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俺が落ち込んでいると、この部屋の中にスーツ姿の女性が入ってきた。
俺と葵は、慌てて用意されていた椅子に座った。
「これより、クラス分け試験の説明をはじめる。
私は、今回君たちの試験官を任されたリンス・コーナーだ。」
このリンスと名乗った女性は、淡々とした口調で今回の試験の説明をはじめた。
そして説明が終わり、俺と葵はそれぞれ戦闘のための準備をはじめた。
今回の試験は、二人一組でおこなわれ、一体の人工アンノウンを倒すまでのタイムでクラス分けをするという、極めてシンプルな内容だ。
しかし、誰にでもすぐに理解できるシンプルな内容にも関わらず、一つ大きな問題が浮上する。
そもそもアンノウンは、シュヴァリエでしか倒すことがでない。
通常の兵器など、全く歯が立たない。
つまり、そんな相手にシュヴァリエでもない、ただの学生である俺が戦えるわけがない。
いくら本当の劣化コピーとはいえ、アンノウンであることに変わりないのだから。
これは俗に言う、無茶ぶりというものじゃないか?
とは言え、戦えないと言えばこの入学自体取り消しになるかもしれない。
でも、葵はやる気だったし……もしかしたらら後で何かあるのかもしれない。
そして、準備と言っても何をすればいいのか分からない俺は、トイレだけすませてさっきの部屋へと戻った。
部屋の中に入ると、リンス・コーナーがこちらに声をかけてきた。
「どうした、忘れ物か?」
「あ、いえ。
もう準備も終わったので、部屋に戻ってきただけです。」
そう言うと彼女は、ため息をついて頭を抱えた。
あれ、俺さっき変なことでも言ったか?
「せめてライジングスーツだけでも着ろ、あれがないと色々と困るだろ。」
ライジングスーツ……なんだそれは?
「もしかして、持ってないのか?」
「えっと……あ、はい……」
「ないならないと、早めに言ってくれ」
彼女はそう言うと、ポケットから携帯端末を取りだし、何かの操作をはじめた。
「仕方ない、少し待っていろ」
彼女はそう言い残して、どこかへ言ってしまった。
しばらく立ち、葵が帰ってきた。
「なんだ、まだ準備してなかったの。
早くしないと、あなたを置いていくわよ」
葵にも言われるとは……それほど、そのライジングスーツと言うものは、重要なのか?
もうしばらく待つと、手に何かを持ったリンス・コーナーがこの部屋に入ってきた。