいるのが例の子?」

 優が弁明を試みようとすると、急に生徒会のドアがバッと勢いよく開いた。

 ドアを開けたのは、先ほどまで生徒会室で討論していた男女の内の女性の方だった。

 その美しい黄金色の髪は肩の辺りで整えられており、その口調も相まってとても活発な印象を受ける。瞳は大きく、見る人の意識を奪い 取るかのような美しさを讃えている。目鼻立ちも整っており、十人中十人が彼女のことを美しいと賞賛するだろう。

 俺がその美しさに見とれていると、俺の横から声がした。

 「はい・・・と言っても、まだ見学の段階までで、入るとは実際に決まっていないですけどね。」

 「うんうん、上出来上出来。じゃあ立ち話も何だし、あとは実際に中で話をしよっか。」

 そう言うと、彼女はグイッと俺の手をつかみ、生徒会室のドアを開ける。俺が思わずドキッとしてしまったのは仕方ないことだろう。

「さあさあ、早くおいで。私たちは君を歓迎するよ!」

半ば強制的に生徒会室に入った俺は、、自分の目にうつった光景に驚く。

そこは見渡す限りのゴミ屋敷だった。

中身がパンパンになったゴミ袋は数知れず。足の踏み場が無いほどではないが、元々の部屋がそれほど広くないこともあって生徒会室自体には窮屈な印象を受ける。

俺は覗いただけでは分からなかった生徒会室の惨状に口をひくつかせることしかできなかった。

「新しく来た君には少し窮屈に感じるかもしれないけど我慢してね。片付けが追いついていないんだ。」

先ほどの少女が可愛らしく舌を出し両手を合わせて、ごめんのポーズをする。

いや、さすがにごまかされませんよ。可愛いけど。



俺がそう思っていると、奥の机の上で両肘をついている男が目に入った。

「こちらからも謝罪する。幾分、前代生徒会がかなりずさんでね。今週中に掃除する予定だから今は我慢してくれ。」

その男は、教職員が使うような灰色机の席に座っていた。男は比較的長身だが痩せすぎずスラッとしている。上背もあり、顔立ちもキリッとしているため、どことなく真面目そうな印象を受ける。灰色机は見たところ一つだけだが、その前に長机が二つほど置かれていることから、灰色机の場所はいわゆる「お誕生日席」のようになっていた。

ということはつまり、この男は・・・

「君とは初めましてだし、まずは自己紹介といこうか。僕は高校二年、生徒会長の真崎達哉だ。これからよろしく頼む。」

やっぱり生徒会長殿でしたか。

なんかそんな雰囲気あるもんなぁ、と思っていると、いつの間にか俺以外の二人が長机に着いていた。

え、立ってんの俺だけ?

さすがに一人はつらいので、俺は優の隣に座ることにする。

「よし、じゃあ見学がいることだし、自己紹介をしていない二人は彼に自己紹介しようか。小鳥遊は一応彼と面識があるらしいが念のため君もしてくれ。」

会長がそう言うと、先程の少女が勢いよく手を挙げた。

「はーい。まずは私から自己紹介するね!私の名前は海星琴美。生徒会での役職は生徒会女子副会長だよー。高校二年生だから君にとっては先輩かな。何かあったら私に相談してね!あ、恋愛相談とか大好きだから、もし恋の悩みとかあったらウェルカムだよ!」

「君に誰かの相談役が務まるとは思えないんだか。」

「ひどーい。これでも成績は良いんだよ。」

「成績と精神年齢を結びつけるあたり、まだまだ子どもだな。だいたい成績がいいと言っても、体育と数学だけだろう?前回の定期テストの結果を忘れたか?現代文なんかは特にひどかったな。確か・・・」

「しーらーなーいー、しーらーなーいー。」

なんだろう、既視感があるぞ。

二人はいつもこうなのか?

「はは、そうだね。生徒会にいると一日に一回はこの光景を見るかな。」

「勝手に人の考えていることを読むな。」

はあ、まったく。これだからコミュ力お化けは。俺がジト目で優を見ると、優はそれを軽くいなして立ち上がった。

「じゃあ次は僕の番かな。知っていると思うけど、僕の名前は小鳥遊優、生徒会では監査を担当しているよ。今のところは生徒会では唯一の高一かな。改めてよろしくね。」



優が手を差し伸べてきたので、それを握り返す。

「さて、こちらの自己紹介も終わったことだし、次は見学の君にも自己紹介をしてもらおうか。」

「はい。」

俺は立ち上がり、他の人に目を向ける。

「この度生徒会に連行され「ん?」・・・いえ、見学することになった桐谷透です。生徒会に関しては全くと言って良いほど今まで関わりが無かったので、先輩方にはお世話になります。」

「え、僕にはお世話にならないの?」

一通り言い終えると、俺は元の席に座り直した。

なんだ隣、ブツブツうるさいぞ。

「二人は仲が良いんだな。」

「はい。」「いいえ。」

会長の質問に二人同時に反応してしまう。

くっ、不覚。

そんな俺たちの様子に会長はフッと笑みをこぼすと、一変して真面目な顔つきに戻し、正面に向き直した。

「ではまず、桐谷もいることだし、生徒会の一年を通しての予定について話すか。今、生徒会には四人の役員が在籍しているわけだが・・・」

「四人?」

あれ、ここにいる役員は三人じゃ・・・。

「ああ、桐谷には言っていなかったな。実はここにいる三人に加えてもう一人、男子副会長がいるんだ。少し・・・いやかなり変わったやつだが有能ではある。今は少し一身上の都合でここにはいないが、いずれ会うかもしれないから覚えておいてくれ。」

「分かりました。」

そういうことだったのか。なるほど納得だ。

俺たちが通うこの政進学校は中高一貫校であると同時に、県下で一位、全国でも有数の偏差値を誇る学校だ。故に生徒会役員も高校三年生の受験勉強に支障をきたさないよう、一学期に、高校一年生から三人、高校二年生から三人の計六人が選ばれる。

道理で人数が足りないと思った。

・・・ん?

いや、まだ足りないよな?

生徒会の定員が六人なのに対して、男子副生徒会長をいれても、四人しかいないじゃん。



「あとの二人はどこにいるんですか?」

俺は生徒会長にその疑問を投げかける。

すると、生徒会長はバツの悪そうな顔をした。

「あとの二人は・・・空席だ。」

「えっ、大丈夫なんですか?」

俺は目を見開き会長に問いかける。

三分の二の人数しかいないのに仕事をきちんと回せるのだろうか?

「確かに生徒会役員の定員は六人だが四人でも仕事は十分回る。別に六人でないといけないという校則があるわけでもないし、問題ないだろう。」

「そうなんですね。」

なるほど、そういうことだったのか。

そう思い一段落付いたと俺が気を抜くと、不意に生徒会室のドアがバンッッという音をたてて開けられた。

「生徒会はいるかっ」

開けた本人はとても怒っているのか、ドアのことに気づいた様子もない。

一体何が起きたんだ?

「どうしたんだ。落ち着いて説明してくれ。」

俺が急なことで混乱していると、会長が動揺した様子もなく対応をする。

さすが、この学校の会長なだけある。

「どうしたもこうもあるかっ、俺たちをいつまで待たせたら気が済むんだっ」

「はぁ?」

俺は相手の言うことが理解できず首を傾げる。

優からは今日生徒会の用事があるとかは全く聞いていない。

優はそういうのはきちんとするタイプだし、生徒会長もそういった素振りはないため、生徒会は今日は何も予定とかはないものだと思っていた。

「もしかして、執行委員会のことか?」

「それ以外にあるかっ。俺たちはかれこれ30分以上待ってんだぞ。主催者が遅れるとかどうなってんだこの生徒会は。」

「・・・なるほど、要件はわかった。待たせて本当に済まない。すぐに駆けつけるからあと少しだけ待っててくれないか?」

「・・・っち、しゃーねーな。5分以内だ。それまでに必ず来いよ。」



「ああ、わかった。」

そこまで言うと、その人はドアを締めて帰っていく。

「会長、今日執行委員会があったんですか?」

優が会長に質問をする。

たしかに俺もそんなのは初耳だ。

執行委員会とは、専門委員会の集合と同じ日に行われる各委員長と生徒会の話し合いの場みたいなものだ。確か生徒会が毎回主催しており、専門委員会の集合があっても執行委員会が行われるかはまちまちだったはずだ。

優が知らないとなると、今回の執行委員会は先輩方の中で進められていたのだろうか?

「いや、執行委員会は今回は開催しない予定だったはずだ。」

「??」

俺と優はそろって頭にクエスチョンマークを浮かべる。

つまりどういうことだ?

「説明してる時間が惜しいからまとめるとな、今回執行委員会が開催されたのは先生方のミスだ。こちらははっきりと事前に「執行委員会はしません」って先生方に通達していたからこれは間違いない。」

「え、それじゃあどうするんですか?」

「まあ落ち着け、今から役割分担をするからそれに従ってくれ。まず、琴美は生徒会担当の先生方を探して確認を取ってくれ。できれば生徒会指導部の部長がいいが、その人がいなかったら他の先生でもいい。とにかく、情報の発生源と空き教室を貸し出す手続きをした先生を見つけて、今すぐ執行委員会を辞めさせる方針で話を通してくれ。」

「りょうかーい。」

「あと、俺とお前達二人は執行委員会の場所に行って委員長を大人しく帰ってもらうように説得しよう。正直、二人にとっては相手は全員先輩ってことになるから接しにくいところもあるだろうが、頑張ってくれ。」

「「わかりました」」

俺と優の声が重なる。

「ではいくぞ。」

「はいっ」

会長に続いて、今いる役員全員が生徒会室を出る。

まさか生徒会見学初日目にしてこんなトラブルがあるとは思っていなかったが、今はとにかく目先のことに集中しよう。

まずは委員長たちの説得だ。正直少し緊張するが、なんとかするしかない。



俺はそう決意を固めて、扉をくぐった。


こんにちは、放課後デイズメンバーその2です。今回はこれが処女作ということで掲載させていただきました。自分学生(寮生)でなかなか投稿するのが難しい状況にあるんですが、これからもがんばって投稿し続けるので、どうか「いいね」と応援よろしくお願いします!


ちなみに私は現生徒会役員で、この作品は私の経験をもとに書いています。生徒会のリアルな現状を皆さんにお届けできたらと思います。


改めて、応援よろしくお願いします!



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