第八十五話 褒められるわたし
国王陛下と王妃殿下も。
「ありがとう」
「ありがとう」
と言って侍医に頭を下げた。
侍医は、それに対して
「お褒めいただきまして、ありがたいと思っております。でもマクシノール殿下のそのお力なくしては、回復は難しいところはあったと思います。これからも精進していきたいと思っておりますので、よろしくお願いします」
と言って頭を下げた。
その後、侍医はマクシノール殿下の治療を行った後、自分の部屋に戻って行った。
王妃殿下は、
「よかった。マクシノールが回復し始めてよかった」
と言って涙を流し始める。
国王陛下も涙を少しこぼし始めている。
わたしも熱いものがこみあげてきていた。
マクシノール殿下が、
「お父様、お母様、今回は、本当にご心配をおかけしました、申し訳ありません」
と言うと、王妃殿下は、
「何を言うのです。あなたが謝ることなど、何もありません。あなたが元気になってくれれば、それでいいのです」
と涙を流しながら言った。
国王陛下も、
「わたしたちは、お前が元気になってくれればそれでいいんだ」
を涙をこらえながら言った。
マクシノール殿下も、涙を流し始めていた。
しばらくの間、わたしたちは、マクシノール殿下が回復し始めたことに対するうれしい気持ちを味わっていた。やがて、マクシノール殿下は、
「お父様、お母様。わたしはクラデンティーヌさんに力をいただきました。クラデンティーヌさんはただ付き添っていただいただけではありません。わたしの回復を、心の底から祈り続けていてくれたのです。とてもありがたいことだと思っております」
と二人に対して言った。
マクシノール殿下の話を聞いた王妃殿下は、
「クラデンティーヌさんは、ただマクシノールに付き添うだけではなく、回復を祈り続けてくれたのね」
と言うと、マクシノール殿下は。
「わたしは夜中に一瞬だけ意識が戻りましたが、その時、わたしのそばでクラデンティーヌさんは一層懸命に祈り続けておりました。その姿に、わたしは感動し、力をいただいたのです」
と言った。
王妃殿下は、
「そうだったのね……」
と言った後、わたしの方を向く。
そして、
「マクシノールにずっと付き添ってもらって、ありがとう。マクシノールが回復してきたのは、あなたが夜の間ずっと付き添って、マクシノールの回復を祈ってくれたことも大きいと思っています」
と言った。
国王陛下も、
「わたしはあなたのことを、わがままで傲慢な女性だとずっと思ってきた、マクシノールの方から、いい方向に変わってきたとは聞いてはいたが、なかなか信じられるものではなかった。昨晩、あなたがマクシノールのそばに付き添うと言ってきたことに対しても、本気で言っていると思うことは、なかなかできなかった。そんなわたしの見方が間違っていたことが、今回、良くわかった。わたしもマクシノールが回復してきたのは、あなたが付き添ってくれて、しかも。マクシノールの回復を一生懸命祈ってくれたからだと思っている。ありがとう」
と言ってくれた。
わたしのことを国王陛下と王妃殿下がが褒めてくれた。
わたしはそれに対し、
「お褒めいただき、ありがとうございます。お二人にお褒めいただくことを光栄に思います。とてもうれしく思っております。しかし、マクシノール殿下が回復してきたのは、侍医の治療と、国王陛下と王妃殿下のマクシナオール殿下の回復への強い願いと、マクシノール殿下自体のお力です。わたしは、ただその皆様のお力にほんの少し力を加えたぐらいの存在だと思っています」
と応えた。
これは本心だ。
マクシノール殿下は、生命の危機寸前のところまで行っていた。
ここまで回復することができたのは、わたしが付き添って一生懸命祈りを捧げたことも少しは役立ったのかもしれない。
しかし、わたしの力は少しだったと思う。
侍医の尽力、国王陛下と王妃殿下の強い願い、そして、マクシノール殿下自身の力。
わたしは、皆様の力があったからこそ、生命の危機の寸前から、マクシノール殿下は回復することはできたのだと思っている。
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