第二話
爆速で子供時代を飛ばしていきます。
気づけば小さなベッドに横たわっていた。あの男の言う通り赤ん坊からのスタートらしい。名前はたまたま前世と同じ「リュウ」と名付けられた。この身体はうまいこと動かせない。おなかすいたりしてもうまく泣けるかわからない。せめて、乳幼児くらいとばして転生したかった。不便でしかない。とりあえず、この世界の事や常識などを勉強しながらこの退屈な日々を過ごしていこう。
4歳になった。僕が住んでいる場所は、中世ヨーロッパのような町の住宅街で子どもがいっぱいいる。
この世界にも、ライトノベルや漫画で定番の剣術や魔術などがあるっぽい。それに加えて精神魔術(催眠術的なもの)があり、剣術や魔術と比べて取得難易度が難しく世間では戦闘での使い道が少ないとされているため、使用人口がかなり少ない。剣術と魔術はライバル的な立ち位置であり、剣術の町と魔術の町があり、剣術、魔術を学びたい人は、僕くらいの年齢で家を出てそれぞれの町で術を極めていくのが常識らしい。精神魔術は数が少ないため、他の二つのような大きな町はなく、独学で学ぶことがほとんどらしい。僕はそろそろ、その三つからしたいことを決めないといけない。考えていると、あの男に言われたことを思い出した。
主人公を守ってくれ
この世界は、一つの『物語』として構成されていて主人公やその仲間がでてくる。そう僕は考えた。でも、主人公は物語でピンチになっても例外を除けば基本死なない。だから僕が守らなくてもラスボス的なものを勝手に倒して知らないうちに物語が終わっていると思った。しかし、あの男は守ってほしいと言っていたので、この『物語』は一筋縄ではいかないようだ。怪しい男に頼まれたことは聞かないのが当たり前だと思うが、何故か僕は、主人公を守るということに強いこだわりを持っていた。まるで、何か強い意志があるかのように強い気持ちだが、僕は、自分自身がどうしてこんなに強い意思を持っているかわからなかった。うっすらと『大切だった何か』が思い浮かぶが考えないことにした。
一年たって5歳になった。最近仲の良い女の子ができた。名前は「マツリ・モクセイ」という。海中から水面を見上げた時のようなきれいな青白い長い髪ときれいな目。花の髪飾りは髪の毛の青と合わさってすごく似合っていた。一目見て「あ、この子可愛い」と口に出して言うところだった。マツリとは、一緒に遊んだり、本を読んだり、いたずらしたり楽しい日々を過ごした。男の子に負けないくらい元気なマツリだが、甘えてきたりして年相応の女の子のような姿もよく見せている。
僕は、マツリのことを
本当の妹のように思っていた。