「ヘッドハンター」(映画)
監督モルテン・ティルドゥム (ノルウェー映画)
身長が低い所を除けば、ロジャー・ブラウンは全てを手に入れた男だ。なぜならノルウェー国内で最も成功したヘッドハンターで最高級の美女と最高級の住まいを手に入れているのだから。ただ、彼には秘密があった。実は、その暮らしを維持するために芸術品を盗んでいるのだ。そんなある日、高価な絵画を所有している軍隊の元エリートで電子機器で成功したクラス・グレブに出会う。いつも経済的な不安を抱えているロジャーにとって、彼は新たなヘッドハンティングの契約相手として最適な男だった。これが、最後の裏稼業と心に決めたロジャーだったが、クラスが最悪の相手になるとは知るよしもなかった。クラスの家に忍び込んだロジャーを待ちかまえていたのは人生最大の危機だった…!!
サスペンスものとしては、かなり面白かった。けれど、ツッコミどころも満載。
まず、このヘッドハンターの主人公、何者ってくらい犯罪に手慣れている。彼の自己評価の低さと相まって、その家庭環境や生い立ちと関わってくるのかな。
ビジネス界で成功しているのに、絵画泥棒しなきゃ生活を維持できないっているのも、ね。これだけ切れる頭をもっていれば、まっとうに稼げると思うんだけど。自分自身をヘッドハンティングしてもらうべき。まぁ、そうできないところは、彼の自己評価の低さゆえなのかもしれない。
しかし、他者にスパイとして入り込むためというクラスの動機は、発信機を仕込んだ追跡劇の理由としては、はぁ?となってしまう。いくら軍の特殊部隊出身でも、関係者を殺しまくって、雇ってもらえるように口利きしてもらいたい、はないだろう。話が反故になりかけた腹いせ、にしても本末転倒。いったいなんのために、殺しまでして追いかけてたんだろ? 軍にいたにせよ、その後GPS開発会社のCEOにまでなって、社会生活送ってきてるのに、計画がとん挫しかかっているなら、やるべきことは懐柔で、無意味な諍いじゃないことくらいわかるはず。逃げるから、周囲を巻き込みながら追いかけた、としか見えないんだけど、それにしちゃ、周到にジェルに発信機仕込むとか計画的だし。
異常性格だから、と片づけられたらつまらない。
とはいえ、展開が見えない、どんどん周囲を巻きこんでの逃走劇と知恵比べはハラハラだった。オチのつけ方もなかなかのもので。
奥さんの愛を確認でき、自己評価も上がったロジャーは、そのキレッキレの頭でアリバイ工作。むりくりの結末をつけ日常に戻る。
しかし、故意ではないにしろ人を二人自分の手で殺して、笑って後始末して日常に帰れるあたり、ロジャーは充分サイコパスだ。




