3 バイオレンスホームからの脱出
暴力的な父親と、世間体ばかり気にして父親から娘をたいがい庇わない母親。自分へ暴力が向くのを回避したってことかな。それとも父親も、社交的で人目に触れることが多い母親を暴行するのは躊躇ったってことかな。でもたぶん暴言は吐いてるよね。
想像だけど、母親は結婚するまで父親がそんな凶暴な性格とは知らなかったのかもしれない。知ってて結婚する女性は少ないだろう。
もしかするとSの兄が重度の障害を持って生まれてしまったせいで、両親の人格が崩壊したのかもしれない。
長兄が施設に入所した時期は今から二十年くらいは前のことらしい。Sは障害のせいでそのあたりの記憶が曖昧だという。
施設に入ってしまえば多くの職員の目がある。長兄を虐待するとすぐバレる、くらいの認識はあったでしょう。世間体大事にしてるならね!
でも、それまでは自宅にいたということで、母親のSへのネグレクトは長兄の世話に追われていたことも一因ではないかと考えられます。
施設入りがそんなにも遅かったのは、とにかく親ができる限り面倒見て他人の目から隠す、その方向でしょうし、そうやって家庭単位で孤立していくケースは現代でもあるから、半世紀前なら普通の感覚だったのかもしれない。まだ優生保護法生きてた時代ですもの。
だから父親はおにいちゃんの面倒も見られないダメな子認定したSに八つ当たりして、ストレス発散でもしてたのかな?
健常者で生まれた弟Tは、とにかくSと母親とで父親の暴力から必死に守ったらしいんですが。なにそれ……母親が警察に駆け込めば、その後の不幸は避けられたのでは?
そんな閉じた小さな世界で日々暴力に怯え、大人の顔色をうかがい、やっと生きていたSの災難はまだまだあって、右腕をライターであぶられたのと前後して、父親からガラスの破片で左手首を切られたという。なんて恐ろしい。
それも単に娘の泣き叫ぶ声が聴きたかったからなんだろうか。弱い相手を従える恐ろしい手口ですよね?
そんな恐怖に曝されたら自衛のために記憶がぶっ飛んでも当然なのでは。
その時は母親も動転して半泣きで(それでも半泣きなんだ? 被害者は観てたよ)、病院に駆け込んだらしい。が、それでもその裂傷を作ったのが父親だとは言わなかったらしい。暴露して自分が非難されるのを回避したかったからじゃないの? 外聞がとにかく気になるご婦人だったようで。
ヒトケタ歳の女の子がガラスで自殺を図りますか? でも、そんなこともあったせいでSには自殺未遂と自傷の傷跡が両手首にあるそうな。
そういえば、会う時はいつでもブレスレットしてたり長袖だった気がする。
それを見た弟Tは「なんや、たった〇本か」と暴言を吐いたという。なんなのそのクソガキは!
命懸けで彼を暴力から庇ってくれていた姉に対して、その態度。
いや、そんなDV家庭で、暴力暴言飛び交う中である程度育ったら、フツーに自分も真似して自衛しますよね? きっと反抗と反撃の知恵を蓄えていたよね?
そして絵に描いたようなお約束の非行に走ったのだとか。まあ、自分の身体が成長して力が強くなれば、暴行されにくくはなりますからね。
その時代の記憶はかなり曖昧で抜けているところも多く、弟Tが具体的になにをどうしたかったのかは判然としない。
それに弟Tの非行時代は、Sは父と弟の両方からの暴力に曝されていたわけで、踏んだり蹴ったりとしか言えない。帰りたくない家そのものですよね。
ああ、だからSは関西に逃げたのかな? とにかく一時的にでも逃げられてよかった。
Tがメンタル方面を職業に選んだのも、知識と技能があれば実家では活かせなくても、自分が家庭を持ったら活かすつもりだったのかもしれない。
それはいい。でもね、暴力を見て見ぬフリとか、姉が虐待されるのを悦んでいたフシもあるという異常さに寒気がしてしまうのですよ。
外面チョー好い両親の教育のもと、Sは巨大猫を被っているので(自覚アリ)、やはり外面がとっても好い。相手が嫌がりそうなことを本能的(?)に察知して回避できるのかも。あの家庭内での生存戦略だったのかもしれないし。
巨大猫のせいで、本来ケアしてくれる看護師や介護士、福祉方面へも整えた外面で『ワタシハダイジョーブデス』を演技している。ケアするほうとしては、それはだいたい察しているだろうけど、助けを求めてくれないと助けられないことはたくさんある。だから認知の癖を改めましょうよってハナシです。
一度、服薬してラリってる現場へ呼んでみたら現状をしっかり認識してもらえるかもしれないよ?
とにかく外面は好いので、狂乱しているところとか、弱みを見せたら負けだとか、嫌われたらどうしようとか、恥ずかしいとか、そういうふうに考えてはいないだろうか?
Sの日常は、日々荒れ狂うらしい精神をなだめすかし、安定させるための頓服(医師処方)を持っていて、どうにもならない時に限って使用が許可されているのだそう。それだけギリギリ限界に近い量の処方を受けて生きているので、頓服服用中はほぼヘロヘロみたい。
以前は病気のことを知らなかったので、電話の内容や約束を憶えていなかったりして、「なんだろうこの子」と思ったことはありますし、最近も健康や日常生活に良いとされる提案を何度しても、初めて聞くようなリアクションをされてきたのでね。
ひとまず、命に関わらないことについては、忘れてもいい記憶カテゴリとして脳が処理してるってことかな?
朝起きて、憶えていないモノが枕元にあったり、なにか食べた痕跡があったりと、夢遊病みたいなことにもなっているらしいよ、大丈夫なの? 実家で夜中に、服薬後トイレへ行こうとして、階段から転げ落ち骨折したこともありましたっけ。
実際に見てきたわけじゃないし、ラインのビデオ通話をとにかく嫌がるので、見たことがないんですよね。悪い顔色見せたくないのかな。(丸くなった顔を見られたくないとはSの言。え、健康優良っぽくなった顔見せてよ~)
実家(と家族)から解放されてストレスが激減、その反動でガリガリ痩せギスから、むにむににまで一気に体重が増えたそうです。
顔なじみの薬局では「まあ、なんて健康的になって! 別人みたい!」と喜ばれたのはよかったものの、それでも急激な体重増加は止まらなかったようで。
そんなにそんなに猛烈なストレスの下で生きてきたんだね。ホントにホントにお疲れさまでした。もう二度と元には戻らないから
で、今度はダイエットだの言い出し、友人知人をやきもきさせているS。太りすぎは膝や腰にくるからよくはないけど、元々基礎体力が底辺だし筋肉少ないから、熱効率も低いし運動するだけの体力がなかったわけだから、目標〇キロ減とか目指さないほうがいいと思うの。
だいたい1か月で〇キロ減とか広告じゃないんだから、無理。急激な減量はリバウンドの素ですよ。せめて1年で〇キロの世界にいてください。
それでもウォーキング継続できてえらい! すごい! 私はできてない……。
だけど、通常なら適切ではないと思われるお天気でも出たがる姿勢は改めてもらいたいですね。死ぬよ。
都市ならともかく田舎ですから。うっかり道端で倒れても誰にも救助どころか発見してもらえないのでは。
家の中でも歩くのと足踏み昇降くらいはできそうだし、ちょっとずつ貯筋(←)しましょうね。
そんな、がんばって生きてるSから大金巻き上げておいて平然と、お歳暮だのバレンタインのチョコだのを要求してくるKって、おかしいよね?
そもそもお歳暮なんてお世話になったほうから、お世話くださった相手への感謝を込めた時候のご挨拶として贈るわけで、大金借りてるほうから欲しがるなんて異常行動じゃないの?
いや、そこでKからお歳暮だのチョコだのを贈らないでもらいたい。送るなら現金一択ですから。
その借り方もいやらしい詐欺まがいの手口で、最初はほんの少額とかだったらしいけど、それを返さない内に次々「貸して」の金額がどんどんエスカレートして、今や200万になんなんとしているところですよ。無利子無返済で借り倒そうなんて、世の中甘くはないからね?
他人の金で生活するならまず自分ちの家計を見直して、売れるものは全部売り、食費は最低限に切り詰め、それでも無理なら生活保護を申請してください。
申請する前から「どうせ降りないし……」じゃなくて!
物価高と不況とコロナといろんな要因が重なってのダメージだっただろうことは、わかりますが、Sにたかっていいことにはなりませんからね。いくらトモダチだったとしても、その大金返さないうちはSのトモダチとは私は認めないからね。
Sが障害者ということもあり、秘密にしている内に返さなくていい状況になるのを待っているのかもしれないけど、そうはいきません。
もうKとSだけの秘密じゃないからね!
事業での取引とかでもない限り、トモダチ同士でお金の貸し借りはフツーはしないと思うのです。
同人誌でもどんな趣味仲間でも、お金がかかることはあるでしょう。でも、それはその趣味の範囲の中でだけ遣り取りするものであって、生活が苦しいから個人的に貸して、ということにはならないと思うのです。
しかも、誰にも内緒で?
困っているという口実で他人から大金巻き上げる特殊詐欺と変わらないのでは?
しかも返済の目途は全く立っていないとか?
どうするんでしょう。
いくら借りているので返済します、という念書は見た。でも期日は切ってありませんが?