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こんな理不尽な初クエストって…

「えーっと…俺はこれからどう戦えばいいんだ?」


優馬はうつむいてそう呟いた。少し悪く思ったマリーが優馬に歩み寄って来た。


「大丈夫ですよ。優馬さんはユナバーサーなんですし魔法が使えなくても何とかなりますよ。」


マリーが喋り終わったのと同時にある音が周りに響いた。


ピキピキ


水晶が割れるような音が聞こえ、その場の全員が水晶の方を向いた。


「優馬さんもう一度水晶に手を当ててください。もしかしたらこれは個有魔法かもしれません。個有魔法なら頭に魔法の名前が思い浮かぶはずです。」


マリーは興奮気味に優馬にそういった。言われるままに優馬は水晶に手を当てた。


拒否(ラトーラ)


優馬は無意識にそう呟いた。


「それが優馬さんの個有魔法みたいですね。ラトーラ。意味は拒否や拒絶という意味だけど。一体どんな能力なんだろ」


「拒絶や拒絶かー。全くどんな魔法なのか思いうかばんなー。」


優馬とマリーは首を傾げながら考えていた。そのときギルドの入り口の方に誰かが叫びながら駆け込んで来た。


「たいへんですーーーー」


2人は驚いて叫び声が聞こえてきたほうを見た。それと同時に受付のカンナも外に飛び出してきた。


「ど、どうされましたか?」


カンナは少し息を切らしながらそう聞いた。


「ま、まちにイノ獅子の群れが押し寄せてるんですー。」


「そんなー。このタイミングで。ここ数年そんなことなかったのに。しかも大規模討伐隊の出発で今このまちにベテランパーティーが全くいないしほんとにやばいわ。」


カンナは焦りを隠せずうろうろしながらどうすればいいか考えていた。


「そ、そうだ。優馬さん初クエストよ。イノ獅子の大群の討伐。これでどう?」


「いやいやいや初クエストってそんな急な。しかもパーティーメンバー2人ですよ。」


優馬は即答で答えた。


「そこをなんとか。報酬もはずみますし少し足止めしてくれればなんとかこの街に残っているパーティーを集めるのでよろしくお願いします。」


優馬はカンナの勢いに押し切られなかば強引でもあったがマリーと一緒にイニティウムの入り口へと向かった。


「えーっと優馬さん。あの遠くに見える砂煙。あの煙全部イノ獅子でできたものとかではないですよね。」


岩場に囲まれた道からは岩の高さをも超える大きさの砂煙が立ち込めていた。


「信じたくはないけどあれはそうっぽいね。まぁなんとなく作戦は決まってるからまぁなんとかなるんじゃないかな。」


「さすが優馬さん頭の回転は早いですね。」


少し言葉にイラッとしたがそれを抑え優馬は話し出した。


「マリーまずお前の魔法で入り口の手前一帯を灰に変えて欲しいのだができるか?」


「もちろんできますよ。」


そう言ってマリーは辺りの地面を手袋を脱ぎ触り出した。


「全ての土よ灰とかせ灰化(オブアッシュ)


そう唱えると彼女が触っていた土がだんだん灰に変わり始めた。それを確認した優馬は次の行動にうつった。


「この近くに水道とホースはありませんか?」


優馬は街の住人に大きな声でそう聞いた。


「うちの水道を使ってくれ。」


「うちにあったホースだがこのくらいの長さで大丈夫か?」


街中からこのような声が聞こえてきた。この世界の人間の温かさを感じ優馬は少し嬉しく思っていた。


「みなさんそのホースを使って灰になった地面に水をかけてください。」


「行くぞみんなー。」


1人の掛け声によって街の住人たちは一斉にマリーが灰にした地面に向かって水をかけだした。


「皆さんそれぐらいで大丈夫ですからはやく避難してください。」


優馬がそういうと街の人たちは撤退していった。


「マリー。お前も逃げていいんだぞ」


「私は優馬さんのパーティーですよ。残るに決まってるじゃないですか。」


そう言ってマリーは優馬に少し微笑んで答えた。 そう言っているうちにだんだんイノ獅子の足音が近くに聞こえてきた。


「よし!灰の後ろに下がって後方で待機だ。」


2人は灰になった地面の奥にたちイノ獅子のが来る方角をじっと見つめていた。すると、凄まじい音とともに100頭にも及ぶイノ獅子の群れが見えて来た。


「あ、あれがイノ獅子なのか…。」


顔は元の世界のイノシシで胴体はライオンのような色の優馬にとっては全くの未知の生物だった。


「来ますよ優馬さん」


「おう。」


そしてイノ獅子は灰に突っ込んでいった。


「す、すごい。灰に入ったイノ獅子たちのスピードが急激に落ちて先頭の方は動けなくなっているじゃないですか。優馬さんの作戦通りですね。」


優馬は自分の考えた作戦をもっと詳しく得意げに話してやろうと思ったが奥にいた1匹のイノ獅子の行動乗って異変に気付き言葉を止めた。


「あのイノ獅子何をする気だ?」


そう優馬が話した瞬間1匹だけとさかのあるイノ獅子が他のイノ獅子たちを土台にして灰の奥の優馬たちに迫って来ていた。


「優馬さんや、やばいですよ。とさかのあるイノ獅子はボスなんです。あんなのに突進されたら多分死にますよ。」


そう言っている間にもイノ獅子はかなり近づいて来ていた。


「逃げろマリーお前だけでも行け。ここは俺が足止めするから」


「私が手で触って一瞬で灰に変えますから優馬さんこそ逃げて下さい」


「それは危険すぎる。俺には秘策がある。だからギルドに行ってはやく人を読んで来てくれ」


優馬の真剣な表情に少し押し切られマリーは答えた。


「すぐ戻って来ますからね」


「おう。」


そういうとマリーはギルドへの道を全力で走って言った。」


「さあてと。全然秘策とかないしどうすればいいかなぁ?それとさ周り誰もいないしそろそろ喋ってもいいんじゃないか?妖精さん」


「全然話しかけてこないから忘れているのかと思いましたよ。まぁ優馬さんの強運でなんとかして下さいよ。」


ずっと肩の上に乗っていたシアが久しぶりに喋った。


「俺の運を信じて死をリスクに賭けならできるんだがな」


「私は優馬さんの才能と運を信じていますよ。」


シアはいつもの明るい笑顔で優馬にそう言った。イノ獅子がついに灰の砂場を突破し出てきたとき優馬は時間がすごくゆっくり動いているように感じた。


(元の世界で死んで色々期待しながらこの世界に来たのに期待ハズレばっかでなんでこんなについてないんだろうな。でも俺は期待ハズレなこの世界でもっと生きたいってもっと楽しみたいって思うからだから)


たった2日の間で感じたこの世界の印象を思い返しながら優馬は叫んだ。


「イノ獅子よ来るなー!拒否(ラトーラ)































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