第九十六話 公爵家の改革は進んでいき、わたしはマクシノール殿下に溺愛され、結婚式を迎える
わたしはマクシノール殿下に溺愛されていく。
わたしたちの仲はどんどん深くなっていった。
コルヴィシャルデ公爵家も改革が進む。
わたしは「改革プロジェクトチーム」の三人と一緒に領内を回り、改革の進み具合のチェックも行っていた。
そこで、領民の意見を自ら聞き、そして、領民の苦しみを把握して、改革に取り入れるということも行うことにした。
最初の内は、領民のわたしに対する態度は冷たいもので、なかなか協力してもらうことはできなかった。
わたしの「悪役令嬢」のイメージは領民にも浸透していて、そのイメージを変えていくというのは、相当の困難が予想されるものだった。
それでも、わたしが領民の意見を聞き、領民の苦しみを把握し、改革に取り入れるということを続けた結果、領民のわたしに対する意識は変化し始めた。
やがて、領民の中にわたしのことを慕う人たちが増え始めた。
公爵家の中にも、わたしの政策を支持する人たちが増え始めていた。
そういう努力の結果、領民の間にも、公爵家の内部でも、反乱が発生する機運はなくなっていった。
領内の産業も活性化し始めている。
後数年もすれば、急速に発展することが期待できそうだ。
わたしの評判も、だんだん良くなってきていた。
そこで、その翌年の一月、結婚式を七月に行うことが決まった。
そして、今、わたしたちはここいる。
「そろそろみなさんにあいさつに行きましょう」
マクシノール殿下が、微笑みながらわたしに声をかける。
わたしはマクシノール殿下のことが好きで好きでたまらない。
「よろしくお願いします」
わたしは、マクシノール殿下と手をつないで、会場の方へ向かって行った。
結婚式にはたくさんの人たちが出席していた。
国王陛下と王妃殿下、そして王室の人々。
友好国の王太子殿下。
王国内の貴族たちと平民たちの代表。
マクシノール殿下とわたしは一旦別行動になる。
ロデナーヌさんとその取り巻きである侯爵令嬢の二人も出席していて、わたしのところにあいさつに来ていた。
「クラデンティーヌさん、ご結婚おめでとう」
ロデナーヌさんが微笑みそう言ってきたのには、驚いた。
こういう式の時なので、嫌味を言うことはないと思ってはいた。
でも、淡々とあいさつをするだけで、笑顔はないだろうと思っていた。
それが、微笑みでのあいさつだったのだ。
わたしはうれしくなって、
「お祝いしてくださって、ありがとうございます」
と言って頭を下げた。
すると、ロデナーヌさんは、
「残念ながら、マクシノール殿下はあなたと結婚することになってしまいました。悔しさはあります。しかし、こうして結婚式を挙げる以上は、もうあきらめます」
と少し悲しそうな表情になって言った後、すぐに切り替えて、
「わたしは、フィーリングの合う方と出会って、結婚し、幸せになりますわ」
と微笑みながら言った。
「これからのわたしは、あなたと幸せ比べをしたいと思っています。もちろんわたしは幸せになっていきますが、あなたも幸せになっていきなさい。あなたの力がこれから力を発揮しなければ、わたしの勝ちになってしまいますわよ」
と言った。
「わたしはマクシノール殿下に尽くし、お互いに幸せになります」
わたしはそう強く思っている。
「その意気よ、マクシノール殿下とあなたが幸せにならないと、わたしを含めたこの王国の人たちが幸せになれないのよ。わたしの幸せを越えるぐらいになりなさい。それからもう一つ。この結婚式が終わった後は、あなたのことを王太子妃殿下とお呼びするわ」
わたしはこの言葉を聞いて、胸が熱くなってきた。
ロデナーヌさんは、この一年ほどで、まだ口は良いとまでは言えないけど、相手のことを思いやることができるようになってきたようだ。
いや、というよりは、もともとはそういうところを持っていた人だったのだと思う。
それが、キャラクター設定の影響があって、出すことができなかったのかもしれない。
「ありがとう。激励してくれて。ロデナーヌさんの言う通り、ロデナーヌさんを越えるぐらいに、マクシノール殿下と幸せになっていくよう、一生懸命努力していく」
わたしがそう言うと、ロデナーヌさんは急に恥ずかしくなってきたようで、
「わたしは別に、あなたに感謝されようとか、激励をしようとして言ったわけではないのよ。そこのところは、認識を間違えないでね」
と顔を赤くしながら言った。
もしかしたら、「ツンデレ」の気質もあるのかもしれない。
ロデナーヌさんは、恥ずかしさを抑えながら、
「とにかく、幸せになりなさい。ではわたしはもう行くわ。ごきげんよう」
と言って、取り巻きの二人とともに去っていく。
「ありがとう、ロデナーヌさん。わたしもあなたの幸せを祈っているわ。ごきげんよう」
わたしはロデナーヌさんにそう応えた。
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