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35歳の俺と7歳の嫁  作者: mixnunu
12話
51/66

12-②




「さあ、とりあえず、どうしようかしら。私の仲間にもあいさつしたいわよね。あと、同盟の契りも必要ね。それから──」

「あぁー……、うん……」


 落胆、といえば、礼儀がない。

 勝手に期待をしたのはこっちであり、彼女に非は一切ないし、そこをせめたてるのは論外だ。

 だが、気がぬける。

 喉に冷気がとおるたび、そこからにじむよう、顔をこおらせていく。


 たぶん、俺はいま、みてもられない顔をしているだろう。

 それを彼女にみせてしまっている。

 なんだか、とりつくろうことすら、億劫だった。


「………………、……木内」

「え?」

「木内は、かえりたいの?」


 白雲さんの透きとおった声に、少し、肩をゆらした。


「あー……悪い。まあ、そうだ。まってる家族がいるんだよ」

「っ! それは……ごめんなさい。私がよびだしちゃったから……」

「い、いいや。べつに」

「あ、うん、あの、……ごめんなさい」

「いや、白雲さんのせいじゃないよ……」

「うん……えーと、うん……」


 苦手なわけじゃない。

 一緒にいて居心地が悪いわけでもない。

 だが、このひととは、なにかとかみあわない。

 幼少であってもかわらずのようだ。


「あの……! 時空の維持も、べつに、ひとりでもできるし、ていうか、そんな急ぎでもないし……、元の時代にかえるなら、べつに、ぜんぜん」


 自責だろうか。

 おびえたような口調で、といかけてくる。


「……あの、……かえれるの? かえりかた……わかる?」


 すこしだけ面をくらった。

 彼女はもっと、わがままというか、自我が強いというか、あまり他人を慮らないひとのイメージがあった。

 あくまでも自分がよんだと、おもいこんでいるのは、年相応でかわいらしい。

 が、そういわれると、自分のことしか考えていない俺は、劣等感すらもかんじてしまう。

 年上とはいえ彼女は子供。

 俺の立場として、気遣わせないように、強がった返答でもしてやるのが、白雲さんのためにもなるだろう。


 だが、今日の俺はなにか変だった。

 また、ふりだしに、もどされたからか。

 和葉たちが、ちゃんと親子になれたからか。

 もしくは、このひとに、現状の共有ができたからか。

 鮫島さんの時とは違う、仲のいい知人をたよることができる安心感。

 なんだか彼女の存在が、とてもあたたかい。


(いままで孤軍奮闘してたからか、白雲さんに母性でもかんじてるのか? いま声をだせば、ちょっとの拍子で甘えがでてしまうかもしれん)


 むしろ、いいのかもしれない。

 彼女とはちぐはぐだが、この過去転生を共有できている、数少ない存在だ。

 鮫島さんもかえってしまうとなれば、すこしだけ、一緒に話をしていたい。


「わからないんだ……かえりかたが。もうこの時代にきて2週間になる。色々と模索しているけど、なにも……」

「そう、なの……」

「い、いや! 白雲さんのせいじゃないんだ。ただ、その……偶然がかさなっただけだとおもう」


 まずい。

 これ以上は、くちをすべらせてしまう。

 彼女に罪悪感をいだかせたい、わけではないんだ。


「木内……、明日……ひま?」

「へ?」

「私、家に本とかいっぱいあって、未来にもどる手段とかわかるかもしれないから。その、私も手伝えることがあるなら……」


 妙な展開になったぞ。

 いろいろと、こじらせているから、俺よりも知識はうえなのか。

 たしかにこの事象、オカルト的な観点からはみていなかった。

 もしかしたら、なにか手がかりがあるかも。


「わかった。俺もその話はきいてみたい」

「う、うん! じゃあ、明日、ここで」


「あの、白雲さん……」

「ん?」

「………………、…………ありがとう」


 いや、違うな。

 雑な理由をつけてでも、くらいつきたいだけなんだ。


 それは、光ではないし、息はつまるし、罪悪感もある。

 でも、白雲さんの存在が、なんだかすごく、心地よい。


 泥の中の、泥団子か。




 以下、宣伝です。


 もうなりふり構わず、浅ましくも、宣伝します。

 読んでいただけたら嬉しいです。

 読んでいただけなかったら悲しいです。


「後輩男子と仲良くなりたいコミュ障女子が、支離滅裂な言動で、しっちゃかめっちゃかするギャグ作品」

https://ncode.syosetu.com/n7426km/


「横暴野球少年の主人公が無理やり漫研に入部させられるも、そこで出会った女の子と一緒にいるうち、自分の中のアイデンティティが形成されていく、ボーイミーツガール短編」

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