12-②
「さあ、とりあえず、どうしようかしら。私の仲間にもあいさつしたいわよね。あと、同盟の契りも必要ね。それから──」
「あぁー……、うん……」
落胆、といえば、礼儀がない。
勝手に期待をしたのはこっちであり、彼女に非は一切ないし、そこをせめたてるのは論外だ。
だが、気がぬける。
喉に冷気がとおるたび、そこからにじむよう、顔をこおらせていく。
たぶん、俺はいま、みてもられない顔をしているだろう。
それを彼女にみせてしまっている。
なんだか、とりつくろうことすら、億劫だった。
「………………、……木内」
「え?」
「木内は、かえりたいの?」
白雲さんの透きとおった声に、少し、肩をゆらした。
「あー……悪い。まあ、そうだ。まってる家族がいるんだよ」
「っ! それは……ごめんなさい。私がよびだしちゃったから……」
「い、いいや。べつに」
「あ、うん、あの、……ごめんなさい」
「いや、白雲さんのせいじゃないよ……」
「うん……えーと、うん……」
苦手なわけじゃない。
一緒にいて居心地が悪いわけでもない。
だが、このひととは、なにかとかみあわない。
幼少であってもかわらずのようだ。
「あの……! 時空の維持も、べつに、ひとりでもできるし、ていうか、そんな急ぎでもないし……、元の時代にかえるなら、べつに、ぜんぜん」
自責だろうか。
おびえたような口調で、といかけてくる。
「……あの、……かえれるの? かえりかた……わかる?」
すこしだけ面をくらった。
彼女はもっと、わがままというか、自我が強いというか、あまり他人を慮らないひとのイメージがあった。
あくまでも自分がよんだと、おもいこんでいるのは、年相応でかわいらしい。
が、そういわれると、自分のことしか考えていない俺は、劣等感すらもかんじてしまう。
年上とはいえ彼女は子供。
俺の立場として、気遣わせないように、強がった返答でもしてやるのが、白雲さんのためにもなるだろう。
だが、今日の俺はなにか変だった。
また、ふりだしに、もどされたからか。
和葉たちが、ちゃんと親子になれたからか。
もしくは、このひとに、現状の共有ができたからか。
鮫島さんの時とは違う、仲のいい知人をたよることができる安心感。
なんだか彼女の存在が、とてもあたたかい。
(いままで孤軍奮闘してたからか、白雲さんに母性でもかんじてるのか? いま声をだせば、ちょっとの拍子で甘えがでてしまうかもしれん)
むしろ、いいのかもしれない。
彼女とはちぐはぐだが、この過去転生を共有できている、数少ない存在だ。
鮫島さんもかえってしまうとなれば、すこしだけ、一緒に話をしていたい。
「わからないんだ……かえりかたが。もうこの時代にきて2週間になる。色々と模索しているけど、なにも……」
「そう、なの……」
「い、いや! 白雲さんのせいじゃないんだ。ただ、その……偶然がかさなっただけだとおもう」
まずい。
これ以上は、くちをすべらせてしまう。
彼女に罪悪感をいだかせたい、わけではないんだ。
「木内……、明日……ひま?」
「へ?」
「私、家に本とかいっぱいあって、未来にもどる手段とかわかるかもしれないから。その、私も手伝えることがあるなら……」
妙な展開になったぞ。
いろいろと、こじらせているから、俺よりも知識はうえなのか。
たしかにこの事象、オカルト的な観点からはみていなかった。
もしかしたら、なにか手がかりがあるかも。
「わかった。俺もその話はきいてみたい」
「う、うん! じゃあ、明日、ここで」
「あの、白雲さん……」
「ん?」
「………………、…………ありがとう」
いや、違うな。
雑な理由をつけてでも、くらいつきたいだけなんだ。
それは、光ではないし、息はつまるし、罪悪感もある。
でも、白雲さんの存在が、なんだかすごく、心地よい。
泥の中の、泥団子か。
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