高校野球マンガはお好きですか? では、こんな高校野球マンガはいかがですか?
初めに断っておきます。いろいろすみません。
夏の甲子園ももう大詰めです。
どっちが勝っても”ちべん”っていうのは、マンガだったら逆に「ウソくせ-!」ってなりそうです。
『事実は小説より奇なり』って言いますが、言い得て妙ですね(※小説じゃなくてマンガですケドw)。
まあ、2021年の甲子園は、コロナでオリンピックで雨で異例続きの大会でしたので、その締めくくりとしてはこんな対戦も良かったんじゃないでしょうか。
さて、私はリアルの高校野球も好きなんですが、高校野球のマンガも大好きです。
夏のこの時期なんで、高校野球マンガもネットなんかでランキングとかセールとかやってて、目にした方も多いと思います。私も目にしたんで「好きなあのマンガ載ってるかな?」と思って探してみたんです。
いや~載ってる載ってる!あれもこれも思い出深いマンガがたくさん載ってました。中にはもう忘れかけてたような作品とかもあって、連載当初のことを懐かしく思い出しちゃったりもしました。
……ところがですよ、ところが! 私の一番好きな作品だけはど~こにも載ってないじゃありませんか! あんなに面白い作品なのに……。
あの作品が埋もれるのはあまりにも惜しい。そう思って筆を執った次第です。
ジャジャン。いきなり始まりました。鶴舞麟太郎の高校野球マンガランキング!
すみません。怒らないでください。他の好きなマンガもその魅力を知ってもらいたいんです。
……では、ご理解いただいた(?)ところで、
いきなり1位を発表しても面白くないんで、5位から順に発表します。
では第5位は ジャカジャカジャカジャカ ジャン
『大きく振りかぶって』(ひぐちアサ:講談社)です。
ふつーの高校球児たちの成長を描いた、現在月刊アフタヌーンで連載中のマンガです。部員は9人で全員1年生。しかもそのうち1人は全くの素人。監督は女性。秀でた選手はいるけれど、超高校級は1人もいない。そんな彼らが工夫を凝らしながら成長していく物語。トレーニングや栄養の理論も入っていて面白いんだけど、いかんせん話の進みが遅すぎる。現在連載開始から20年近く経っていて、単行本も35巻まで出ているのに、物語内の時間経過はまだ1年生の冬。はたして完結する? そこが不安。
どんどん行きましょう! 第4位は ジャカジャカジャカジャカ ジャン
『H2』(あだち充:小学館)です。
高校野球で『あだち充』は欠かせないでしょう。なぜ『タッチ』じゃないか? あれはライバルが早々にお亡くなりになったのと、無理矢理延ばしたと噂の最後の方の部分が、いかにも『蛇足』って感じになっちゃってるからです。それに比べると、『H2』はライバル同士の戦いも、恋の行方も最後までハラハラしながら読ませていただきました。完結してない『MIX』の評価はこれからですかね。
さあ、ベスト3に入ります。 第3位は ジャカジャカジャカジャカ ジャン
『逆境ナイン』(島本和彦:徳間書店)です。
この流れだと、ちょっと意外なところではないでしょうか。このマンガは、いきなり廃部を言い渡された弱小野球部が、甲子園優勝を約束することで校長に部の存続を許可され、逆境に立ち向かいながら目標に達成に向かって奮闘する話です。これだけ聞くと一見、普通の野球マンガのようにも見えますが、そこは島本先生。ただの野球マンガにはしてくれなかった。島本節全開のこのマンガは、はっきり言って滅茶苦茶です。『魔球』とかそんなレベルで済む話ではありません。『普通の野球マンガ』でないことを納得出来ればムチャクチャ熱くなれる。そんなマンガです。
とうとうここまで来ました。2位の発表です。 第2位は ジャカジャカジャカジャカ ジャン
『ラストイニング』(中原裕、神尾龍:小学館)です。
こちらの野球部も廃部の危機。監督の鳩ヶ谷もいろいろと叩けばほこりの出る人物。部員も力があっても一筋縄ではいかないヤツばかり。しかし、理論と徹底したタイプ分けに口八丁手八丁の丸め込みを駆使した指導でチームの力を上げ、逆境を跳ね返していく物語です。試合の場面はどれも非常に見せ場が多かったのですが、中でも県大会の決勝最強のライバル聖母学苑戦は圧巻の一言でした。九回の攻防はめまぐるしく展開がかわり、意外なアウト、意外な得点も飛び出して、マンガでありながら息もつかせぬ展開を見せてくれました。個人的にいうと友人思いで常に裏方に徹していた栗橋君が報われたエピソードがかなり好きですね。
さて、ここまでで皆さんのNo.1は出てきましたか。
それでは発表します。栄えある1位は ジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカ ジャジャン
『実録!関東昭和軍』(田中誠:講談社)です。
……皆さんの言いたいことは良くわかります。
「なんだそれ?」ですか?「聞いたことない」ですか?
最初に言ったじゃないですか。「ど~こにも載ってなかった」って
え、「すごいのを選んできたな……」ですか? これを知っているとは、お兄さん。通ですね。
まあ、大多数の人は知らないと思いますので、解説します。
まず作者の『田中誠』さんの代表作は『ギャンブルレーサー』シリーズ。競輪マンガです。
氏のマンガにはこれでもかっていうくらいキャラクターの濃い(※絵柄も性格も)人物が登場しますが、この『実録!関東昭和軍』も同じです。
舞台となっているのは西東京にある架空の男子校、私立関東昭和高等学校(通称・関昭)。授業はみんなで九九の二の段を復唱しているような、学力的にはドドドド底辺のこの高校ですが、野球は『校技』とされていて、他の生徒と比較すると授業料や授業態度で明らかに優遇されています(※授業中熟睡していても注意もされません。起こそうとした生徒は逆に怒られます)。
ところが、ひとたびグランドに出ればそこは戦場と化します。エラーをすれば監督・コーチによる顔の整形(暴行とも言う)。試合に負ければ徹夜の練習。当然練習は非公開。保護者や家族でも校地内に入ることは出来ません。
そして、野球部員は全員寮生活。自由に外出することも出来ません。寮内では3年神様、2年ハエ、1年ウジ虫という身分制度が確立されており、下級生は先輩の理不尽な要求や暴行に耐える日々です。
こんな環境ですので、部員たちはムチャクチャ根性がすわります。そして、目上の者の指示に忠実に従うようになります。したがって、就職は引く手あまた。特に求人が多いのが警察官とヤ○ザだそうですw。
そんな関昭は都内の強豪ですが、まだ夏の甲子園出場経験はありません。実力者がそろったこの年の秋の都大会も準決勝で優勝した学校に惜敗。またかと関係者は落胆しますが、決勝の結果を見て息を吹き返します。準決勝で惜敗したチームが、決勝でコールドレベルの大勝をしていたのです。優勝チームとの対戦成績がけっこう選考に考慮される選抜大会です。確実な選考を得るために関昭首脳陣が始めた行動とは、そしてその結果は。
ネタバレになりますので詳しくは書きませんが、「え~、ここまでする!?」というほど、あの手この手で暗躍します。後援会長が電話攻勢をかけているときのセリフなんて、笑い無しでは見られませんでした。
また、連載当時は、特待生問題で高校野球が揺れていた時期でした。
ドドドド底辺校の関昭は、大きな影響を受けたかと思いきや、なんと、プラスの影響しかありませんでした。実は、もともと関昭は学業特待生はいても、スポーツ特待生は存在せず、特待生問題とは無縁だったからです。逆に、その年は他校の特待生枠が無くなってあぶれた(プレーヤーとして)優秀な生徒をたくさん確保することが出来たほどでした。さてそのからくりとは。
ちょっとだけ触れておきますが、筆記試験と面接試験の織りなすすさまじい難易度のハーモニーに、私は震撼させられました。今となっては特待生が許容されたため意味が無くなってしまいましたが、当時こんな解決方法を考えた田中誠氏は本当にすごいと思います。
惜しむらくは、6巻で(たぶん)打ち切りになってしまったこと。登場人物のネーミングも相当でしたし、実在する人物に酷似した顔や名前の人を出すなどしていたので苦情が来たのかもしれません。また、読者に、あまりもふざけすぎていると怒られたのかもしれません。
こんな酷い高校野球マンガですが、私はこの『実録!関東昭和軍』が大好きで、今も時々出しては笑っております。
他に取り上げた作品とは違って、手に入れることは難しいと思いますが、古書店等で見つけた折には、ぜひ手にとってみてください。あまりのひどさに絶句すること請け合いです。
あ、電子書籍は普通に売っていますので、気になった方は試してみてはいかがでしょうか。ただし購入は自己責任でお願いしますw
まあ、個人内評価なので納得出来ない方は多いと思いますが、「おおお俺も好きだった!」っていう珍しい人がいたら、教えてください。