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妹の現実・戸隠秋穂の場合 3

 勝った。これはぐうの音もでまい。

 今や悪夢となった藤崎シヲリ以外にも、姉の春香は人気声優なだけあって、複数のギャルゲーで声優を務めていた。実を言うと、それも俺がギャルゲーを好き放題買えないもう一つの要因だったりする。当たり前だが、最初から姉貴が演じているとわかっているゲームなどできるわけがない。クソ、今思い出しても忌々しい。普段ならゲーム雑誌などで事前に姉貴の仕事かどうか確かめるのに…。ちょっと気をぬいたらあの藤崎事変だ。ああ忌々しい。


 閑話休題。


 とにかく、姉の春香は仕事の関係で、ある意味俺以上にギャルゲーに深く関わっている。そして妹の秋穂は、何を隠そう心の底から姉である春香を尊敬している。重度のシスコンだ。それがこいつの弱点なのだ。


 さあどうだ。お前の大好きな姉さんもギャルゲーとは無関係ではないのだ。もうキモイとは言えないだろう。


「そう、春香姉さんが…」

「そうだ、お前の大好きな姉さんだ。どうだ、もうキモイとは言えまい」

「うん、そうね。春香姉さんはキモくないけど、ギャルゲーはキモい」

「なんでだよ!何でそこだけ除外すんだよ!」

「だって、春香姉さんは特別だもん♩」


 キ、キターーーー。これが女子(笑)特有のどんな論理的矛盾をも超越する○○は特別理論だーーー。


「春香姉さんは特別なの。春香姉さんの存在は、例え春香姉さんが何をしていても尊敬の対象なのよ。そして、あんたがハアハアいいながらやってるギャルゲーはその真逆。まったくの対称。何をやっていてもキモい。ただそれだけよ」

「何だその無茶苦茶な理屈は!」

「だってだって、だってだってなんだもん」

「なぜハニー!」


 いやあ本当に秋穂さん、女子力(笑)高いっすわあ。


 クソ、これでこいつが本当に可哀想なほど頭パーでんねんな女子中学生なら俺も許せるのだが…誠氏ね…もとい誠にむかつく事に、これで妹は中々、というより、かなり頭が良かったりするからタチが悪い。


 胸がでかくてバカそうだと言われるのが絶対にゆるせないらしく、学校の授業はもちろんの事、礼儀作法から教養にいたるまで、実によく勉強している。どんなに仕事が忙しい時でも、試験の成績は絶対に落とさない。先日、テレビのクイズ番組に出演した際も、同年代のアイドル達が珍回答を連発する中、ただ一人正解を連発していた。


 お前、インテリ芸人とかで売ってる人の立場考えろよ。なんでお前のほうが点数たかいんだよ。


 おバカアイドルがちやほやされる昨今。アイドルとして、スリランカの首都はと聞かれ「スリジャワワルダナプラコッテ」と即答してしまうのはどうかと思うよ。


 しかしながら、こらまた悔しいことに、そんな姿が「若いのにしっかりしている」と、お父さんお母さん層に受け、人気が出たのであった。


 そんな妹が、理路整然とした思考回路をかなぐり捨ててまでかばい尊敬する、姉の春香。いったいあの鬼畜のどこにそんな尊敬するポイントがあるのだろうか。姉の下僕たる俺にはまったく理解できない。この際だから、そこんとこを聞いてみることにした。

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