「シザーハンズ」(映画)
「バットマン」のティム・バートン監督が描く、切ないファンタジー。丘の上の屋敷に住む発明家に作られた、人造人間のエドワード。未完成のまま主人に先立たれたエドワードは、ハサミの手を持っていた。セールスでやってきたペグに連れられ、町に出ることになったエドワードだが……。エドワードをジョニー・デップ、彼が恋をする、ペグの娘キムをウィノナ・ライダーが演じている。
1990年製作/105分/PG12/アメリカ
「シザーハンズ」って、床屋の主人がハサミでバッサバッサ人を殺していくホラー映画だと思っていた。という偉い勘違いはおいておいて。
村社会怖い! ペグがエドワードを車に乗せたことから始まる隣人たちの好奇心の行方が、別の意味でホラーだった。
「アナと雪の女王2」でも思ったけれど、自分たちとは違う能力を持つ相手は、受け容れられない。別の世界で生きてほしい。そうすることで互いの平和が保たれる。そんな受動的な攻撃性が含まれた世界観が御伽噺的な物語で語られているようで、やっぱりこわーってなった。
別世界から訪れた純粋無垢なエドワードは、人間社会の気まぐれな善意に振り回され、いいように利用され、都合が悪くなると手のひら返される。その原因を作ったキムにしても、自らの保身のために本当のことは言えないまま、エドワードと別れた後は自分の所属する世界に戻って後悔を胸に抱えたまま年老いていった。
切ない話というよりも、むしろ胸糞悪い話だな、としみじみ。
エドワードがシザーハンズで、自分を陥れた相手をめっためったにしていくホラー話の方が後口はスッキリしたかも。




