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「ガール・イン・ザ・ミラー」(映画)

監督アサフ・バーンスタイン


両親には「出来損ない」だと言われ、学校ではイジメられ、マリアは孤独だった。本当は誰もが羨む美少女なのに、彼女は自分が大嫌いで笑うことさえできなかった。不安定な心は、マリアを性的な衝動へと導き、彼女は夜ごと自慰行為にふける。その夜、いつものようにバスルームで自分を慰めていると、突然彼女に話しかけてくる声が聞こえる。驚き、また恐れおののく彼女に「私たちはきれいよ」と声は優しく告げる。それは紛れもなく自分自身の声、そして鏡の中では、あろうことか自分自身が美しい微笑みをうかべていた。「あなたの望みを叶えたいの」鏡の中の自分にそう言われた瞬間から、マリアの中の何かが変わり始める。まるでもう一人の自分に操られてゆくかのように、彼女の凄惨な復讐劇が幕を開ける。




マリアと鏡文字になるアイラム、二つの人格。自分に受け入れられるように、いいように解釈してやり過ごしていたマリアに、現実を容赦なくつきつけるアイラム。抑圧されていた怒りや恨み、憎しみの感情の第二人格である彼女は、まさに感情のままに発散させるだけの衝動的な存在。


 自分では耐えきれないほどの屈辱を受け、自我の座をアイラムに譲り渡してからは、もうマリアは彼女を抑えることができない。鏡の中の彼女と対話しているうちは、彼女の存在は自分の痛みを共有してくれるもう一人の自分として、マリアの心の均衡を保つのに有意義であったのだろうに。


 しかし、ジギルとハイド的な二重人格ものは、第二人格は衝動そのもの。まず理性なんてない。抑圧されていた()()だけという違和感。そこにちょっとひっかかる。二重人格、多重人格はもっと複雑な人格面を持つものじゃないのか。

 その辺の病気としての、解離性障害としては描いてないのかもしれない。双子設定にしろ、オカルト風味を加味したかったのか。


 思春期の内向性の女の子の傷つきやすさや、戸惑いや繊細さは良かったし、展開的に無理があるとも思えないけれど、なんとも不完全燃焼な感じ。





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