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4-­②




(ほっといても関係が続くまでに進展させとかないと、安易に帰還してパラドックス的なやつに巻き込まれたら笑い話にもなんねぇもんな。……ま、そもそも帰る方法も恋仲にさせる方法も知らんのだけども)


 昨日、叶芽君にもいった通り、家庭崩壊に陥った和葉を支えたのは間違いなく俺だ。


 まだ無垢な少女である今は問題ないかもしれないが、これから先、心身をすり減らした和葉を直で見ていた身としては、俺(7)は和葉の隣にいなければならない存在なのだ。


 このまま和葉の好意が俺(35)に向いたままであれば、その支えをも崩しかねない不安定な状態ともいえるだろう。


 ……と、そこまで考えるも、誰でも真っ先に思いつく解決策は、そんな俺の逡巡すべてを否定しうる。


(けどまぁ、お義母さんがあんなな以上、叶芽君にいくら自覚が芽生えたところで和葉の呪縛が解かれる訳ではない……。……いっそのこと、俺がこのまま見守っていければ…………)


 その瞬間、俺の右こぶしが右頬を貫いた。


 あるがままに大きく態勢を崩し、地鳴りを響かせ倒れこむ。


「木内さんっ!!? どうしたの!??」


「い、いや……滑っただけだから……」


(アホか俺はっっ!!! 俺には帰りを待つ嫁も娘もいるんだ!! いくら嫁の幼少期でも、同情するには30年遅いんだよ!!)


 言葉では何とでも言える、しかし本能では彼女を心の底から愛しているが故の『最善』がちらついてならないのだ。


 俺はそんなに器用に生きることができない。


(その行動にどれだけ責任が伴うっ! 子供じゃねぇんだ、目の前以外も見ていけよ……)


 他人事であろうと思うことへの疎外感は、俺にとって和葉がいくつであっても妻なことには変わりないからだ。


 こいつは赤の他人、別ん家の子供だと思え。家事代行を演じきれれば、この幼女への未練はなくなることだろう。


「でもでも、ほっぺた腫れてるよ?」


「いや、大丈夫なやつだから……」


「えー……、あっ!! そうだ! ……えいっ!!」


 との掛け声と同時に、俺の頬めがけて小さな五指が飛び込んでくる。


「………………っ? ……え、えーと? 和葉……さん?」


「私の指、冷たいでしょ? だからこれで、なおれーって!」


「…………………………っっっっ!!」


 全てがちっぽけかのように映るその光に、俺は言葉を失ってしまった。


「……だめ、これだめなやつだから……和葉、離れて……」


「へ? なんで?」


(嫁がいて! 娘もいて! 俺の初恋は今のお前だからだよ!! ……なんて言えるわけないだろ!!!)


 これを邪念と思うのであれば、それは俺に対する冒涜ともいえよう。


「こうなりゃもう、左も……、いっとくか……」


「へ? なに??」


 そんな行為で捨てれる感情なのであれば俺は彼女にこんな執心するわけがない、ということに気が付いたのは2発目を入れ込んだ後だった。




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