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2-­②




(……は?)


 一瞬だけ思考が飛んだ。

 もう7歳だが、まだ7歳だ。監督責任なんてものはないと言わんばかりの傲慢に、言い返す気力さえもわかない。


 一礼をした後何事もなかったかのように立ち去る義母の後姿を、呆然と見送るしかできなかった。


 訳も分からず説明を求めるかのように、心ともなく和葉と目線を合わせてしまう。

 和葉は物悲しい表情でぽつぽつと話を始めた。


「ママ、病気なのよ」


「病気?」


「うん、人を愛せない病気なんだよ。家にいてもお薬飲んでるか寝てるかしかしないから、パパも気持ちが悪いって別れちゃったんだって」


 幼さ故のたどたどしさは感じるが、それでもしっかりと説明をしてくれる。


「それからね、離婚してからママはずっと働いてるんだよ。お金、そんなに困ってもないのに……」

「………………」


(つまり……、誰のせいかってそういうことか)


 先ほどの高圧的な話を要約するとそういうことなのだろう。

 だが、これではただの自傷行為にしか過ぎない。


「それでね、家のこともほったらかしになっちゃうからって、パパがたまに家事しに来てくれてたんだけどね、もうそれも限界だってパパが」


「なるほど、それで俺か」


 そう答えると、あかべこかのように3度頷いた。

 和葉も母親の気持ちは理解できているのか、哀愁はあるもののそこに対する嫌疑は感じない。


 理解に苦しむ部分はまだ多々とあるが、辻褄はなんとなくわかってきた。


「ところで……、おじさんのお名前、きうち かなめっていうの?」

「ん? そうだけど?」


「もしかして、叶芽君のお知り合い……ですか……?」


(……っ!!?)


「叶芽君のお父さんとか? 叶芽君のお兄さん……はないか」

(年齢いじりはこの年が一番こたえるからやめろ)


 言い得て妙な質問に、だいぶと動揺してしまう。


「いやぁ、そんなことないぞ。ただの偶然、偶然……」

「そうなの? じゃあ、よかった!!」


(??)


 少し、はぐらかす意味はあるのだろうかと悩みはしたが、下手に騒がれるぐらいなら隠していた方がいいと納得した。


「ああ!! そうだっ! 急に思い出した、アリスちゃんと遊ぶ約束してるんだった」


「ん? じゃあ、俺は飯とか作っとけばいいのか? よーし、遊んで来い遊んで来い。家のことはまかせとけ」


「えぁ、いや、あの……、木内さんもついてきて!!」


 初対面の相手にここまで心を開けるのは、小学生特有の距離感か。事情を聞く前に無邪気に手を引かれるが、この笑顔には逆らえない。


 問題の先送り感は否めないが、今は彼女に振り回されることが率直に愉悦はあった。




 案の定文章がぬまったので小出しにします。2話はまだ続きます。

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