第13話 秘境探検
ルミナス滞在3日目の朝。
「今日もどっかに行くか?」
昨日の余韻が抜けきらない俺は、刺激が欲しくてみんなにそう尋ねる。
それに対し、
「そうだね。」
「いこ~いこ~!」
「行きましょうか。」
と、みんなも案外乗り気だ。
俺と違って、みんなは疲労もあるだろうに、それ以上にみんなでどこかへ出かけたくて仕方がないようだ。
「じゃあ、朝食食べたら予定を立てるぞ。」
俺がそう言うと、みんなは朝の身支度を始めた。
それから、俺たちは朝食を食べ終えると、テーブルを囲む。
「今日は探検をしませんか?」
そう最初に口を開いたのは、カタルシアだった。
「探検?」
「はい。ダンジョン攻略や遺跡巡りもいいですけど、どれも観光スポットなので、得られる刺激は想像の範囲を出ません。それに比べ、誰にも知られていない秘境を探検するのはとても新鮮で面白いと思いませんか?」
その提案を聞いた瞬間、俺の頭は探検で染まってしまった。
「すっっっげぇ面白そうだな!!探検かぁ。考えてもいなかったぜ。」
「私はルミナスの観光スポットは全て知っていますし、昔から探検するのが夢だったんです。もちろん、探検はルミナスの聖域の中限定ですけど、ルミナスの外に広がる大森林はとても広大で、まだまだ謎が多いんです。」
俺の中の少年心がくすぐられるような提案。
「面白そうな提案ね!カタルシアちゃんが言うなら賛成よ。」
「あたしもさんせー!」
そんなカタルシアの提案に、2人も大賛成だ。
「何かあっても、あたしたちにはテンにぃがいるから安心だね!」
「ちょ、あんま期待されると困る。」
そんなこんなで、俺たちはルミナスの大森林を探検することに決めた。
「それじゃあ、行きますか!」
「はい!テンコ隊長!」
「安全はまかせたよ、隊長!」
俺たちは諸々の準備を終えると、気合を入れて家を出た。
「ルシねぇ副隊長、案内よろしくね!」
「まかせて、ミリア隊員!」
みんな冒険の醍醐味である秘境の探検に興奮しすぎて、普段とは少し変わったテンションで、探検隊ごっこをしながら先へ進む。
「そこを左に曲がってください。」
隊長である俺が先頭を歩き、その後ろにミリア、マヨと続き、最後尾には副隊長のカタルシアが指示を出しながらついてきている。
「おぉ、ここがウワサの『オール大森林』か。」
しばらく歩いて教会と反対の街外れまで来ると、目の前に森が見えてきた。
「オール大森林にはたくさんの古代遺跡やダンジョンが存在するエリアがあります。そこを抜けると、天導師でも立ち入らない未開の地が広がっていますよ!」
「未開の地...!」
その言葉を聞いた瞬間、俺のテンションは更に上昇した。
「よし来た!未知!ロマン!危険!探検はこうでなくちゃな!」
「ですね!」
そんな会話をしながら、俺たちは森の奥へと足を踏み入れた。
森の中は、街の近くとは思えないほど自然が濃い。
巨大な樹木が天を覆い、陽光は木漏れ日として地面に落ちている。
「う~ん、空気がおいし~。」
「そうね。静かだし、落ち着くわ。」
「この辺は聖域の影響で、凶暴な魔物が寄りつかないので安心ですね。」
俺たちはルミナスの自然を感じながら先へ進む。
「ルシねぇ副隊長!あのでっかい木はなに?」
「あれはケヤキよ。神聖な木として、一部の地域では神木として祀られていたりするわ。」
「へぇ~、流石副隊長。物知りね。」
「そ、そうですか///?」
そんな調子で進んでいると、
「...ん?」
俺の足が、何かに引っかかった。
「うわっ!」
「テンコ隊長!?」
ズルッと、俺は前のめりに倒れ込み、地面を転がる。
「だ、大丈夫!?」
「いてて...ツタが絡まったぜ。」
見てみると、足元にはツタが複雑に絡み合っていた。
「大丈夫ですか!?テンコ隊長。」
「テンにぃ隊長って、意外とドジだね。」
「ムムッ!言うようになったな、ミリア隊員。」
俺は、よっこらしょと立ち上がると、
「さっ、気を取り直して、先へ進みますか。」
と、再び歩き始めた。
その後も、波乱な秘境探検は続いた。
――川に足を突っ込むマヨ――
「きゃぁ!?」
「おいおい、何やってんだよ。マヨ隊員。」
「石にコケが生えてたわ。」
――猛毒キノコを食べかけるミリア――
「こんなところに美味しそうなキノコが...」
「どれどれ...『主に温暖な地域に生えており、猛毒――』って、ミリア、お前それ絶対に食うなよ!」
「えぇ〜、でも美味しそう...」
「だ、ダメよミリア隊員!」
――珍しい魔獣に遭遇する一行――
「あ、あれは...?」
「角が光ってる鹿?」
「あれはグロウディアですね。草食の魔獣で、とっても珍しいんですよ!」
「ほぉ~。なんか、縁起よさそうだな!」
「ですね!」
――そういった具合で、俺たちは大自然の中を進む。
「この辺で、ひとまず休憩にするか。」
3、4時間ほど歩いたところで、俺たちは休憩することにした。
俺たちは、小川のほとりにある巨木の根に腰掛ける。
「あ~、お腹空いたぁ~。」
「確かに。たくさん動いたものね。」
みんなはお腹が空いているようだ。
「よしっ。少し早いが、昼飯たべるか。」
俺は背負っていた入れ物から、予め作っておいた弁当を取り出した。
それから、みんなで弁当を食べていると、
「探検って、こんなに楽しいものなんですね。」
と、カタルシアが呟く。
それを聞いて、
「そうね。カタルシアちゃんの提案、完璧だわ!」
「ルシねぇ、最高だよ!」
と、他の2人も満足そうに反応する。
(みんな、いい顔してるなぁ...俺は今まで、誰かと一緒に何かをすることなんて、なかったもんなぁ...新鮮な感覚だ。)
俺はそんな3人を見ながら、1人物思いに耽っていた。
「さぁ、腹が膨れたら、探検再開だ!」
「「「はい、隊長!」」」
昼食を食べ終えると、俺たちは再び歩き出す。
ここまで来るのに、いくつかの遺跡やダンジョンらしきものを通り過ぎたが、ここに来て人の形跡がなくなった。
「もうここは人の手が入ってない秘境の地なのか...!」
俺たちは、今まで以上にテンションが上がる。
元世界では見た事のないような植物が生い茂るファンタジーな世界に、俺は胸を高鳴らせていた。
「...あ。」
しばらく進んだところで、カタルシアが立ち止まる。
「どうした、副隊長。」
「何か、見えてきました。」
目を凝らしてみると、確かに何かあるようだ。
森の音が消えている。風も、鳥の声も、虫の気配もない。
その先、木々が不自然に途切れ、円形に開けた空間が現れた。
「...うわ。」
そこには、苔むした巨大な石柱群が並んでいた。
倒壊した石壁の向こうには、半ば地中に埋もれた建造物。
そこだけ空気が冷たい。まるで、時間が止まっているようだった。
「これって...」
カタルシアが、息を呑む。
「記録に残っていない...完全に未登録の遺構です。」
「ってことは...?」
「はい。」
彼女は、はっきりと言った。
「古代の聖域です。」
俺は自然と笑っていた。
「...やっぱり、探検って最高だな。でも――」
俺は首を傾げる。
「半ば遊び半分で来た場所なのに、どうして今まで見つからなかったんだ?」
「確かに、そうですよねぇ。」
カタルシアも、俺の言葉に納得したようにうなずく。
しかし、その疑念はすぐに晴れることとなる。
七本の石碑。その中央に、微かに星を思わせる紋章が刻まれている。
昨日の神殿とは違う。だが、どこか"繋がっている"。
「も、もしかして、ここもかつての俺と関わりが深い、最高位聖域なんじゃないか?」
「ッ!?...言われてみれば、七本の石碑...どこか竜星神殿を彷彿とさせるわね。」
俺は一歩、前に出た。
「よし、探検隊、次はここを調査だ!」
「未知の聖域の調査ですかぁ...」
「面白そぉ〜!」
こうして俺たちは、誰にも知られていない古代の聖域へと足を踏み入れた。
そこには何が眠っているのか、みんなは期待を胸に抱かせるのだった。
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〈主な登場人物〉
テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。
マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。
ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。
カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。




