2転生
「大丈夫ですか、お嬢様」
回りで人が騒いでる。
此処は何処?
私、死ななかったみたい。
目を開けるとメイド服の女の子がいる。
あれ?
さっき階段で躓いてしこたま頭を打ったんだっけ。
って、待て待て、記憶が錯綜している。
私は冬馬ルナ22歳の大学生。
幼なじみの亜蓮レンとは2ヶ月後の大学卒業と同時に結婚する事になっていた。
なっていたが、、、
パァーッと頭の霧が晴れて、前世の記憶が蘇る。
「私、本当に転生したんだ!」
嫌で嫌でたまらなかったあのろくでもない家族。
家族と呼んでいいのかもわからないくらい、腐り切っていた。
家族には興味がなく、外に愛人を囲っていた父親。
享楽や贅沢にしか興味がなく、外見も中身も母親そっくりな双子の妹ばかり可愛がり、私を目の敵にしていた母親。
その上、前世と同じく下働き並の雑用を押し付けた。
もっと腐っていたのは双子の妹ユナ。
幼い頃から、ことごとく私の邪魔をし、都合の悪い事は押し付け、幾度も陥れようとしてきた。
挙げ句の果てには、私の婚約者の子どもを身籠った。
そして、まだ家族じゃなかったけれど、婚約者だった幼なじみのレン。
あなただけは私の味方だと思っていたのに。
本当に、みんなあり得ないわ。
最低。
知らずに涙が頬をすべりおちる。
「お嬢様!大丈夫ですか?
お医者様をお呼びしなくては」
メイド服の女の子が慌てふためいて叫んでいる。
そうだ。
この娘はメイドのアリス。
このトーマ子爵家でただ1人の私の味方。
私の父親も母親も双子の妹もろくでなしだ。
って、待て、いや、まさか、そんな、
「やめてーーーーーーーーーーーー」
私の叫び声が屋敷中に響いた瞬間、私は気を失った。