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第七十六話 相思相愛まで後少し

 マクシノール殿下は、腕を組んで考え込んでいる。


 わたしへのこれからの対応について、想像以上に悩んでいるようだ。


 今までの舞踏会でもマクシノール殿下は、クラデンティーヌに対して、儀礼的な対応しかしてこなかった。


 しかし今日の舞踏会では、今までにないやさしい対応をしていたし、わたしに対する好意も伝わってきていた。


 ここまできているので、ここでわたしの「好き」という想いを言葉で伝えていけば、マクシノール殿下もその気持ちを受け取ってもらえると思っていた。


 しかし、それでもまだその言葉を言う時期ではなかったということなのだろうか?


 それとも、まだまだわたしのマクシノール殿下への想いは弱いということのだろうか?


 悩んでいること自体、わたしの想いはマクシノール殿下には受け入れられていない気がする。


 そう思うだけでも、ガックリしてしまう。


 残念ながら、また、次の機会を待つしかないかもしれない。


 わたしは心が沈み始めていた。


 しかし、一方でわたしは、心を立て直そうともしていた。


 もともと、わたしは、マクシノール殿下と会う度に、


「マクシノール殿下、好きです」


 と言う言葉で想いを伝える決心をしていた。


 想いを伝え続けていけば、マクシノール殿下もきっとわたしの想いを理解してくれるだろう。


 その思いを持って、決心をしたのだから、もしここでわたしの想いが受け入れられなくても、気にする必要はなかったはずだ。


 そう思って、心の立て直しを始めていると、マクシノール殿下が話をし始めた。


「クラデンティーヌさん、申し訳ありません。こうして、せっかくあなたが勇気を振り絞って、わたしに想いを伝えてくださっているのに、悩んでしまいまして」


「いいえ。いいんです。それだけわたしは今まで酷いことをしてきたのですから」


「でもそれはもう過去のこと。あなたが今までのことを反省しているのは理解しています。今日のあなたの友人たちとの話を一緒に聞いていて、あなたのやさしさが伝わってきました。友人たちとあなたが打ち解けているということも理解することができました。あなたが生まれ変わろうとしているという姿勢はよく伝わってきています。そして、あなたは、素敵なダンスで、わたしへの愛を伝えていただいただけではなく、わたしにこうして直接『好き』という言葉で、気持ちを伝えてくださいました。わたしはてもうれしかったですし、あなたに対する好意がますます大きくなってきていたのです」


「マクシノール殿下……」


 わたしは、このままいけば、キスは無理だとしても、マクシノール殿下に抱きしめてもらえるのではないかと期待していた。


 いや、。わたし、何を期待しているのだろう……。


 少し恥ずかしい気持ちになってきた。


 でも抱きしめてもらいたいという気持ちは大きくなってきていて、その内、わたしはジブン心をコントロールできなくなるかもしれない……。


 そう思っていると、マクシノール殿下は、沈痛な表情で。


「わたしも、クラデンティーヌさんのことが好きだと言いたい気持ちが高まってきています。でもまだそれを遮っているものがあります。それは、あなたが心変わりをして、もとに戻ってしまうかもしれないという気持ちです。わたしは、その気持ちを抑えようと一生懸命戦っています。自分では、後もう少しで、その弱気な心に勝てると思っているのですが……。今日は残念ながらまだあなたの想いに応えることができません。申し訳ありません。でも、次にお会いをする時は、あなたの想いに応えたいと思っています」


 と言った。


 わたしは落胆した。


 結局、今日は、マクシノール殿下と相思相愛といういところまでには到達できなかった……。


 でも殿下は、


「次にお会いする時は、あなたの想いに応えたいと思っています」


 と言ってくれた。


 これは大きな前進だし、希望の持てる言葉だ。


 わたしは、


「わたしの方も次にマクシノール殿下と謁見させていただくまでに。もっと、マクシノール殿下のことが好きになって、熱い想いを伝えたいと思っています」


 と言った。


 マクシノール殿下は、


「ありがとうございます」


 と言うと、恥ずかしそうにその手でわたしの手を握った。


 マクシノール殿下のやさしい気持ちが流れ込んでくる。


「マクシノール殿下、好きです」


 わたしも恥ずかしい気持ちになりながら、そのやさしさを味わうのだった。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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