「ココ・アヴァン・シャネル 」(映画)
田舎のナイトクラブからパリへ、そして世界へ──コネクションも財産も教育もない孤児院育ちの少女が、世界のシャネルになるまでの物語。 Rating G (C) 2009 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
監督アンヌ・フォンテーヌ
出演オドレイ・トトゥ, ブノワ・ポールブールド, アレッサンドロ・ニボラ
ココかっこいい、と思いながら見てた。レヴュー評価は高くはなくて、ココの性格描写への不快感も分かる。偏屈さ、世間への批判的な視線、それを羨望の裏返しと見るのもありかもしれない。でも、初めは野暮ったい彼女の作る服が、どんどん洗練されていく辺り、理想とするスタイルが美的に昇華されていくのはやはり、思想や意識の具現化された表現で、やはりすごいと思ったよ。
ほとんど押し掛けのような形で、愛人になり、世話になりながら別の男に恋して、なおかつ自分の生きる道を模索し続けるココ。寄生しながら相手に感謝するでも媚びるでもなく、自分を辱める男をなじる。
経済的自立を望んで働き、服飾の世界で自分の理想の在り方を形にしていく彼女はやはり、かっこいい。
そして面白いと思ったのが、彼女を巡る二人の男性と、彼女の顧客1号になる女優。男二人ともずるい。けれど、享楽的な伯爵がココに本気になり、ココが本当に惚れたのが英国人実業家だったのが興味深い。何に惹かれたって、知性とか、自分自身で富や地位を掴み取っていく手腕だとかなんだろうな。そこに恵まれない生い立ちへの共感も、たぶんに含まれているのかもしれないけれど。
ココに翻弄されているようでありながら、世慣れているこの男たちや、女優のサポートあってこその成功。そしてそんな彼らを惹きつけるだけの魅力が彼女にあったということ。
ただ鼻っ柱の強い女、以上の魅力は何なのか。そう考えると、自分の思想や反発心、コンプレックスを、服飾という目に見える形で美的に昇華する能力があったから、と思わずにはいられない。




