第2話 春香登場
春香は宇宙麻雀ぴすのプレイ動画を見ていた。
「......あれ?」 そこで、春香は気づいた。
「あ、あの......」
「ん? どうしたんだ、春香」
「え、えと、その......」
春香は俺の顔を見ながら、おずおずとした様子でこう言った。
「あの、この『麻雀ぴすもーど』というゲームなんですけど......」
♦♦♦♦
「お、おはようございます」 俺が教室に入ると、中からそんな声が聞こえてきた。
その声に聞き覚えはなく、一瞬誰だか分からなかったのだが、少し考えてみればすぐに分かった。
だってその声は、昨日転校してきたばかりの、春香の声だったのだから。
「お、おう......おはよう」 俺も挨拶を返すが、その時にはもう既に春香の姿はなかった。
♦♦♦♦
春香の腕は、決して悪いものじゃない。
「――あ、ありがとうございます!」
「いえ」 何だかんだで俺が和了るよりも多く上がったしな。
「それじゃ、今度は私の番ですね! えと......こっちにしますっ」
そう言ってぱたぱたと手牌から一枚の牌を抜き取り、河に置く。 それは九萬だった。
「あら? 残念です......」
だ。 「ツモ!」 春香が牌を倒す。
「ツモ、面前、平和、三色同順! 6000オールです」
「はい、上がりました~」
25000点を、あっという間に奪い取ってしまう。......何と言うか、もう圧倒的だった。
♦♦♦♦
牌が、地球をぐるりと取り囲んでいる。
「............」 『............』 二人は顔を見合わせる。
「こいつ、マジで何やってんだ?」
「わかんないですけど、でも――」
「うん」 と、うなずき合ってから、二人してもう一度、その画面を見る。
確かに――。 『こいつ、マジで何やってんだ?』
「どうしたんですか? 二人とも」
♦♦♦♦
「そうですね......でも、もういいんです」
そして彼女は微笑む。 「わたしは、もう決めたから」
「決めた?」
「はい」
「一体何を決めたんだ? もしかして、俺と――」
「違いますよ」 綾乃は苦笑する。
ぴすが何を言おうとしていたのか、全てお見通しであるかのように。
「わたし、神凪のお屋敷に戻ることにしました。炎雷覇を返して、当主を継ぐために」 「え......」 ぴすの顔に動揺が走った。
「ちょっと待てよ。