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「生きる LIVING」(映画)

監督 オリヴァー・ハーマナス 脚本 カズオ・イシグロ


1953年。第二次世界大戦後のロンドン。仕事一筋に生きてきた公務員ウィリアムズは、自分の人生を空虚で無意味なものだと感じていた。そんなある日、彼は医者から癌であることを宣告され、余命半年であることを知る。手遅れになる前に充実した人生を手に入れたいと考えたウィリアムズは、仕事を放棄し、海辺のリゾートで酒を飲んで馬鹿騒ぎするもなんだかしっくりこない。ロンドンに戻った彼は、かつての部下マーガレットと再会し、バイタリティに溢れる彼女と過ごす中で、自分も新しい一歩を踏み出すことを決意する。©Number 9 Films Living Limited



 黒澤監督の「生きる」のロンドンを舞台にしたリメイク版。黒澤版を観たのは、ん十年前なのでうろ覚えだけど、いかにも日本人的な公務員の物語がイギリス人ならどうなるんだろう、と興味深く鑑賞。

 黒澤版主人公の志村喬さんと、こちらの主人公ウイリアムは醸す雰囲気がずいぶん違うせいか、受ける印象もかなり違う。ああ、ブリティッシュだなーと感じ入りながら観ていた。

 物語はほぼほぼ同じなのだけど、死を目前にして公園造りに奮い立つに至った心情は、黒澤版とイギリス版で違うんじゃないかな、と思った。

 役所を辞めた元部下の若い女の子がきっかけになるのは同じだけど、日本版の直接的な言葉に触発されたのと違って、この映画はもっと内省的な思考錯誤に彼女を使っている感じだった。だからそれが掴めるまで彼女に依存し、自分のなかで答がでたらすっと離れる。身勝手にも見えるのだけど、死を前にした人の身勝手さには何も言えない。


 黒澤版と違って、最初から最後まで淡々としている。黒澤版のようなヤクザ屋さんをたじろかせるような、見た目の変化があるわけではなく、行動のみが変わった感じで。ヤクザ屋さんに脅される場面がなかったのは、イギリスの世情にはまらないからかな。だから闘う相手は、他部署や上司、上流階級に属する人たちだった。


 黒澤版と比較して観るのも面白いけれど、元を知らずにこれ一本だけ観ても、イギリス映画としてしっくり納得しながら楽しめる。





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