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第八十二話 意識を取り戻したマクシノール殿下

 夜はだいぶ更けてきていた。


 わたしがマクシノール殿下の容態を確認した後、再びマクシノール殿下の回復を祈り、マクシノール殿下への熱い想いを伝えていた時、マクシノール殿下は、ほんのわずかな時間、意識が戻り、


「クラデンティーヌさん、わたしの為に祈っていただいているのですね。ありがとうございます」


 と言ってくれた。


 わたしは、返事をしようとしたのだけれど、マクシノール殿下はまた意識を失ってしまった。


 しかし、これはわたしを勇気づけるものだった。


 より一層、マクシノール殿下の回復を祈り、マクシノール殿下への熱い想いを伝えていく。


 わたしはマクシノール殿下のそばに、これだけ長い時間一緒に居るのは初めてだった。


 これだけ長い時間付き添っているので、お役に少しは立てているのではないかという思いはあった。


 そして、体の疲労はあるけれども、マクシノール殿下の為、さらに尽くしていきたいという気持ちが湧いてきた。




 そして、朝を迎えた。


 わたしは夜明けの前になると、さすがに少しうとうとしていた。


 マクシノール殿下は、ほんのわずかの時間だけ、意識が戻っていた、


 しかし、それ以外は、意識は戻っていない。


 とはいうものの、容態の方もこれ以上の悪化はないようだ。


 それで少し安心をしたところはある。


 ただ、うとうとしている中になっても、わたしはマクシノール殿下の回復を一生懸命祈り続けていたし、想いも伝え続けていた。


 しかし、部屋の窓から日が入り出すと、目が覚めた。


 とは言っても、しばらくの間は、窓の方を向いたまま、頭がボーッとしていた。


 すると、


「クラデンティーヌさん」


 と言う声が聞こえてくる。


 マクシノール殿下の声だ!


 そう思って、マクシノール殿下の方を向くと、マクシノール殿下が目を覚ましていた。


 少しでも熱が下がっているといいのだけれど……。


「今までわたしに付き添ってくれて、わたしの回復を祈り続けていたのですね。ありがとうございます」


 マクシノール殿下はそう言うと、涙をこぼし始める。


 わたしは、胸が熱くなっていきながら、


「お体の具合はいかがでしょうか?」


 と聞いた。


 少し良くなっている気はするんだけど……。


 すると殿下は、涙を拭いた後、


「熱は下がってきている気がします。体の方も、だいぶ楽になっている気がします。少なくとも、これからは悪化することはないと思っていて、回復の方向に向かうと思います」


 と言った。


 わたしはその言葉に対して、


「マクシノール殿下のお体がいい方向に向かってくれて、うれしい気持ちで一杯です」


 と応えた。


「クラデンティーヌさん、この一晩中、わたしに付き添っていただいて、ありがとうございます、あなたは、ただわたしの看病をしていただいただけではありません。わたしに病気から回復してほしいという一生懸命な祈り、そして、あなたのわたしへの熱い想い。それは、意識を失っていても、わたしの心の中には強く伝わってきていましたし、一瞬意識が戻った時、あなたのその一生懸命な姿を認識いたしました。そして、それは、わたしの体を回復させるための力になっていきました。改めて、感謝の言葉を言わせていただきたいと思います。ありがとうございます」


 わたしはこの話を聞いてうれしい気持ちになり、少し涙がこぼれてきた。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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