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35歳の俺と7歳の嫁  作者: mixnunu
12話
50/66

12-①




 身長は和葉と同じくらいだろうか。

 俺のしっている白雲さんより20センチは小さいが、顔のパーツは、なにひとつとして、かわらない。

 肌艶が幼子のものだというのは違和感があるが、正面にたつと、なおわかる。

 彼女が本人で違いない。


 俺の喚声で、彼女の肩がビクッとはねた。

 おそるおそるとむけられた顔は、眉根がよせられ、怖じけているようでもある。

 見知らぬ男に、突然、叫ばれたんだ。

 ストレスになったかもしれない。


 だが、いまは度外視とさせてもらう。

 俺には……俺にはやらねばならないことがあるんだ。


「俺は、木内叶芽だ。俺をここによんだのは、あんたなのか……!」

「…………」


 返事はなかった。

 小さい体で俺をみあげて、頭から爪先まで、まじまじと確認してくる。


『神、もうひとり、選別』

 鮫島さんの声が頭に響く。

 いま、俺は見定められているのか。

 彼女はなにか、人智をゆるがす存在なのか。


 息が荒くなる。

 心臓が鼓動する。

 むけられた視線が体をはうたび、その視線にひっぱられるよう、毛がさかだっていく。


 数秒の沈黙。

 確認が終わったのか、なにか納得したような顔で、彼女はコクリ、うなずいた。


「あなたは、どこからきたの?」

「……令和5年、ここから28年後の未来からきた」

「そう、未来ね……」


 彼女は、用意していた言葉をならべるように、淀みなく話を続ける。


「まずはご名答、といった次第かしら。私の力を感じとったうえでの、直感だったのかもしれないけれど」

「……っ! てことは、やっぱりあんたが……!」

「ええ、そうね。あなたはいま、ここにいるもの。私がよんだことになるわ」


 突然だった。

 その言葉は、勝手にもっと劇的なものだとおもっていたので、ながれる時流の、普遍的な空気のなかでの真実に、俺は少したじろいでしまった。


 目的はなんなのか、とか。

 あんたは何者なのか、とか。


 ききたいことは山ほどあったはずなのに、脳みそから、スッポリぬけおちる。

 吐息しかでてこない。

 言葉につまる。


「…………ふむ。……じゃあ、質問、私からいいかしら?」

「……! お、おう……」


 たじろぐ俺をみかねてか、白雲さんから助け船がおりた。

 小学生に気を遣われるのは、結構、気恥ずかしい。


「あなた……木内はどうして私が力をもっているって、わかったの? まあ、問題はないんだけど、ないんだけどね。木内が危ない人だったら、一緒にいると、ママに怒られちゃうから」

「ん? 怒られる?」


 どういうことだ。

 自分でよびだしておいて、俺が誰だかわからないのか。

 俺はゆっくりと、言葉をえらびながら、核心へと手をのばす。


「……30年後、俺の職場の上司なんだよ。白雲さんは。ある時に、やり直すだとか、導きだとか、いってたから、俺の過去転生に一枚かんでるとおもったんだ」


「ああ、そうね。そうだったわね。うん」


 その乾いた返事に力はない。

 だが、ハキハキとした喋りで、耳に強くのこる、奇妙な口調。


「………………、じゃあ次、俺からいいか?」

「ええ、どうぞ」


「白雲さんの目的を教えてくれ。どうして俺を、この時代によんだのか」

「時空よ。時空の歪みを正すこと。それが私の使命」


「……? ……時空? それで、なんで俺が必要なんだ? 俺はなにをすればいい」

「木内はまだ自覚がないのかもしれないわ。自覚をもつまで、能力はもてない」


「……? ……??? えーと……じゃあ、白雲さんはいったい何者だ? なんでそんなことを?」

「そうね。ここでは、『クロノスの教え子』、とだけ、いっておこうかしら」


「????????」


 彼女は、それはもう淀みなくしゃべるので、正しいことをいっているような雰囲気だけはあった。

 だが、なにも頭にはいってこない。

 レスポンスがなっていない。


 喉にへばりついた餅のようだ。

 それを、いくらのみこもうとしても、いっこうにおちる気配がない。

 むしろ逆流してくる。


 なぜだろうか、いまこの時間が、徒労にしかかんじないのは。


 我に帰ってよくみると、彼女のファッションは、当時のダサカワとよぶにもおこがましいゴスロリ風。

 まさかとはおもうが、このひと、アラフォーになっても、見た目も中身も、なにもかわらなかっただけなのでは……。


「あの……白雲さん。俺のこと、どうやってよんだんだ……? なにか、神とか、そういうのは……」

「あら、なにをいっているの? 私は毎日ここで、召喚の儀をおこなっていたのよ。木内は、それに反応したってことになるわね……!」


 白雲さんは、ニタリとわらった。

 俺は汗と鼻水がとまらなかった。


 なにやら嬉々として語っているが、その言葉を理解することすら困難。

 そういえば、女子のオマセって早いよなぁ、とかおもったり、おもわなかったり。


「突然のことで混乱してるかもしれないけれど、大丈夫よ。私たちなら、混沌から世界を、すくえるのだから……!」


 藪をつついたなら、せめて普通の蛇がでてきてくれ。

 この蛇、3つ目の邪眼が、開眼している。




 以下、宣伝です。


 もうなりふり構わず、浅ましくも、宣伝します。

 読んでいただけたら嬉しいです。

 読んでいただけなかったら悲しいです。


「後輩男子と仲良くなりたいコミュ障女子が、支離滅裂な言動で、しっちゃかめっちゃかするギャグ作品」

https://ncode.syosetu.com/n7426km/


「横暴野球少年の主人公が無理やり漫研に入部させられるも、そこで出会った女の子と一緒にいるうち、自分の中のアイデンティティが形成されていく、ボーイミーツガール短編」

https://ncode.syosetu.com/n3766kj/

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