第3話 能力の真価
「...テンコ...テンコ!!」
「ッ!?」
俺はマヨの呼ぶ声で目を覚ます。
「はぁ良かったぁ、目を覚まして。」
「テンにぃ、死んじゃったのかと思ったよぉ〜。」
目を覚ました俺を見て、マヨとミリアは安堵する。
「ど、どのくらい意識を...」
「たった3分くらいよ。ねぇ、何が起こったの?」
「...どうやら俺はこの5000年間で大幅に弱体化してしまっているらしい。魔力量が減少して、能力はすごいけれど身体が耐えられなくなっている...」
「そんなぁ。」
マヨとミリアは心配そうな顔で俺を見つめている。
俺は大丈夫だと笑って見せるも、体の奥で何かが欠けたような感覚が残っていた。失ったのが何かは分からない。ただ、取り戻せない気がした。
「まぁ、とりあえず傷を回復しないと。」〔創造:オムニポーション〕
俺はとりあえず回復するため、能力を使った。
「ちょっと!?そんな状態で能力なんて使ったら!」
「大丈夫だ。俺は魔神王だぞ?魔力と神力の両方の力を使うことができる。さっき使ったのが魔法で、こっちが加護だ。」
「あぁ、なるほど...」
ちなみに、この世界では魔力と神力の2種類の力で能力を発動し、その2つの力をを合わせて天賦力と呼ぶ。
そして、加護とは神力を使って発動する能力のことで、魔力を使うのが魔法だ。
「ふぅ、危なかったぁ。」
俺は薬を飲んで体を回復させる。
「ドラゴンのウロコはとても強力な防具を作れるから、それだけ回収したらこのダンジョンの捜索は後日にして、今日はもう帰りましょ。」
マヨにそう催促され、地面に剥がれ落ちた数枚のドラゴンのウロコを回収した後、宿へ戻った。
――その日の夜。今日も俺は1人森の中で自身の能力と向き合う。
(オリジナルスキル『創造者』...あらゆるものを創る...だったら能力も作れるのかな?)
俺はもしやと思い試してみる。
「どんな能力がいいかなぁ...よしっ。」〔能力創造:電気操作〕
すると、
〈ピピッ!エラー。スキルの獲得に失敗しました。現在の神力量では、追加能力『電気操作』を獲得することはできません。〉
と、声が聞こえてきた。
「ゲームマスター!?」
〈いいえ。私はゲームマスターによってプログラムされた代弁者、『スピーカー』です。〉
どうやらその声はスピーカーと言う、ゲームマスターの代弁プログラムらしい。
声はゲームマスターと同じだが、話し方がどこか機械的だ。
「す、スピーカー。この世界の仕組みはだいたい理解できたが、肝心の自分についての仕組みが分からないんだけど。」
俺がそう問いかけると、
〈スキルの創造については、まずはこちらをご覧下さい。〉
と、ゲーム画面の様なものが目の前に現れた。
〈現在の神力及び魔力量で取得できる、スキルの一覧です。〉
「こ、こんな便利な機能があるならさっさと出してよ!」
唐突な便利機能に俺は困惑する。しかし、スピーカーは冷静に説明を続ける。
〈私、スピーカーはあなた様の特別能力『主人公』の一部であり、警告や報告以外では必要とされない限り出てきません。〉
「なんだそういう事か...」
俺はスピーカーの説明に納得すると、画面に目をやる。
「んで、能力はどれにしようかな...ん?解析?なになに、『ステータスや能力、その他様々なことを解析できる。』ってこれゲームで1番大切なステータス画面とかそういうやつじゃん。」
俺は即答で『解析』を選んだ。
〔能力創造:解析〕
〈能力の追加が行われました。
追加能力:解析
認証しました。〉
「よしっ、成功だ。試しに...」〔ステータスオープン〕
無事能力の追加に成功し早速使って見ると、ピピッと目の前に自分のステータス画面が映し出された。
「...魔力量20000、神力量30000...多いのか少ないのかは置いといて、戦うごとに経験値が手に入って、天賦力が増える仕組みなのか...」
表示は手で操作でき、俺は能力の詳細を分析してみる。
だが、力が足りないのか、表示できない情報がまだあるようだ。
「だったら、俺の旅の目的は全盛期の力を取り戻すことだ!まぁ、全盛期を知らないんだけど...そして俺は世界最強になって、それから...それから...」
(あれ?俺って何をしたかったんだ...ゲームみたいに魔王討伐?いやいやそれなら俺が討伐される側だし...)
俺は明確な旅の目的ができるも、その先のことを何も考えていなかった。そして、あることを思い出す。
「あっ!?スピーカー!」
〈はい。〉
「この世界...このゲームに終わりはあるのか?マヨが言ってたバグって?」
俺は一気に質問する。それに対し、スピーカーは丁寧に返答し始めた。
〈まず問1『このゲームに終わりはあるのか?』の回答は『未定』です。強いて言うなら、あなた様の死がゲームの終わりです。魔神王は不老不死なので、その限りではありませんが。〉
(それもそうか...この世界はゲーム仕様の現実世界だしな。)
返答を聞いて、色々考えていると、
〈ですが、このゲームにはエンディングというものが存在します。〉
と、スピーカーは続ける。
「エンディング?」
〈この世界には、複数の"結末"が用意されています。バグに世界を滅ぼされるか、バグを取り除き世界を救うか、どんな結末を迎えるかはあなた次第です。〉
それを聞いた俺は、
(エンディング...とにかく、バグの発生っていう定期イベントをクリアしながら、バグの真相を突き止めないといけないのか?)
と、考える。
(『未定』ねぇ...この旅...いや、この冒険の果てには何が待ってるんだ?)
何やら難しい話になってきたが、俺の望むような世界には変わりなく、今はただ何も考えずにこの世界を楽しもうと思った。
次の日の朝。俺たちは昨日のダンジョンへ再び潜り、アイテムを探す。
「昨日はまっすぐ進んで行ったけど、このダンジョン意外と分かれ道あるんだなぁ。」
俺たちはダンジョン内の魔鉱石を探しながら歩く。
「ねぇ、少し気になったんだけど、テンコの能力で魔鉱石作れないの?」
「それを言っちゃぁお終いだけど、俺の創造の能力は加護、つまり神力を使うだろ。だから普通の剣とか装備とかは出せても、力が宿ったもの、特に魔力がこもったものを創造するのはかなりの神力を消耗するんだよ。」
「そうなんだ...」
「そう。だからこの力は、冒険の必需品と言ってもいい衣服や貴重な回復薬を作ることにのみ使うようにしてる。天賦力は体力みたいなものだから、いざと言う時に無くなっていては困るんだよ。
それに、冒険って苦労があるから面白いんじゃないか。」
それを聞いたマヨは、納得したようにうなずいた。
そして、しばらく探していると、
「ねぇねぇテンにぃ、こっちに光ってる石があるよ。」
と、ミリアがなにか見つけたようだ。
すぐに駆けつけると、そこには青紫色に輝く魔鉱石があった。5kgくらいありそうだ。
「おぉっ!でかしたぞ、ミリア!」
「えへへ。」
「さっそく採りましょ!」
3人はピッケルを使って採掘を始める。もちろんピッケルは俺が創ったものだ。
「よしっ、採れたわ!」
「かなり大きいなぁ...あ、そうだ。」〔解析〕
俺は能力のことを思い出し、試運転として魔鉱石を解析する。
【魔鉱石】
魔物などの影響で生成される魔力の籠った石。魔剣などの魔具の材料として利用される。希少価値は低い。
能力はちゃんと使えるようで、魔鉱石についての説明が表示された。
「ほうほう...」
「何してるの?」
「ちょっとね。あぁ、他人でも試しとかないとな。」〔解析〕
【Mayo=Asteria】
独自能力:水魔法
MP:300/300
HP:100/100
俺がマヨに解析を使うと、俺の時と同様にマヨの顔の前にステータス画面が表示された。
「うーん、やっぱり表示できるのはこれだけかぁ...神力が足りないのかな?」
「ちょ、ちょっと!あんた、な、なに急に...」
俺はステータス画面を覗き込む。しかし、表示が見えないマヨは、急に顔を近づけてきた俺に顔を赤くして取り乱している。
「あ、あぁ、すまんすまん。ちょっとね、能力の試運転を...」
「テンにぃとマヨねぇ、イチャイチャしてる?」
「「してない!!」」
その後も魔鉱石を3個ほど回収し、鑑定屋に持っていった。
その後、魔鉱石を売ったった金と昨日預けていたドラゴンのウロコで、ちゃんとしたミリアとマヨの防具を作り、3人は街を離れることにした。
「とりあえず、これからは本格的な冒険に出る訳だが、まずはどこに行こうか...」
「それならここから3日ほど歩いた街に冒険者ギルドがあるから、そこでギルド登録を済ませるのが一番だわ。魔物退治やダンジョン攻略は冒険者の専売特許だから。
それにこの先の街や国は、冒険者でないと入れないダンジョンや魔物退治の仕事なんかがあるからね。」
「なるほど...よしっ!!それじゃあ改めてマヨ、ミリア、これからよろしくな!」
「ぼーけんだー!」
こうして俺たち3人は新たな大冒険への一歩を踏み出した。
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〈主な登場人物〉
テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。
マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。
ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。




