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4-­①




 空が灰色に染まりだした昼下がり。


 なびく木々に目を輝かせながら、窓にべったり張り付いた少女が1人。


(台風なんて見て何が楽しいんだ? ……って思ったけど向かいの家で同じことしてんだろうな、俺も)


 子供は台風で謎にテンション上がるところがある。


「これさっ! これさぁ! 家とんじゃう!?」


「いや……そんなことはないだろうけども。でもあんま窓に張り付かない方がいいぞ」


「えーなんで?」


「もし風で木の枝とか飛んできて、まど突き破ったらあわや大惨事だろ」


「っ!!??」


 和葉がみるみると顔面蒼白になっていく。

 そんな様を見てしまうと、俺だって多少の罪悪感はもってしまうものだ。


「まあ、こんぐらいの風なら飛んでくることもそうそうない……、……?」


 そこまで言ったところで見下ろすと、ばつの悪そうな顔で服の裾をがっちりつままれていた。


「なんだよ、そんな怖かったのか?」


「ん、んんん……、…………ええ、はい、そんなこととこ、言いますか……ねぇ」


(くそ、かわいいなこいつ)


 3日目にもなってもいまだに距離感がつかめずにいた俺であったが、そんなことを知りもしない和葉はずけずけパーソナルな話題を振って来る。


「ママは? ママ大丈夫??」


「ん……あー……、お義母さ……聖子(きよこ)さんって証券会社のパートだったよな? この家より頑丈だろうから心配すんな」


「でも! ママ『まどぎわ』らしいから、危ないね」


「そ、それは…………、大丈夫な……窓だから……、きっと……」


 急にアラサーを刺してくる。


 そんなこんなで掃除に戻ろうとした俺であったが、気付けばなんとかクエスト方式で後ろから和葉がついてきていた。


「和葉、掃除機の後ろから出てくる風って汚いぞ。ビビらせたのは悪かったけど、おとなしくしてなって」


「あっ、ごめんなさい、邪魔するつもりじゃなくてね、今日アリスちゃんと遊ぶ約束してたから……」


「あぁ、それで暇なのか」


 現在、夏休み初日。


 遊び盛りな小学生には家で時間をつぶすのは刺激が足りないのだろう。


「宿題は?」


「今日のぶん終わりー」


「優秀かよ……。あっ、じゃあ俺でいいなら付き合うか? 色々終わらしてからになるけど」


「ほんと? やたーーー!」


「あー……、その代わりにさ、今度アリスちゃんとまた別日に遊ぶんだろ? その時、叶芽君も誘ってやってくれないかなぁ、なんて……」


「え、やだ。女の子だけで遊ぶもん」


「な、なるほど……、そうですよねぇ……」


 露骨な誘導を試みるも失敗。


 子供の恋慕にここまで大マジこいているのもおかしな話だが、2人の仲を取り持てるのは現状俺だけ。


 多少強引であろうと2人をくっつけることができなければ俺に明日はないも同然なのだ。




 長かったんで分けます! 続きは明日!

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