「愛することはない」と言われたので愛人の子を魔法粘土と入れ替えて実家を乗っ取らせることにしました〜実は命を救っていたなんて知りませんが裏切り者たちは永遠に泥の人形を愛でていればいい〜
泥の人形を愛でるがいいわ。本物の天使は私が連れて行くから。愛さないと宣った夫への復讐は完璧なはずだった。愛人の子を魔法の人形とすり替え、偽物の跡継ぎを育てさせる。そんな皮肉な計画の途中で知ったのは、すり替えなければ本物の赤ん坊は死んでいたという事実。
夫から新婚初夜に君を愛することはない。勝手に過ごしてくれと言われてそれなら自分は家門を継がせるものがいなくなるからお互い別の人との子供をという契約。妻の子供をなにがあってもこちらの後継者にしない契約を結んだ。
愛も何もない。家門のためなんて言ったが誰かと子をなす予定はない。自分の自由を奪った実家とこの家に仕返しをしたくなったからこのことを逆手に取り計画を練った。
まずはかなり強力な転生者だからこそ使える魔法を使って愛人を探り当てて、妊娠したころに己も同時に妊娠したふりをする。
そうしたら、出産も同じ時期にする。愛人の子供とそっくりな魔法粘土を入れ替えるとさ。夫と血が繋がった子供であり、愛人との間に生まれたうちの家門と関係ない子供がお家乗っ取りである。
実父も実母もそうとは知らず可愛がるんだろうなぁ。遊んでないで勉強しろと言った恨みがある。自分たちだって経営そっちのけで愛人と過ごしてるくせに。
正直血筋がまともに継げているのか甚だ疑問。母が父と子を成した正確性は?その前は?
というわけで同じように思ったことにより別に自分が継がなくてもいいんじゃないかなぁと。父と母は義理息子の夫の血が入ればいいんでしょ。名門とか古いとかで結んだし。イズファでなくてもいい。
赤ん坊を入れ替えてしばらくしたら別邸の愛人の赤ん坊が亡くなった。タイマーはまだ一年あったのに?
話を聞くと愛人は周りが止めたのに赤ん坊に食べさせてはいけないものを食べさせたとか。しかも、固形の状態が残っていたのに。そりゃダメだと頭を振る。
むちゃくちゃな計画だったけど入れ替えてよかった。ゴーレムだからタフだった分愛人の行動は多少強引でも動いたんであって、多分少し遅かったら亡くなっていたのは本当だろう。普段からあげていて慢心で亡くしたってことだ。
入れ替えておいて本当に良かった。いくら愛人の子でも興味がない男との子供だから嫉妬も愛憎もない。無だ。今笑ってるこの子を見ても何も湧いてこない。その分、健全ってもんでしょ。
入れ替え計画がなぜかよいことをしたことになった。そして、夫は撹乱する愛人にまた作ればいいと言ってしまったらしく、後日愛人から毒を盛られて子供を作れる機能をどうやら、なくさせられたらしい。わざとだと、犯人の女は笑っていた。
うわぁな結末。離婚することになり、白い結婚なもので婚姻無効になった。その時夫に子供と共に過ごしているときに、会いにこられて最後だしいいかと通してあげた。
元夫になる男は赤ん坊を見て落ち窪んだ瞳で子供が産めなくなったんだと語る。それをこちらに語りなんの意味があるんだろうか。
「父達が君の子を……貰えと」
そんなことだろうと思った。待ってましたと契約書を目の前に出して、お互いの子供の相続権などは求めないこと明記したものをちらつかせた。
「お・わ・す・れ?」
「だ、だが、それは私が変わる前で!」
「私の心は何一つ変わってませんが?」
キツく睨みつけると、フッと笑う。
「あなたの弟が継げば済む。だから縋りつくんですよね?」
「く!」
ガンガンな当てずっぽうだけど当たったみたい。
「私の子供であなたの子供ではない。それは確かです」
あげる理由も道理もない。ちゃっちい理由だ。変化したから?変化したのではなく、変化を拒んだからこうなっているのだろうに。
ため息をわざと目の前で吐いてやればビクッとなる相手の肩。愛人は流石に殺人未遂で捕まったんだって聞いた。この家と縁を繋ぐ理由もないけど元々政略なので子供はこちらで育てる契約だ。
初めにそう決めたのはこの男。再度あなたが初めに言い出したのだから約束も契約も取り払う気はないと言い切る。
「私は今後この屋敷を去るので二度と会わないでしょう」
「は」
知らないことだという顔を隠しもしない。
「愛する人がいますのでその人と暮らすのです」
「っ、ふ、不貞だ!許さんぞ!殺してやる!」
弟に当主を奪われて、子供ができなくなり愛人に毒を盛られる。恨まれて当然のことをした男はやはり悪あがきする。
「今のは正式に殺人予告と認定されます」
口を出してきたのは後ろにいた男。弁護士を雇っていたのだ。
「な、は?何、を」
弁護士に再度言われて、録音魔法を再生すると身勝手なセリフが二度目に流れた。単なる脅しだったのかもしれないが、これでなにがあっても近寄られなくなるだろう。
「な、ま、待て、言葉のあや、で」
子供と妻が立ち上がり扉に向かう。夫は愛してもない妻に追い縋ろうとする。せめて、手の中にあったものだけは持っておきたいタイプなんだろう。もうなにもなくなるのだから。
「さようなら」
清々しい笑みを見せながら子どもと共に屋敷を出た。空は明るく太陽は祝日だからかピカピカしている。赤ん坊は太陽に向けて、手を伸ばす。
「よし、行きましょう」
馬車へ向かうと、知り合っていい感じにお付き合いしている男がドアを開けて待っていた。男は赤ん坊を見つめて笑う。
「こんにちは、赤ちゃん」
それは奇遇にも、この子に初めて会った時にかけた言葉だった。
最後まで読んでくださり感謝です⭐︎の評価をしていただければ幸いです。連載中のもぜひ。令嬢たちのざまぁコレクション(一話完結/短編集)https://ncode.syosetu.com/n0011lp/




