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「胸騒ぎの恋人」(映画)

 監督グザヴィエ・ドラン


 フランシスが好きになった人は、親友マリーも思いを寄せるニコラという青年。二人ともニコラに首ったけなのに相手の内心を探るために悪口を言ったり、ニコラの思わせぶりな態度にどぎまぎしたり。複雑な三角関係の中、片思いの歯がゆさや嫉妬心に身もだえする……。(C)2010 MIFILIFILMS INC




 二コラがすごくアルっぽい!

 マリーは彼にダビデ像を重ね、フランシスは、あれ、コクトーの絵かな? 二人とも彼のうえに理想の美を見ている。

 外見は美形で社交的で、あけっぴろげだけど、実は知的な二コラ。彼の友人はもっと馬鹿っぽくて、彼がフランシスたちと急速に仲良くなっていったのは、彼らが知的だからなのかな。


 二コラに恋して、互いに牽制しあったり嫉妬しあっていくマリーとフランシス。この二人の繊細な表情がすごくいい。そして、独占欲。


 でも、その均衡を破ったのはマリー。森のなかで取っ組み合う二人を冷ややかに見つめる二コラは、この三角から弾き出された疎外感満載。彼がこの関係に嫌気がさしたのは、二人の絆と自身の孤独を見てしまったからだろうか。


 連絡の途絶えた二コラに、二人はそれぞれ告白するのだけど、「僕はゲイじゃない」と言われてフランシスはフラれる。自分の想いを詩に託して送ったのに、あなた宛てじゃなかった、と誤魔化すマリーは往生際が悪い。


 結局、二コラはこの二人に何を求めていたんだろう。性を介在させない関係性? 友だち関係の心地良さ?


 ごく普通な視点から見ると、マリーとフランシスは強い絆で結ばれている。そのそれぞれに告白されたところで、受け入れることは難しいように思う。それまでのような、3人での楽しい関係は望めない。均衡は崩れてしまう。



「話しがある。そう、僕は何て言うか――、君と一緒にいたいんだ。だって、君といると楽しくて。想像してみて。例えば僕らに友人がいて、その友だちが出逢ったとする。優しくて面白くて魅力的でカッコいい相手とね。彼は頭が良くて、それにすごく洗練されていて、自由な心の持ち主だ。どうしようもないほど、そんな彼に惹かれてしまう。彼の思いやりやユーモアに。そんな相手と出逢ったらきみはどうする?」

「好きだ」

「君とキスしたい」

「君にこんなこと言うなんて」

「きっと秋の終わりだから、温もりが欲しくなったのかも。誰か一緒にいてくれたら、その方がきっと楽だからね」

「家の壁にずっと印をつけているんだ。それは…。クソッ、僕が印をつけるのは…、つまり…、誰かにフラれた時だ。“悪いけど興味ない”って。そう言われる度に印をつける。でも何て言うか、それにも少し疲れちゃって。分かるかな。それで…、君は、どう思った?」


「僕はゲイじゃない」


 しかし、この告白で二コラの心を動かせるとは思えない。コクってからの沈黙で、すぐにフランシスは自己防衛に入っている。「誰か一緒に」なんて言われたら、私なら切れるわ。私はお前の湯たんぽじゃないぞって。


 対象化されることで終わってしまう関係。でも、じっと彼の話を聴いていた二コラは、その後のマリーへの対応よりもずっと優しい。この時のマリーも結構最低だったけど。ゲイかゲイじゃないかって、そんな高い壁なんだろうか。キリスト教圏は、難しい。





 フランソワの告白の、「一緒にいて楽しい」は、恋人同士ではないからの楽しさ。気楽さ。3人から2人になるということは、なんだか勇気のいることだな。


 しかし、この二人、それぞれにセフレがいる。そして恋もする。


 ラストの、1年ぶりにあった二コラをシカトする二人。そのくせ、彼に近づく女をディする独占欲は健在で。そんな姿を見ると、彼らは誰から見ても魅力的な二コラという虚像に特別扱いされる自分たちに酔っていただけ、というふうにも見えるな。



 そしてラストの新たな男の登場。

 この二人……。懲りない! 結局、好みが同じなんだなw



 二コラのイメージがアルに被る分、ああ、やっぱり続き書きたいな。アルに逢いたいな、と思ってしまったよ。






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