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「TOVE/トーベ」(映画)

 第二次世界大戦下のフィンランド・ヘルシンキ。激しい戦火の中、画家トーベ・ヤンソンは自分を慰めるように、不思議な「ムーミントロール」の物語を描き始める。やがて戦争が終わると、本業である絵画制作に打ち込んでいくのだが、著名な彫刻家でもある厳格な父との軋轢、保守的な美術界との葛藤の中で満たされない日々を送っていた。そんな中、彼女は舞台演出家のヴィヴィカ・バンドラーと出会い激しい恋に落ち…。(C) 2020 Helsinki-filmi, all rights reserved




 ムーミン作者の伝記映画。ムーミンはかなり好きなのに、作者については全く知らなかった。


 芸術家としてのトーベは、戯画のようなムーミンの絵を卑下していたり、世の中に向けて発表していくことに積極的ではなかった。むしろお金のために仕方なくといった感じで。けれど、油彩画以上に彼女の内面が投影されたキャラたち。きっと自分の内側にムーミン谷があって、魂はそこに住んでいたんだろうな。画面に出てくるムーミンたちの挿絵は、とても可愛いのに暗くて(ペン画だからもあるだろうけど、黒で振り潰された面が多くて)、優しいほわほわした世界じゃない。ムーミンの優しさは不安の裏返し、というトーベの解説も、自分自身のことを言っているようだった。現実を生きる彼女は、不器用で危うい。

 恋に落ちるヴィヴィカが、まさにブルジョワ、支配階級って感じで力強くて、トーベが翻弄されるのに納得できるほど魅力的だった。そしてトーベは現実を生きるのが下手なせいか、その力強さに惹かれているように見える。ヴィヴィカに限らず、どこか依存的で。


 映画自体は淡々としているのだけど、キャラが立っていて面白かった。ちらっとココ・シャネルなんかも登場してきて。


「キャロル」の時も思ったのだけど、このヴィヴィカにしてもキャロルにしても、彼女たちの魅力は有無を言わせぬほどの支配力、力強さで、それは男性的な性質として挙げられるもの。受動的で依存的な女の子が、彼女らの支配力に魅了されるとして、それって同性愛と言えるのかな? 女性のなかの男性よりも男性的な性質に惹かれたとしか思えないのだけど。


 映画の中で戸外のシーンが出る度に、「これ普通に喋ってるけど氷点下。息するのも苦しいくらい空気冷たいんだよ」などと茶々入れながら観てました。



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