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プロプレイヤーがいく異世界戦記  作者: 鯨岡 啓介
ようこそ異世界へ
5/6

第4話

6/22日時点での最新話はプロローグです

このペースで書くとタイトルを生かすところまでいつまでかかるんだろうと思ったりします(作者がいう事じゃないですが)。

一応小出しはしていくつもりですが。

今回はステータスの無駄遣いなお話しです。

割とこの手のお話し出てくることになると思います。

「……あの、ですね。 今更気が付いたんですけど、私の村ってどちらの方角でしょう?」


 自己紹介も終え、いざ村へと向かおうという時にジーニーはそんなおそろしいことを言った。


「……は?」


「いえ、あの、あ、あはは。 ほ、ほら私リザードマンに追われてたじゃないですか? 必死で走ってたからどこをどう走ってきたか分からないんですよ」


 その笑い方は苦笑いでさえなく、なるほどこれが笑うしかないというやつかなどと佐山はどうでもいいことを思ったものの、佐山だってここがどこなのかなんて分かるわけがない。


「……俺はさっき言った通りここがどこかさえ分からないんだが」


「ですよねー……本当どうしよう」


 せめてMAP機能だけは機能していて欲しかった、そう切実に思いつつも佐山は尋ねる。


「大体の方角も分からないか?」


 多少のずれ程度ならば時間をかけて探せばなんとかなるはずなのだ。

 印をつけて左右を探しつつ、出来るだけまっすぐに進み、見覚えのある場所までたどり着けばいい。


「すいません……そのあっちだとは思うんですけど……」


 言葉共に指差したジーニーだが、その顔は自信の無さを語っていた。


「ちなみに距離はどれくらい?」

 

「えっと、獣道にそってジグザグに走っていたので正確なとこは分からないんですけど、村から2キロほど離れたところから十分位はしっていたと思います」


 ジーニーの大雑把な情報を聞いて、佐山はふむと頷いた。


「多分なんとかなりそうだ」


「本当ですか!?」


 ぱっと笑みを浮かべたジーニーに佐山は多分な多分、と苦笑いをしながら答え、


「危ないから少し離れていてくれ」


 そう言った佐山の言葉に、危ない?などと疑問に思いながらも素直に頷きジーニーが離れる。

 十二分に距離が離れたところで佐山は自嘲気味に笑った。


「前は馬鹿にして悪かったよ」


 軽く地面を蹴って助走をつけ、正面の木に向かっていく。


「あ――!」


 ジーニーはそれをみて、思わずぶつかる!と言いかけた。

 だが、現実には、


「ふっ――」


 木をものすごい勢いで登っていた佐山がいた。

 莫大な筋力補正をもって、一歩ごとに木の幹に穴を開けて足場として次の一歩を踏み出す。

 傍から見るとコメディを通り越してシュールである。

 とはいえ佐山がこんな発想をしたのも、前例があったからだ。

 佐山の以前のパーティメンバーの男性(小太りかつ坊主)はアイムジャパニーズニンジャ!などといって山の斜面などを登っていた。

 もっともATKやDEFに多量のステータスを振り、多大な筋力補正を得ている戦士タイプのキャラでしか行うことが出来ない行動な上に、強く踏み込みすぎて足場丸ごと踏み潰してそのまま落ちていくなんてこともある。

 それを見た佐山を含めたパーティメンバーは彼がそのような奇行にはしる度になんというステータスの無駄遣いなどと思っていたのだが。


(案外役に立つこともあるもんだ)


 茂っている葉や木の枝を文字通り蹴散らしながら登っていき、盛大にそれらを撒き散らしながらも木の頂点から全力で跳躍。

 木の全長とあわせて実に50メートルほど飛び上がり、そこで佐山はジーニーが指差していた方向を見据えた。


「あれかっ!」


 動体視力も向上している佐山は、はっきりとそれを捉えた。

 2メートル程の土壁とその周りを囲む水でで覆われた10キロ平方メートルほどの平地。

 点々と家らしきものも立っており、その近くには田と思われる緑が見えた。

 距離は4キロほど――思ったよりも近くだったな。

 そう重力に引かれつつ佐山は思った。


 佐山は乾いた音と共に枝をへし折りながらも地面に着地し、ジーニーが下がった方向へと顔を向けた。


「合ってたぞ!」


 そう笑みを浮かべつつ報告した佐山だが、ジーニーは頬を若干引きつらせながらも笑って。


「……えっと、その、斬新な発想、ですね」


「…………」


 佐山は何もいえなかった。

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