第九十五話 公爵家の改革
わたしたちの改革に反発する人たち。
その人たちが、主に反発の対象にしていたのが、「公爵家内の経費節減」だった。
コルヴィシャルデ公爵家の財政を立て直す為には、避けては通れないところ。
わたしは、自らの経費節減に努めるとともに、反発する人々を、一人ずつ根気強く説得していった。
今までのわたしに対する、わがままで傲慢なイメージの為、説得はなかなか進まなかった。
しかし、三か月をかけて、ようやく一定の理解を得ることができるようになった。
それにともない、財政は良い方向に向かい始めた。
農業、商業の振興についても取り組みを開始した。
貧富の格差についても縮小していく方策を立てていく。
こうしたことは、十年・二十年と長い時間をかけていかないと、成果は出てこない。
この公爵家は長年、小麦の生産が主だったので、新しい作物を栽培することを進めても、抵抗を覚えるものは少なくはなかった。
農民に栽培方法をていねいに教えても、栽培に対する抵抗はなくならない為、栽培をする機運にはなかなかならない。
イメージが悪いわたしからの提案だということが、なおさらそれに拍車をかけたこともあるようだ。
「あのわがままで傲慢な方が提案された話だ。言う通りに行って、われわれが得するとは思えないし、あのお方のことだ。すぐに飽きるだろう。飽きたらすぐに政策を放棄しそうだ。そうしたら、われわれのしてきたことは全部無駄になってしまう」
このような話が領内の人々に伝わっていた。
しかし、それでもわたしは、粘り強く推進を続けていった。
「この政策を実行していけば、領内は発展し、領民一人一人が豊かになっていく」
このことを特に強調していった。
その結果、小麦を作っていたところを、ぶどうやトマトなどの、他の農作物に切り替える農家が出始めた。
また、荒れ地になっていたところを開墾し、そこで小麦も生産はするものの、ぶどうやトマトなどの他の農作物も栽培する農家が少しずつではあるものの、増え始めていた。
商業の方も規制を少なくした結果、以前よりも活気が出てきていた。
この農業の多角化が軌道に乗れば、商業の方にもいい影響が出てくる。
貧富の格差縮小については、成果が出るのはこれからになるものの、推進の機運は高まってきている。
また、品種改良も、成果が出るのはまだ先になるというものの、研究が開始されていた。
わたしは、こうした改革案を、「改革プロジェクトチーム」の人たちと推進していた。
対策案の進み具合の確認を常に行い、フィードバックを必要に応じてかけていた。
このメンバー三人は、わたしのことを慕うようになってきた。
それだけこの三人の間に、この改革に対する理解が深まり、やりがいも大きくなってきたのだと思う。
わたしにとっては、何よりもうれしいことだ。
そして、もう一人、この改革案を進めるのに必要な人物は、ギョーネさんだった。
わたしの命令を忠実に実行してくれるので、この改革案についても、異議をとなえることは全くなく、忠実に実行してくれていた。
こうして、少しずつ、コルヴィシャルデ公爵家はいい方向に変わろうとしていた。
「面白い」
「続きが気になる。続きを読みたい」
と思っていただきましたら、
下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。
ブックマークもいただけるとうれしいです。
よろしくお願いいたします。




