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35歳の俺と7歳の嫁  作者: mixnunu
最終話
66/66

最終回




 ………………

 …………──────







「じゃあ、いってきます」

「ええ……、いって……らっしゃい……」

三浦(みうら)さんにも、3年間だけだけど、お礼いっといてね」

「ええ…………」

「たまには帰ってくるからね」

「え、ええ……」


「うん……いってくるね」


「……………………っ、……和葉っ!」


「……?」

「……元気…………、でね?」


「……! うんっ!!」





「和葉ちゃん知ってる? あたしらと同じ小学校の先輩が、宇宙物理ってやつの研究でとんでもない成果をあげたって」

「あっ、掲示板みたみた。すごいよね、21歳で」


「まさかこの田舎から有名人がでてくるなんてねぇ。はい、これおまけ」

「え、いいの? バイトが勝手に。これ売り物のパンでしょ?」

「いいのいいの。結婚祝いってやつよ。その分あのバカから巻き上げとくから」


「あはは、じゃあアリスちゃんが結婚したら、その時はとびきりのお祝いしてあげるね」

「はいはい、よろしく。その前に相手みつけないとだけど」


「え?」

「……ん?」


「…………」


「………………、……いやっ!! あいつはそんなんじゃないからねっっ!!!!」

「え〜、そうなんだ」

「そうよ、そう! 変な勘違いはやめなさいよ」


(これはまだ、先は長いかな?)





「あ、叶芽くん」

「おう和葉。なんだ、見送り俺だけかよ」

「離れるっていっても隣町だし」

「まぁそうか、そうだな」


「さっきアリスちゃんのバイト先いったけど、叶芽くん、会いたがってたよ」

「マジか、帰りにでも寄るよ……。つーかあれだな、改めて話すこともなんもねぇな」

「毎日会ってるしねぇ」


「ああ…………、……連絡しろよ」

「うん、するよ」

「俺とならでかけても、おっさん怒んねぇだろ」

「なんなら元々くっつけるつもりだったみたいだし」

「そうかぁ……いまだに実感わかねぇや。……そういや、話だと丁度このくらいからか。俺らが付き合い始めるのって」

「うん。そっか、なんか変な感じ……」


「………………」

「……じゃあ、もういくね」

「おう、元気でな」

「うん」


「……和葉!」

「ん?」


「俺! お前のこと好きだったぞ!」

「うん、知ってる!」





 オイル混じりの鉄のにおいが鼻を抜け、土と草木がすでに懐かしい。

 駅から15分ほど歩いてもまだ建物が連なっていて、地元と比べれば比べるほど、異界にでもきた気すらする。

 浮き足立つ私だったが、指定された住所がみえてくると、まぁ愕然というか、むしろ安心感すら覚えるボロっちいアパートがそこにはあった。

 後ろにそびえる高層ビルが影になって、浮いた木目がさらに溝深く。

 眉間に皺を寄せた私は、こんなものかとため息をつき、2階の最端、指定された部屋まで足を運んだ。


 ジィー!!


 古いタイプのドアホンが耳奥まで響くと、そのあとすぐにドタバタした足音が、扉の前まで聞こえてくる。


「……おう、いらっしゃい」

「はい、いらっしゃいました」


 3年ぶりというわけではない。

 なにかと理由をつけては呼び出し、デートなりなんなり、こき使ってきた。

 それでも私のほうから出向いてみると、改めて一緒になるという自覚が芽生えてくるもので、感極まるとこがある。

 重たい荷物もおろすことなく、私は木内さんにポスンとよりかかった。


「なんだよ急に。お父さんじゃねぇぞ俺は」

「……3年前、迎えにくるっていったのに、こなかった」

「あー……ほら、駅前でデートしたとき、職質されたの覚えてんだろ? 家に連れ込んでいい年齢差じゃないの」


「……………………」


「…………わかった!! 今度お前の好きなとこ出かけよう。それで勘弁してくれ」

「え、ほんとっ! やったーー! ラッキーー!! しかし駄々もこねてみるもんね」

「くそ、かまととぶりやがって……」



 ………………

 …………



「でさぁ、木内さんはいつ私の恋路に気づいてたの?」

「ん、最初からだよ、最初から」

「え!? そんな顔にでてたか……」

「いや、長年のヤツだよ。30年……ヘタすりゃ40年か、ずっと一緒にいるからな」


「あー、そっか、そうだよね。なんか変な感じ。どんなひとだったの、私って」

「変わんねぇけどな、いまとなんも。子供産んでからは、もうちょっと大人しかったけど」

「ふーん、そんなもんか。まあ騒がしいのは若気ってことで、おひとつ」

「本人がいうもんじゃないな」





「今日、夜ご飯なに?」

「塩サバ」

「お、いいね。なんか手伝う?」

「いやいいよ。先に荷解きだけ済ませとけよ、明日から普通に大学あんだろ」

「はーい。やっぱお父さんじゃん」

「あぁ、ま、抜けねぇわな」

「ふふ、だいじょぶよ。慣れたら抜けてくよ」

「んー……自信はない」


「あはは! 最悪私のこと、一香ちゃんって呼んでいいから」

「いや、よかねぇだろ。パパと結婚するぅ、じゃねぇんだぞ」


「えへへ、そうねぇ。そういやさ、私らが子供産んだら名前どうすんの? やっぱ、一香にする?」

「そんときゃそんときで話しあう。俺も、和葉の存在以外のことで、未来を持ちこむつもりはねぇよ。そもそも子供って……産むつもりかよ」


「うん。木内さんとの子。私はほしいよ」

「………………」


「……照れてる?」

「うっさいうっさい」

「やーい! 照れんぼだぁー! 照れんぼっ! ヒューヒュー」

「だーもうっ!! お前ほんと子供っていうか、変わんねぇなぁ!! いくつになっても!」


「変わんないよ! 私はずっと!!」




 お疲れ様です。ここで最終回になります。

 大体、構想通りのまま終わらせることができました。

 元々この終わらせ方をするつもりだったので、叶芽過去転生後の未来の和葉さんたちの様子、とかは一切描写してなかったですし。


 本作以外にも、萌え系ギャグコメディや、短編の青春群像的な作品がありますので、よければ作者ページを覗いてやってください。

 星とかコメントいただければ、嬉しすぎて作者ハゲますので、作者の毛根を根絶やしにされたい方はお手数でなければお願いします。


 最後までありがとうございました!


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