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「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」(映画)

 監督モルテン・ティルドゥム

 出演ベネディクト・カンバーバッチ, キーラ・ナイトレイ, マシュー・グード


 第二次世界大戦時、ドイツ軍が誇った世界最強の暗号<エニグマ>。世界の運命は、解読不可能と言われた暗号に挑んだ、一人の天才数学者アラン・チューリングに託された。英国政府が50年以上隠し続けた、一人の天才の真実の物語。時代に翻弄された男の秘密と数奇な人生とは――?!(C)2014 BBP IMITATION, LLC




 あーこさんと再視聴。「シャーロック」からカンバーバッチ続きで。

 同僚との噛み合わない会話が自閉症スペクトラム的な特徴を連想させるチューリングが、馴染まない、溶け込めない、浮いている、小さな集団のなかで、時間の経過とともに、ちゃんと仲間になっていく姿にほっとする。

 そこに目指すべき目標があり、尊敬できる何かがあるなら、感覚の違いは大きな問題ではなくて、ただの違いとして慣らされていく。初めは不快に感じた違いであっても、実は大した問題じゃないと気づかされる。「こいつはこういうやつ」と、受け容れられていくし、尊重されていく。


 異質なチューリングと、初っ端では見るからに紳士的な風体のヒューやピーター。時間が経つと、女好きのヒューに、旧ソ連の二重スパイのピーターと、別の顔も見えてきて、表面的に目に見える場の空気を読むや協調性のあるなしを異質として敵意を向けることに、逆に不思議を感じる。


 スパイだったピーターの扱いにしても、上層部は排除ではなくて役立たせるために組み込んでいるわけで。どういう役割とネットワークを持ち自分たちに有利になる何ができるかを最優先に考えると、裏切りさえも個性のうちなのかもしれない。


 チューリングの死因となったと言われる青酸カリの付着した林檎については描かれていなかったけれど、映画内での暗喩なのか、青酸カリと林檎の描写シーンがあった。

 林檎は、エデンの園を追われることになった知恵の木の実。人間を超える知性としてのコンピューターという新しい知恵の実の象徴なのか、蛇の与える毒なのか。自身同性愛者で、神に背く意味合いでの林檎を齧る行為なのか、とかとか。

 まぁ、そんな宗教的な意味づけは、本人には関係のない外側から見たイメージなのかもしれないけれど。



 国や集団等のより大きな単位のために個人が犠牲にされることに眉をひそめることの多い今の時代って、それは犠牲にされる見知らぬ誰かのためではなく、それが自分かもしれないから、じゃないだろうか。

 割りに最近まで秘匿されてきたチューリングの人生は、個人の、彼自身の自己犠牲に見えるけれど、きっと本人はそれだけの覚悟を持って自分の生を生きていた、と思いたい。





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