傭兵団は余りにも財政管理がずさんでした
家族となった傭兵団のために俺は捨てた家族の元で学んだ知恵とこの【知識】を惜しむことなく使っていこうと思う。かと言って【知識】にあるものを発明を繰り返せば俺は他所からは狙われることになり下手をしたら傭兵団そのものを壊滅に追い込んでしまうため知識チート?とやらはしないし出来ないこととなる。(出来ないとは数学の問題があり、答えは分かるが式は分からない状態だと思ってくれればいい。説明が出来ない。)
ならば何に使って行くかというとズバリお金の問題だ。
それもこれもまず帳簿が酷い。現金を貰ったり使ったりすれば、すぐに書けばいいのに帳簿を見ると
〇月✕日
そういえば10日前に10万ジュエル手に入った。
そしてすぐに使った。多分残ってないと思う。
△月□日
最近、ヤキがイライラしている。
関係ないが棚の裏から5000ジュエル見つけた。
オイラの日頃の行いがいいお陰だ。
こんな感じのばっかりだ。
帳簿?なのか?
日記?
そして団長。それはきっとヤキ兄さんのヘソクリのような気がするよ。
後でヤキ兄さんに伝えておこう。
ちなみに【知識】ではお金の単位は円だが
こちらではジュエルだ。単位が違うだけで1円は1ジュエルだと思考に納得させる。この混ざりあった感覚が無性にモヤモヤして仕方が無いが【知識】が入ってこなれけば俺は数年後みんなに見捨てられて自殺をしていた訳でそう考えると受け入れるしかないと思う。慣れなきゃな。
そんな訳でまずは帳簿だけでもしっかりつけよう。
元々ある知識と入ってきた【知識】。そしてそれらを上手く知恵として使えれば傭兵団の...家族のみんなに今よりももっと良いものを食べさせてあげれるし、武器や防具を充実させてあげれる。
そして俺は確実に信頼と経験を積んで成り上がりの道を踏み出して行く。一石二鳥にも三鳥にもなる素晴らしい法則だ。
そんな訳で帳簿を1からわかる範囲でつけていく。
専用的なことは分からないから家計簿みたいな感じだな。
10歳にして家計簿をつける男...なんともシュールな光景だ。
しかし、こう言ってはなんだが
いきなり入りたての成人した男に帳簿という大事な物を管理させていいのかな。不用心過ぎないか?
念のため団長と
ヤキ兄さんというこの団の副団長でありその名の通り炎魔法が使えて敵を焼き払っていくことからこの名称がつけられた。
そしてみんなから団長よりも頼りにされている兄貴(16歳)
に確認をとってみたら
家族なんだから。
との一言。
本当に不用心過ぎませんか?
無常の信頼は責任感が重く感じる。
俺の場合は尚更だ。
少し顔が青ざめて震えていたのか突然団長から包容される。
「間違えても失敗してもオイラがなんとかしてやる。」
「そういう事だ。それに僕達では帳簿管理なんて出来なかったからね。元々ダメダメだったやつがこれ以上ダメになる訳ないだろ?」
団長とヤキ兄から声が掛かる。
・・・本当にもうこの人達は。どうしてこうもあっさりと俺の心の重荷をいとも簡単に軽くしてしまうのか。まだたった1日しかたってないのに、この人達のために、団のために
頑張ってやろうじゃないか!!という気持ちになってしまうじゃないか。不用心でお人好しで馬鹿で
それでも大切に思える家族の傭兵団。
きっと他のみんなもこんな団長や兄貴だから
この傭兵団のために頑張ろうとしているんだろうな。
しみじみと感じつつ帳簿の作業に戻る。
丁度団長とヤキ兄が揃っていたので先ほどの帳簿の件を伝えておいた。
ヤキ兄の顔が阿修羅の如く変換し
団長は滝のように汗を流し始めた。
なにやら助けてと聞こえたような気がするが
ヤキ兄が手を振っているのでそそくさと退場する。
後ろから悲鳴があがり焼き焦げた匂いが団の中に充満する。
どうやらヤキ兄にお仕置きされる団長というのは日常茶飯事の光景のようだ。
みんなまたかー。と団長に憐れみの目線を向けるだけで誰も助けない。
傭兵団は今日も元気に活動しています