思ってたのとちがーう
優馬が降りたったのは岩に囲まれた一本道だった
「ここが異世界なのか?」
優馬が言葉を言い終わったのと同時に彼の横から声が聞こえた。
「斎藤 優馬さんですね。ようこそこの世界に。私は異世界から来たものの案内人の妖精シアというものです。この世界を案内させてもらいます。どうぞよろしくお願いします。」
急に話しかけられ驚きこそしたものの優馬からは一瞬でその驚きは消えていた。赤い長髪の自分と同じくらい年齢のまるで漫画のヒロインのような女の子に目を奪われたからである。
「こちらこそよろしくね。シアさん」
少しお互いを見合ったあともう一度シアが話し始めた。
「シアで大丈夫ですよ。それからまず優馬さんにはギルドに行ってパーティーを組んでもらいます。この一本道を真っ直ぐ行ってギルドに向かいましょう。」
そして2人は一本道を歩いて行った。周りは岩で囲まれていて街は一向に見えてこない。沈黙が気まずかったのかシアが話し始めた。
「今から向かう街は冒険の始まりの地、通称イニティウムというところです。ここで冒険者達はパーティーを組みクエストを受けます」
「ギルドってどんなところなんですか?」
「着いてからのお楽しみです♪」
シアはニコッと笑いながら包み込むような声でそう言った。シアの笑顔を見ていると照れてきてしまい、優馬は自然と顔をうつ向けた。
その後2人は黙ったまま10分くらい歩きやっと街の姿が見えて来た。
「な、なんじゃありゃーー。」
優馬の視線の先には現代の都会にもひけをとらない高層ビルが立ち並ぶ街というか都市がそびえ立っていた。
「こ、これがほんとに異世界の街なの?」
優馬は驚きのあまりそれ以上の言葉が出てこなかった。その様子を見ていたシアはいつもの笑顔で話し始めた。
「この世界に数年前から異世界からの沢山の転生者が来ました。その人達がもってきた技術や文化が数年の間にこの世界をここまで発展させたんです。」
優馬は黙ったままただ呆然と驚いていた。木造建築の小さな家が沢山並ぶ村を想像していた優馬にとってこの光景は全く想像もしていない光景だった。
「さあ行きましょうイニティウムへ」
驚きのあまりその場に立たずんでいた優馬をよそにシアは街に向かって一本道を楽しそうに歩いて行った。
「さあ行きますよー。早く行かないとギルドがしまっちゃいますから急ぎますよー。」
さっきの優馬の驚きをみてテンションが上がったのかシアはとても楽しそうに優馬にむかって話していた。
「今いくから少し待ってくれー。」
シアの姿を見て少し緊張がとけたのか優馬の口調も初対面のときよりどことなく明るくなっていた。
夕暮れが近づいた異世界で2人は街を目指し楽しそうに歩いて行った。始まりの地、イニティウムを目指して。
序章完
そして物語は2章 新天地イニティウムへ