始まりの地イニティウム
「さあ優馬さん着きましたよ。ようこそ始まりの地イニティウムへ。」
そこには長いビルが連なり下の道路には市場が真っ直ぐずっと向こうまで並んでいた。優馬はふと疑問に思うことがあった。
「ねぇシア。道路はあるけど車は通ってないの?」
真っ直ぐ市場が並んでいるだけの道路をみて優馬は思った。
「昔は通っていましたがこの世界は魔法によりいろんな場所に移動できるため車の需要がなくすぐに廃止になりました。」
「ま、魔法ってもしかしてこの世界では誰でも使えるものなの?」
優馬は魔法という言葉に思わずテンションが上がってしまっていた。そんな優馬が面白かったのかシアも笑顔で答えた。
「はい。この世界では魔法は当たり前のものです。もちろん優馬さんも少し練習すれば使えるようになると思いますよ。」
「よっしゃーー。」
優馬はあまりの嬉しさに叫んでしまった。その光景を見ていた街の人たちはクスクス笑っていた。
「シア早く行こ。日が暮れる前にギルドに行かなきゃ。」
その場にいるのが恥ずかしくなった優馬はその場から早く離れたくてしょうがなかったのだ。
「はい。わかりました。」
シアは少し笑いながら返事をした。
2人は市場の間の道を人をかき分けながら10分以上歩き「ギルド」という看板があるまるでファミレスのような建物にたどり着いた。
「ここがギルドです。さあ中に入ってパーティーの申請をしに行きましょう。」
「うん!」
2人は正面にある自動ドアから中に入って行った。中に入ると正面に窓口がありその隣に掲示板のような物があった。
「いっらっしゃいませー。お客様見ない方ですね。もしかして新規登録の方ですか?」
窓口から黒髪の受け付け嬢的な人が元気よく話しかけてきた。
「はい。新規のパーティー申請よろしくお願いします。」
優馬は少し緊張しながらもそう答えた。
「では初めての方ということでギルドのルールなどをお話しします。まずパーティーは原則4人編成で組んでもらいます。自分でパーティーを作るかもしくは募集中のパーティーに入るか決めてもらいますが、それは役職を見てからで。ではこの紙に名前など書いてください」
「はい!」
優馬は名前、年齢などスラスラ書いていったが途中でペンが止まった。
「すいません。この職業といのは何を書けばいいんですか?」
受け付けのお姉さんは少しニヤッとしながらこたえた。
「その質問待ってましたよ。では今からあなたの人生を決める職業決めといきましょうか。まずその前にギルドカードを作りましょう。」
そういってカウンターの下の棚からタブレットを取り出した。
「ここに手を当ててください。そうすると運動能力、魔力、知力、精神力、運が五段階となってでてきます。ではお願いします。」
優馬はタブレットにそっと手を置いた。すると隣のコピー機がぶーっと音をたて一枚のカードを印刷しだいた。
「えーっとですね。運動能力3、魔力2、知力5、精神力3、運が4の合計17ですね。この数字ですとユナバーサーという役職がいいですね。」
「 ユナバーサーってなんですか?」
優馬にとってそれは初めて聞いた役職だった。
「ユナバーサーというのは簡単にいうと万能者のようなものです。クエストの内容や戦況を瞬時に見極めときには近距離戦ときには遠距離支援などするいわばパーティーの頭のような存在です。ユナバーサーはそんなにいないので新パーティーを作って仲間を募集して見ましょう」
この説明を聞いたとき優馬は悟った。知力しか良いところがないから指示をする側しかできないんだと。
「じゃあそのユナバーサーというのでお願いします。あとパーティーの募集もよろしくお願いします」
優馬は渋々そう答えた。
「では全て書き終わりましたので別館の宿舎でお待ち下さい。ギルド会員は無料でご利用できますので。パーティー参加希望の人が来たら連絡します。それとこれはギルドカードです。落としても再発行はできないのでお気をつけ下さい。」
「ありがとうございます」
優馬はカードを受け取り優馬とシアは別館の方に歩いて行った。
「なあシア聞きたいんだがお前はパーティーに入らないのか?」
シアは少し悲しそうな顔をして答えた。
「すいません。私は神様と案内人という契約上この世界にあまり干渉できないのです。ですがバックアップくらいはするのでよろしくお願いします」
「そうか…」
少しため息まじりにこう言った。そして2人は宿舎の窓口に向かって一言も喋ることなく歩いて言った。