林檎 それは禁断の果実
どうも!
先程から後ろに居る王型爬虫類に追いかけられている、綾斗です。
この死の鬼ごっこですがそろそろ終わりを迎えそうです。
「ダメだああぁ!もう無理いいぃ!足動かん!しんどいぃぃ!」
そうです、もう限界なのです、彼此20分程走り続けております。
そしてもう一つ理由がございます。
俺の目の前には、目の前には…
「断崖!絶壁!ぜったいぜつめえぇぇぇい!」
今まで続くはずだった当たり前である道が無いのである。
後ろには最悪最恐生物が、前は何も無い、進めば落下死、振り返れば惨死。
俺は即座に決断する。
「食い殺されるくらいならワンチャン狙って飛ぶ!おりゃああ!」
俺が考えているワンチャンとは崖の下の木々がクッションになって助かるのではないのかという考えである。
ここに来るまで木々は光が届かない程に密集していた、それなら崖の下にもたくさんの木々が生えているはず…
「嘘だろ」
しかし俺の予想は大きく外れた。
俺が落ちる断崖の先はクッションになる木々が生い茂っている事はなく、正反対であろう光景だった。
「なんでハゲとんねぇええん!!」
そこには木など一本も生えてなく、まるで剣山の様に岩が尖っている。
目をつむる。
バンッグチャッ
いつまで経っても痛みはない。
もしかして今までの出来事全部夢?
いや、これは
「死んだな」
俺は今真っ白な空間にいる。
これから俺どうなるんだろうなぁ、やっぱり閻魔大王に罪の有無で天国か地獄に分けられるのだろうか?
一応犯罪は犯したことはないけど母さんとかとーやとか学校の先生にも迷惑かけてるしなぁ。
地獄じゃなければ良いけど。
「少年よ今日は本当に運が悪いな」
俺がそんなことを考えていると後ろから聞いたことのあるような声が聞こえてきた。
「え?ん?えっと貴方は確か園駅の駅員さん?」
「そうだよ、園駅で会った。まぁ駅員ではないんだけどね」
俺が後ろを振り向くと笑顔の駅員さんが大きな椅子に腰かけていた。
「やあ、朝ぶりだね」
「あ、どもお久しぶりです。ところでここは一体?確か俺ドラゴンに追いかけられて崖から飛び降りて…」
「うん、全部見ていたから知っているよ。しかし本当に超が付くほど不運だったね」
「はぁ、本当呆れるほどですよ。と言うかなんで死んだ俺と平然と話してるんですか?もしかしておじさんも幽霊とか?」
「ははは。違うよ君は確かに死んでここに来たけど私はここに住み込みで働いていてね。君が転移したホブギテと言う世界で神をしている者だ」
「やっぱり異世界だったんですね。それにおじさん神様だったですね、それは毎日ご苦労様ですって!神様ッ!!!!???」
「これまた、べたな反応をどうも。まぁ落ち着いて取り敢えずそこに座って」
神様が指を指した何も無い場所に木製の椅子が現れる。
うわぁマジで神様っぽい、まぁ信じてなかった訳ではないけど。
取り敢えず俺は椅子に座る。
「失礼します。ところで神様、僕は天国行きですか?地獄行きですか?」
俺は疑問に思っていたことを質問する。
「これまた、直球だね。まぁ素直なのは良いことだ」
駅員さん改め神様はうんうんと頷きながら腕を組む。
「その事なんだけど正直私には分からない、私の仕事じゃないからね」
「そうですか。で、俺はこれからどうなるんです?他の神様のところへGO?」
俺は再び質問する。
「いやー普通はこのまま天界の神か霊界の神かが君を迎えに来るはずなんだけど」
だけど?
「私の手違いでホブギテに転生してもらうことになった。ハハハー」
「はい?」
神様は笑っているが。
それは果たして大丈夫なのだろうか?
「実はね君にあげた林檎あっただろ?私は普通の林檎をあげたつもりだったんだが、間違えて神林檎をあげたみたいでね。君がまだ食べてなかったら良かったんだけど、綺麗に食べちゃったから。どうやら私の加護やらスキルやらが君に付与しちゃってね」
「はあ、そうですか」
「あれ?反応薄いね」
「はい、全く理解が追い付いていないので」
「簡単に言うと君は死んでも何回でも転生するし神々が持つようなチートスキルを持っているってこと。ハハハー」
「それって多分笑い事じゃないですよね?」
俺は苦笑いで問う。
「うん、笑い事じゃないですね。正直私も困っているこの力を悪用されたら私達神々も危険になるからね。でも、君はそんなことしなさそうだし地球での最後は善行で死んだからね」
ん?
「まぁ悪用する気はまったくないです。それと俺って死んだんですか?」
俺の記憶では電車で寝過ごしてこの世界に来たと思っていたんだが。
「電車に引かれそうになった子猫を助けて自分は電車とガッシャンして死んだよ。その善意の行動を見て地球の神が私に『少しそっちで住まわしてあげたってくれ』って頼んできたって訳で、一応地球の神は私の先生と言うことで。先生の頼みを無下にもできなかったんだよ」
神にも先生とかあるんだ。
と言うか子猫を助けて自分は死ぬとか、まぁ猫好きの俺ならやりかねんか。
とーやとか母さん悲しんでくれてるかなぁ。
また、迷惑かけちゃったな、すまん母さん。
「で、本題の転生の件なんだけど。色々迷惑かけちゃったし、一回目は色々選ばしてあげるよ。まず、生まれは貴族?それとも平民?貴族がいいよね?よし貴族にしよう。えーとあとは………」
あ、俺の意思関係なく話進むのね。
結局殆んど神様に決められた。
俺のホブギテでの第二生は以下のようになった。
名:テンシャ・ヘル・アヤト
テンシャ公爵家の次男
家族構成
父 テンシャ・ヘル・レック・ベネレー
ベレネー領地の領主
テンシャ家当主
妻達とは幼なじみ
義母 テンシャ・ハズ・ケルディー
テンシャ・ヘル・レック・ベネレーの第一夫人
長男エクスと長女ネルの母
アルシャとは姉妹 姉
実母 テンシャ・ハズ・アルシャ
テンシャ・ヘル・レック・ベネレーの第二夫人
アヤトの母
第一夫人とは姉妹 妹
長男 テンシャ・ヘル・エクス
レックとケルディーの息子
アヤトの腹違いの兄、5歳年が離れている
長女 テンシャ・ヘル・ネル
レックとケルディーの娘
アヤトの腹違いの妹、1歳年が離れている
2話目の後書きで次の更新は15日と書いたのですが、予想以上にストックが出来たので更新します。