「リリーのすべて」(映画)
監督トム・フーパー
リリー・エルベとゲルダ・ヴェイナーの素晴らしき愛の物語。アカデミー賞受賞者のエディ・レッドメインとアリシア・ヴィキャンデルがそれぞれを演じる。監督はアカデミー賞監督賞を受賞したトム・フーパー。トランスジェンダーとして生きることを選んだリリーとその妻ゲルダの、夫婦関係や芸術活動が大きく変化していく様子を描く。
一回目に見たときと、また違った感想をもてて面白かった。
自分の外見に負った性差というのを意識することがなくて、服装や化粧、髪型、仕草に自分のアイデンティティの違和感をみる性同一性障害の感覚は自分には理解が難しい。
外に現れる自分と内面の自分を一致させるということ。そういうアイデンティティの形ならば、自分は無性なのかもしれない。ああ、そうか。つまり私自身のアイデンティティは、性を重要としていないんだ。内側と外側を一致させるとか、性的対象を性別で考えないとか、そういうことなのかと納得いった。きっと何をアイデンティティの拠り所にするかは人それぞれ。
性同一性障害は、その不統合性が問題。認識と体の性の不一致が問題であるなら――。
内的現実と外的現実の不統合も、いつか病気ではなく、認識に現実を合わせても良しとする日がくるのだろうか。もう、来ているのだろうか。
さすがに、外界は個人の所有ではないから、そうはいかないか。




