第七十三話 マクシノール殿下への想いをさらに強くする
わたしはマクシノール殿下と一生懸命踊ろうと、改めて思っていると、セリラーヌさんとテドランスさん、そしてリデクさんとラヨンドさんが拍手しているのが、わたしの方から見ることができた。
この人たちは、マクシノール殿下にも拍手は送っていると思うのだけれど、わたしにも拍手を送ってくれている。
わたしは、それがうれしかった。
この応援を受けて、わたしは、
「愛のあるダンス」
をマクシノール殿下と踊るということに、意識を集中していく。
そして、わたしたち二人は、王室楽団が音楽を演奏する中、ダンスを踊り始めた。
出席者たちは、わたしたちのダンスに集中していった。
わたしは、
マクシノール殿下、好きです!
と強く思いながら、ダンスを踊っていく。
マクシノール殿下のことを好きだと想う気持ちは、踊っている内にますます高まっていった。
キスやそれ以上の世界にまだ入っていないわたしたち。
そのわたしたちにとって、ここまで間近で触れ合う経験ができるのは、今の時点だとダンスぐらいなものだ。
それだけ貴重な体験だと言える。
いつものマクシノール殿下も、見ているだけでうっとりしてくるほど魅力的。
その方がこうしてわたしの間近にいて、わたしをその魅力で包んでいく。
特にそのいい匂いと微笑みは、今までも魅力的だと思っていたのだけれど、さらにわたしをうっとりさせる。
わたしはますますマクシノール殿下のことが好きになってきた。
マクシノール殿下のことで心の中が埋め尽くされていく。
もう恋をしていると言っていい。
マクシノール殿下とダンスをこうして踊れてよかったと思う。
ただ、マクシノール殿下はどう思っているのだろう?
マクシノール殿下の方も。わたしのことを好きだと思いながら、踊ってもらえているのだろうか?
本格的な恋にまでは進んでいなくても、入り口には入ってきているのではないだろうか?
マクシノール殿下は微笑んでいて、いつも以上に素敵なダンスをされている。
ということは、そうした方向に心が進んでいるということ。
わたしはそう思いたい。
もし、そうではなかったとしても、わたしの方からもっとマクシノール殿下に対する想いを熱くしていけばいい。
まだまだわたしのマクシノール殿下への想いは、熱いものとは言えないのだから。
想いをもっと熱くしていけば、マクシノール殿下の心も動いていくのでは……。
そういう気持ちが強くなってくる。
わたしは、さらにマクシノール殿下への気持ちを熱くしていきながら、
「愛のあるダンス」
をしていくことを改めて決意をした。
そして、マクシノール殿下とダンスを踊り続けていくのだった。
マクシノール殿下とわたしのダンスは終わった。
終わった途端、大きな拍手がわたしたちに贈られた。
それは、マクシノール殿下にだけではなく、わたしに対してもだった。
わたしたちは、微笑みながら、出席者たちに手を振る。
出席者たちの拍手は、ますます大きくなっていった。
転生の記憶が戻る前、舞踏会でマクシノール殿下と踊っていたわたしに対しても、ダンスに対してだけは、評価してくれていたようだ。
しかし、この拍手は、そうしたものをはるかに越えるものだった。
わたしたちのダンスは高い評価を受けていた。
ありがたいことだ。
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