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「哀愁しんでれら」(映画)

児童相談所で働く⼩春は、⾃転⾞屋を営む実家で⽗と妹と祖⽗と4 ⼈暮らし。母に捨てられた過去を抱えながらも、幸せでも不幸せでもない平凡な毎⽇を送っていました。しかしある夜、怒涛の不幸に襲われ⼀晩ですべてを失ってしまいます。そんな彼女に手を差し伸べたのが、8 歳の娘・ヒカリを男⼿ひとつで育てる開業医の⼤悟。優しく、裕福な⼤悟は、まさに王⼦様。「ただ幸せになりたい」と願う小春は、出会って間もない彼のプロポーズを受け⼊れ、不幸のどん底から⼀気に幸せの頂点へ駆け上がりました。シンデレラの物語ならここで“めでたしめでたし”。しかし小春の物語はそこでは終わりませんでした…(C)2021 『哀愁しんでれら』製作委員会


監督渡部亮平

出演土屋太鳳, 田中圭, COCO



 途中まではとても面白く観れた。映画館にかかっていた時に予告見て、見たかった映画だったのだけど、まぁ期待は満たしてくれたと思う。


 母親にトラウマと、行き過ぎの理想を持つ同士の再婚。子どもに振り回されてきーっとなっている小春の姿は、再婚していきなり母親になったからというだけじゃない、あるある感で共感を持てた。


 初めはうまくいっていたひかりとの関係が崩れたのは、小春がないしょの約束を破ってしまったのを聞かれていたから、なのだろうけれど、慣れない子育てに一生懸命、そして理想に囚われ過ぎている彼女は、ひかりの心の揺れを上手く捉えることができなかったんだろうな。

 そして、やはり子どもの抱える問題よりも、自分自身の在り方、理想的な母親として対応できているかどうか、という自己評価にのみ囚われてしまっているのかもしれない。

 ひかりの嘘や嫉妬心や、好きな子にかまわれたい心理なんかにしろ気づいているのに、自分の知る事実に蓋をして、庇うことが守ることに行き着くのって、それが理想の母親像ということなのだろうか。


 途中までの心理が良かった分、ラストのファンタジー感が半端ない。こんな夢を見ながら一家心中かいな、とでも妄想するほうが収まりがいい。


 ひかりは、本当にくるみちゃんを殺したのかどうか。どちらにでも取れる感じはいいなと思った。



*****2022.7.11


 ラストについてつらつら考えていた。

 一昔前、例えば昭和の考え方が「最大多数の最大幸福に従う」であるならば、今の時代はこんな、”自分の幸福を守るために、相容れない、あるいはもっと積極的に自分を排除しようとする環境の方を、破壊する”思考法がアピール力があるのかな。

 当然自分だってその環境の一部なのだから、そんなことをすれば反撃を食らうなり社会的な罰を受けるなりするだろう。

 けれどそんなことよりも、自分が満足できるかが大事。これで死刑になったとしても、「守るためにやったんだよ」と、胸を張って言えることが大事なんだろうな。そこには他者は、守られる対象である子どもですら不在だ。


 小春は、ひかりに手をあげたことで家を追い出され、自分自身に絶望する。そして許されもう一度戻る代わりに、完全に自我を捨てて夫に同一化してしまう。


「哀愁シンデレラ」という題のわりに、階級差って問題にされているのかな、と疑問。小春がこうなっていったのは、夫に家族がいろんな面で援助を受けていたからものを言えなかった訳ではないように思えた。

 理想の母親像と現実の子育てのギャップにガツンとやられ、正解を見つけられないまま思考放棄、そんな感じ。


 でももしかしたら、自分を排除しようとした夫と子どもを加害者に仕立て上げて罰せられるように仕向けたのかもしれない。そこまで物語が続くと自分的には面白いかな。






 


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