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1­-④




 顔立ちも背格好もあまりに瓜二つだったが、俺にはわかる。わかってしまう。

 だが、無意識のうち、認めたくない事実に抵抗をしていた。


「一香……だよな? ほらっ! 今日は父さんたちの結婚記念日で、ご飯食べに行こうって……」


「んん??? 違うよっ! 私、ひとかじゃなくて和葉だよっ!! 小清水 和葉(おしみず かずは)っ!」


(……っ!!!)


「?? おじさん、どうしたの?」


 これは、この喪失感を埋めるためのある種の現実逃避にしかすぎない。

 今しがた見てきたばかりなので、鮮明に、よりくっきりと思い出せる。俺にとって、覚悟を現実のものにしたあの日を……。



 ~2014年 某日~


『ごめんよ、せっかく高いお店予約してたのに。まさか電車が止まるとは思わなくて……』


『もお、いいって言ってんのに。それに叶芽君の部屋来るのなんて久々だし、高級なお店よりもワクワクしてたりして!』


『ん? そんなもんか……? ただのボロアパートだけど』


『いーや、そんなもんだよ! ところでさ、いつもは近所の居酒屋とかじゃん。なんで今日に限ってあんな高いお店とってんのかなー……、なんて』


『あーー……、あぁー。いや、その質問するってことはお前ももうわかってんだろ。付き合い始めてから5年も待たせたんだ。こういうのはもっとかしこまった場所でした方が──』


『私は! 気にしないよ。別に、そんなの』


『……っ、あぁー、もうっ! ……小清水 和葉っ!!!』


『は、はい!!?』


『俺は回りくどいのは苦手だし、気の利いたこともできないから単刀直入に言うぞ! …………お世辞でもなんでもなく、和葉は俺にとって世界で一番愛おしい存在なんだ。俺と……結婚してほしい』


『…………』

『………………』


『…………いざ……、こう言われてみるとさ、…………やっぱり場所はこだわってた方がいいかもね』


『お前がやらせたんだろっ!!』


『あはは! 冗談、冗談だよ~! ……うん、なんだろう……、すっごい嬉しい────』



 ~そして現在~


 どうして俺なんだ。今の自分を変えたくてとか、危機を救う使命があるとか、復讐心に燃えているとか、そういうのがテンプレだろ……?


「あっ、あの……、えーと、和葉……ちゃん。今ってさ何年の何月か、とか聞いてもいいか……?」


 俺は幸せなんだ。悔いなんてあるものか。なんでそれが全部、無に返されないといけないんだよ。


「んんん??? おじさんヘンなの! 今は1995年の、7月だよ!! ほら、もうすぐ夏休み!!」


「…………そ、…………そうかぁ……」


「?? あっ、おじさん……、もしかして社畜なの? ど、ドンマイ……」


 立てられた親指の光沢が滲むのは、汗のせいなのか涙のせいなのか。


 木内 叶芽、1988年生まれの35歳。今、1995年にいます。




 お疲れ様です。ここまでで1話となります。

 本作は、自分の好きな作品3作を足して10で割ったかのような薄味n番煎じ作品となっております。そんな作品でも楽しめるように邁進しますので、続きも読んでいただけたら幸いです。

 更新は不定期(かなり遅め)になると思いますが、ご了承ください。


 こんな所まで読んでいただきありがとうございました!!

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