晴れのちロリータ
掲載日:2026/02/15
晴れのちロリータ
私の街は田舎で
時折道を挟んだ向こう側の歩道を、ヒラヒラ揺れるフリルのついた日傘をさしたロリータが歩く。
それは本当に時折で、確かにこの辺りでは珍しい。
職場のオーナーが、店の大きな窓からそのロリータを怪訝な顔で見ていた。
「気色悪い。変な格好して」と言い、同意を求める視線を送ってきた。
私は苦笑いしながら、「好きなんでしょうね、この辺じゃ目立ちますけど、都会に出たら沢山居ますしね」とやんわり交わした。
その後も違うスタッフ達を呼び、笑い者にするようにロリータの存在を教えて、窓から皆んなで覗いていた。
私は、いい大人が一人の少女をバカにして喜ぶ様を、ただ虚しくみていた。
こういう人が差別を産むんだなと、心も痛んだ。
だけれども
少女はヒラヒラのフリルをご機嫌に揺らして、厚底のメリージェーンにボリュームたっぷりのペチコートを仕込んだスカートをフワフワさせながらご機嫌に歩いていく。
夢の中の天使のように、背中に小さな翼でもあるかのように軽やかだ。
窓に食いついて文句を言う大人達の悲しい姿を、どうか彼女が気付きませんように。
私はクルクル回る小さなフリルの日傘を見送りながら、彼女がこのまま素敵な女性になるように目を伏せた。




